源氏物語 (岩波現代文庫 学術197)

  • 岩波書店 (2008年9月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784006001971

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

物語の成立や登場人物の関係性を深く掘り下げることで、作品の魅力を再発見することができる。特に、異なる視点からの分析が新たな理解をもたらし、読み進めるごとに物語の構造が立体的に感じられるようになる。大野...

感想・レビュー・書評

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  • 「源氏物語」はこの5年で3度読みました。2度目は膨大な家系図を頭に入れて、3度目に時間軸と人間関係が自在になると、物語が空間として立ち上がってきます。4度目の今年は気になるチャプターをピックアップし原文と照らし合わせながら読み、紫式部の仕掛けに挑む気分です。大野さんが説く成立論は理路整然としてバックボーンを得た気持ちになりました。終盤の「宇治十帖」はとてもエモーショナルで高揚した語りが楽しい。あとがきで丸谷さんが突っ込んでいますが、お二人の「光る源氏の物語」を思い出します。すでにお二人とも物故され、あのハイブローで、しかも、軽妙な対談は聞けません。そう思うと寂しくなりました。

  • 連休を迎えてもどこへ行くあてもなく、もっぱら読書三昧の日々を過ごしています。
    本書は「日本語練習帳」や日本語-タミル語起源説で知られる国語学者、大野晋さんによる源氏物語論。随所に国語学者らしい知見が披露されて面白く読みました。

    まず、物語の成立について。
    普通、私たち読者は桐壷~帚木、空蟬と順に読んでいくわけですが、大野先生は、源氏第一部(桐壷~藤裏葉までの33巻)は年代順に書かれたa系(桐壷、若紫、須磨や明石)がまず執筆された後で人物中心のb系(帚木、空蟬、夕霧や玉鬘など)が挿入されたと主張されます。
    その理由として、一つ目にa系の主要人物はb系に出てくるのに、b系の人物は後続するa系の巻に出てこないこと。
    叙述の仕方がa系は年月が明記されているのに対して、b系は時の記述がないこと(これは、中国の歴史書の二つの書き方、編年体で書かれる本紀と人物中心の列伝にならったのだと見立てられます)。
    文体も「~なり」という表現形式についてみればa系は75%が名詞につき単純に簡明な表現が多用されている一方、b系では57%にさがり、紆余曲折する表現が用いられます。
    さらに語られる内容も、a系は光源氏の成功譚、b系は言い寄った女性に逃げられたり、死なれたりという失敗譚に分けられます。

    これは、もともと若い女房を読者として書かれたa系の評判を聞きつけ、もっと光君の話を読みたいという身分の高い貴族(恐らく道長)の求めに応じ、大人の鑑賞に耐える作品を書いたのだと分析されています、

    この辺り、一つ一つの根拠を挙げて論を進められる手際は、練達の料理人の包丁捌きを見ているようで、楽しくなります。
    最近、角田光代さんによる新訳が発表されました。縁遠いと敬遠してきた源氏ですが、一度覗いてみようと思います。

    • M's Bookshelfさん
      角田さんの新訳本を、読んでみようとリストアップしていたところです。a系が評判になってb系が生まれたというのは、面白いですね。売れたら続編やら...
      角田さんの新訳本を、読んでみようとリストアップしていたところです。a系が評判になってb系が生まれたというのは、面白いですね。売れたら続編やら外伝が創られるというのは、平安の昔から変わらないんですね。
      2019/05/06
  • あらためて「源氏物語」を読み解くことの難しさを痛感した。
    「源氏物語」に対しての言語学的なアプローチは大変素晴らしいものだ。語法について解説しながら、「若紫」グループと「帚木」グループ分の違いと特徴を明らかにしていく。
    そして「紫式部日記」と「源氏物語」の関連付けなど……。
    しかし、このようなところまで理解しないと「源氏物語」を理解することはできないようだ。
    巻末に載せてある、これは解説と言って良いのだろうか?本書に寄せてある丸谷才一氏の「まぼろし電話」も必読である。

  • 2010年8月18日購入

    源氏物語、いまだによさが分からない・・・というか
    きちんと読んでいないなあ、ということで
    わき道から入るのに格好の本だと思って購入。

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著者プロフィール

1919-2008年。東京生まれ。国語学者。著書に『日本語の起源 新版』『日本語練習帳』『日本語と私』『日本語の年輪』『係り結びの研究』『日本語の形成』他。編著に『岩波古語辞典』『古典基礎語辞典』他。

「2015年 『日本語と私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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