カウンセリングの実際―“心理療法”コレクション〈2〉 (岩波現代文庫)

著者 :
制作 : 河合 俊雄 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 95
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006002213

作品紹介・あらすじ

カウンセラーが、実際のカウンセリング場面で直面する問題とは何か?スイスのユング研究所で学び、日本にユング派の心理療法を初めて本格的に導入した著者自身が、体当たりで行なったカウンセリング体験の例などを紹介しながら、カウンセラーの心がまえとして何が必要かを語る。河合心理療法入門の実践編。カウンセラーを目指す人はもちろん、教育者などカウンセリングに関わるすべての人に役立つ本。

感想・レビュー・書評

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  • 2階心理学C : 146.8/KAW : 3410161642

  • 面白かった。心はいつも二方向に揺れ動くと知ること、二方向の動きのどちらかを肯定しすぎどちらか切り捨てるようなことのないこと、しかし傾きを尊重すること、可能性を信じて粘り強く待つこと、何もしないけれど参加して変化を招き寄せるための熱意を持つこと、そういう話。

  • カウンセリングは自己実現、より高次の自分へ行くことを目指すものだけれど、それは多くの危険をはらんだ試みであり、常に大急ぎで目指すべきものではない、というところが私の中で新しかった。
    例外的な事例も含め、マニュアル化できないところがカウンセリングである、というメッセージを感じた。

  • 私にはむずかしすぎた、、、。

  • よい意味でも、悪い意味でも、本著は読まれるべきであると思う。カウンセリングとはかくあるべきである、しかし、必ずしもカウンセラーはカウンセラーとしてばかりはいられない、といったことが丁寧につづられている。そのあたりに価値がある。だが、難しいのは下手をすれば河合さんはただの楽観主義者になりかねないということだ。無論、河合さんはカウンセリングの大変さを知っている。

    ※カウンセリングの最大の目標はクライアントの「自己実現」である。河合さんはユング派だが、カウンセリングの大家であるロジャースも同じことを述べている。そして、クライアントは自らの内的可能性に気づき、自己成長しなければならない。ここでのカウンセラーの仕事は、傾聴(受け容れてきくこと)である。ただ、自分が受け容れられないことを受け入れてしまおうとすると無理が出るので、純粋性=自己一致(自らの気持ちに敏感になること)も重要ではあるが、ともかく、カウンセラーはアドバイスをせずに傾聴することで、クライエントに自ら自分が抱えている問題と向き合わせる。結果として、クライントは問題を直視し都合の悪いことも認め受け入れ成長していくというのがカウンセリングの目指すところである。

    と、以上のようにカウンセリングの大変な部分を河合さんは知っているし(当たり前だが)、実際に本著でもその悪戦苦闘ぶりがありのままにつづられてはいる。ただし、河合さんの危険なところは、結局のところ全てを肯定しかねないところである。例えば、自分の前にAとBという人がいる。ここで仮にAを選んだとしたら、Aといればあなたは成長できうるからあなたの「自己」がAを選んだのだということになる。Aが嫌になって、Bを選べばよかったと考えたら、河合さんはまだ「個性化」のプロセスとしてAと向き合うだけの力がこの人にはないのだ、といった具合になってしまう。これって実はかなり押し付けがましいし、腹立たしい考え方だと思うし、河合さんの先入観が入りすぎている。けれど、河合さんとしたらこのあたりを見てほしいのかもしれないと感じる。河合さんはそこかしこで持ち上げられているけれど、その分河合さんのマイナス面がまるでないかのようにある意味「聖人」のようにして扱われていたりもする。けれど、本著で示されていることは、「自分はカウンセラーにはなりきれないし、迷いもする、日々が悪戦苦闘である、わたしは決して聖人ではない」といった彼なりの告白にも感ぜられるのだ。また、河合さんにとってはカウンセリングの非楽観的な側面は、「その途上で、クライアントが経験する苦痛」に終始してしまっている。というのも、クライアントの選択自体は、「個性化の過程と、まだ時機に達していないゆえの妥当な選択」として、全て構成されてしまうからである。正直なところ、本著を読んで、「河合さんすごいなー」とくらいしか感想を抱かない人はいくらか問題だろう。編者(息子)も、解説(鷲田)も一定の評価を下しながらも、肯定しきらないあたりに彼らも批判を覚えているのが感ぜられる。

  • 冒頭だけ読んでスッと入る文章だった覚えが。

  • 普通の人でもちょっとためになります。聴き方とか考え方とか。なるほどって思いました。

  • 文章の流れが肌に合わないが、
    勉強になります。
    人間が高次に向かうときは得てして現状への不満を吐露するもの。
    そうか、愚痴は高次欲求!
    問題点を見つけ出し、より高い人格統合を繰り返す。それが人間のひとつの使命。

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プロフィール

河合 隼雄(かわい はやお)
1928年6月23日 - 2007年7月19日
兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。1952年京都大学理学部数学科卒業後、京都大学大学院で心理学を学びつつ、数学の高校教諭を兼業した。
天理大学で助教授時代にユング研究所に滞在し、ユング派分析家の資格を取得。日本における分析心理学の普及と実践に邁進。箱庭療法導入者としても知られる。欧米の心理療法を日本文化に根ざす仕方で導入を試みており、日本論・日本文化論の著作も多い。
主な受賞歴に、1982年『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、1988年『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞、1992年日本心理臨床学会賞受賞、1996年NHK放送文化賞をそれぞれ受賞。1995年紫綬褒章、1998年朝日賞、2000年文化功労者顕彰。
なお2012年に一般財団法人河合隼雄財団が設立されており、そこで本人の名を冠した「河合隼雄物語賞・学芸賞」が設けられている。

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