- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006001964
作品紹介・あらすじ
同じ「かたち」をしているものは、同じ存在といえるだろうか?視覚と触覚の違いとは何か?「かたち」からは見分けのつかない双子の姉妹との恋愛物語のスタイルで、錯覚の問題、モリヌークス問題、「共通感覚」の問題など、アリストテレス、ロック、バークリほか多くの哲学者たちによって議論されてきた「かたち」と存在をめぐる問題群をわかりやすくかたる。
感想・レビュー・書評
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帯に「見分けのつかない双子姉妹、私はどちらに恋しているのか?」と書かれてあったので、思わず買ってしまいました。
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「かたちを見る」ということの哲学的な概念史である。
視覚の本質的な概念として「目で見るだけではなく脳で見る」ことが視覚。
「開眼したばかりの生まれつき目が不自由な人には、給湯器立方体というような立体の識別ができるかどうか」→モリヌークス問題を本書の大部分を占める。 -
生まれてはじめて哲学に関する本を読んだので記念に感想を。
作者の双子の姉妹との恋愛話が織り込まれていて、読みはじめた最初は、哲学の話だけでいいのになんて思った。
けど、読み進めるうちに、
双子の姉妹とはどうなったんだろうと作者の恋愛話を追いかけてる自分がいた。
そしてちょうどいいタイミングで、
恋愛話がやってくる。
いい具合に、哲学の話ともリンクして、
より理解が深まった。
自分の弟が小さい頃に、
ポン酢を好きすぎて「ポン酢になりたい」と言っていたことがある。
あれって子どもの感性ならではだよな〜と思っていたところ、本書にも「鴨になりたい」と言った男の江戸時代の小咄が出てきた。
男は「旨いから」という理由で鴨になりたいと言う。
「綺麗だからお姫様になりたい」という願いには感じられない不気味さがある。
だから何だ?という結論を求めるひとには向かない本。
本書を読んで「形」は「輪郭」だと思った。
文字も形で、記号。
それを読み取ることができる人間に生まれてきたからこそ、いろんな本を読もうと思う。
ふかみのある人間になるために。
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