- 岩波書店 (2010年1月15日発売)
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感想 : 17件
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784006002336
みんなの感想まとめ
思考を深めるきっかけを提供する一冊であり、クリティカルシンキングの多様なスタンスを探求する内容が特徴です。著者は、カントとマルクスの哲学を巧みに結びつけ、それぞれの思想の新たな側面を引き出しています。...
感想・レビュー・書評
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100606朝日新聞書評
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クリティカルシンキングと一概に言っても、スタンスの型がいくつかあるのだと、思考を深めるきっかけになりそうな一冊でした。
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著者:柄谷行人(1941-、尼崎市、哲学)
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2016年度、H大学にいたときに受けた授業のテキストだった。先生は柄谷行人の弟子だったらしく、ゴシップ満載だった。もっとも哲学科の専門科目ではなく、私含めて学生は哲学の知識がなかったから、中身を読み進めるのではなく序文の最初の30ページくらいをいったりきたりしつつ哲学史を総ざらいしていた。通年で30回の講義で、シラバスは全部読み切る予定で書いてあったのだが… のちに一応なんとか通読して、『世界史の構造』も読んだのだが、さっぱりだった。しかし、哲学とか思想の世界にグワーッと惹き込まれた、講義とともに思い出深い1冊。
まあ、各々の議論が学問的にOKなのかどうかは全然わからないのだが、知識をつけつつ折に触れて見返したい。 -
[ 内容 ]
カントからマルクスを読み、マルクスからカントを読む。
移動と視差による批評(トランスクリティーク)によって、社会主義の倫理的=経済的基礎を解明し、資本=ネーション=ステートを超えた社会への実践を構想する。
英語版に基づいて改訂した著者の主著の決定版。
[ 目次 ]
イントロダクション―トランスクリティークとは何か
第1部 カント(カント的転回;綜合的判断の問題;Transcritique)
第2部 マルクス(移動と批判;綜合の危機;価値形態と剰余価値;トランスクリティカルな対抗運動)
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
柄谷行人による、カントの超越論的な方法からマルクスを解釈し、マルクスの思考の実践性をカントに依拠しつつ明らかにしようとする試み、と言える。彼らのテキストに即しつつ、教条的解釈では見出し得ないような、ある意味でカントもマルクスも意図していなかったような思想をそこから引き出し、それを説得的に展開している。
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特にカントに関するところの考察が面白かった(というよりも繰り返し読んでとらえようとした)。マルクスのところはまた読んで整理したい。デカルトやフッサールとかを逆に読みたくなった。
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カントとマルクスの思想を横断的に批判、すなわちトランスクリティークに読み込むことで、資本主義社会を乗り越える、言い換えれば、アソシエーションを実現するためにはどうすればいいのかを考察する。
『資本論』を宇野弘蔵の解釈をもとに、資本主義社会は、恐慌や革命が自壊することなく、あたかも永続するかのように続くと著者は見なす。そのため、現状の資本主義を変えるためには、流通過程に注目するべきだと説く。そこで、対抗ガンのような運動を作り出すことで、資本制経済を打破できると仮説する。
ちなみに、この運動は、消費者としての労働者が、非資本的な生産(消費協同組合、代替通貨)、労働力を売らない、資本制生産物を購入しないといった運動で、資本主義社会の内側から変えようと試みる。このように、単に資本や国家を真っ向から否定するだけでは不十分で、労働者が消費者として現れる場において、しかも、個々人が主体的に活動することでのみ実現可能である。
以上から、資本主義経済がどれほど強固で、恐慌や革命等では簡単に終わらないことが分かる。それと同時に、資本主義経済の内側に風穴を開けるために、個々人(労働者かつ消費者である人々)がいかに対抗して、新しい社会へと移行できるのかを本書から読み取れる。
著者プロフィール
柄谷行人の作品
