歴史のなかのからだ (岩波現代文庫 学術192)

  • 岩波書店 (2008年5月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (300ページ) / ISBN・EAN: 9784006001926

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  • <サクレ•クール=聖なる心臓 を敬え!>

    時代を画した歴史学者による身体論。
    その語りが滅法面白く、本書を読んでいると、この人に西洋史を習いたかったという、かなわぬ願いを掻き立てられる。

    「西洋学事始」「カタロニアへの眼」を読んで、西洋史の奥深さに触れて震撼したのは今を去ること何十年も昔のこと!
    題名のみ名高い「ゴシック世界の思想像」は今や入手困難(だから、読んでいない)。

    表現と表象と道具という観点で現れる<からだ>を、歴史の衣装を着せて描く歴史学の冒険。
    特に<心臓と血液>は秀逸。
    女の恋人である下僕の心臓を抉り出し、黄金の盃に入れて娘に送りつけるサレルノ公。
    ダンテの心臓を食べるベアトリーチェ。
    憎っくき騎士の心臓を調理して不倫の奥方に食べさせる南フランスの城主。
    何と血に塗られておどろおどろしいイメージの数々。
    焼き鳥の「ハツ」ではないのだから、人の「ハツ」を食べなくとも良いのに、と思わざるを得ない。
    ヨーロッパに根付く心臓をめぐる物語が、キリスト教と結びついて、イエスの聖心(聖心女子大!)への信仰に繋がっていく複雑で不思議な流れを巧みな筆で描き切る。

    パリの街を睥睨するモンマルトルの丘に聳えるサクレ•クール寺院は、パリのどこからでも望むことが出来る。
    サクレはsacred、クールはheart。
    イエスの心臓を象徴する「聖心」寺院だ。
    血に塗られた心臓が、パリを見守っている。

  • 歴史は、生きている人間が都合よく書き換えるものではありません。より正確にたどって、人間の営みを、ひいては「人間」を考える方途です。昨今の風潮に、まじめな学者さんはどう考えていらっしゃるのでしょう。
    https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201906060000/

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著者プロフィール

 印刷博物館館長。東京大学名誉教授。専門は、西洋中世史(フランス中世史)、西洋文化史。
 1941年東京都生まれ。1965年東京大学文学部卒業、1968年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1969年京都大学人文科学研究所助手。1976年東京大学助教授、1990年東京大学教授、2001年退官。この間、文学部長(1997年4月〜1999年3月)、史学会理事長(1999年6月〜2001年5月)を歴任。2001年国立西洋美術館館長を経て、2005年10月より現職。2005年紫綬褒章受章。
 東京大学在学中は、日本における西洋史学研究について、その文明史的な存在意義を主張して西洋中世史研究の「中興の祖」とされる堀米庸三の下でフランス中世史を学ぶ。12世紀中葉からの北フランスに勃興した大聖堂などの宗教建築様式で知られる「ゴシック」を生み出した中世思想をテーマとして研究者歴を刻む。次第にその後、研究領域を西洋文化史全般へと移行させていったことから、おのずと対象とする時代も拡張されて近世・近代にもおよぶ。風土や町、身体や美術、とりわけ絵画などを題材とすることにより、斬新な視点から西洋史の読み取りに挑戦していく。こうした新しい歴史記述の試みは、その平明な記述とあいまって、研究者だけでなく多くの一般読者にも支持されている。

「2015年 『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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