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- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006002190
感想・レビュー・書評
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丸山眞男とともに戦後日本の政治学を理論的にリードした政治思想家・福田歓一の論文集。途中まで読みかけていたのだけど、報告が近づくにつれて読書をする気力がなくなり、ほったらかしていた。
編者も「あとがき」で書いているように、福田の論考は「一般向けを拒むような難しさを有してい」る。なんというか、すっすっと頭に入ってこないで、ひっかかってひっかかってしょうがない。
印象的だったのは、(1)資本主義諸国からも、社会主義諸国からも、両方から民主主義が「シンボル化」していることに対する厳しい警句が盛り込まれているという点。(2)「古代の民主主義がポリスという人間の生活全体を包み込んだ共同体を前提として成り立っていたのに対して、近代の民主主義とは原理的にそういう共同体を前提としないで、バラバラの個人というものを原理として立てている」(p148)という整理。(3)「デモクラシーとモナーキーという、いわば原理的に矛盾するものを共存させていく智恵は、政治的成熟度の非常に高い社会においてはじめて発達し得るもので、そういう智恵が別に作動した場合に、いろいろな局面において非常に穏やかな、行き届いた社会が作り出され、それが例外的に君主制を安定させている」(p302)という指摘。
とくに(3)は、「そういやそうだ」と今まで全然考えていなかったことだった。言われてみれば当たり前の話で情けないのだけど、デモクラシーとモナーキーの両立の理由を探るという視野は、心のなかに止めておきたいと思う。いつかこの視角が役立つときが来るんじゃないかと、思っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示