ヒルベルト――現代数学の巨峰 (岩波現代文庫)

著者 : C.リード
制作 : Constance Reid  彌永 健一 
  • 岩波書店 (2010年7月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006002404

ヒルベルト――現代数学の巨峰 (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 地味な数学者の退屈な伝記かと思いきや、けっこう激動の現代数学について歴史的な成り立ちも含めて俯瞰できる読み物になっている。高校までの計算主体の数学から、大学以降の抽象度の高い数学にアタマを切り替えられない人、または、現代数学の本などを読んでどうしてもその抽象性に馴染めない人は、この本を読むと、なぜそんな概念が生まれてきたのか、どういう動機で使われるようになったのか、などがわかるだろう。
    ちょっと翻訳が硬いので、もう少しこなれているともっと読みやすいと思う。

  • 生涯を書いたものですから、とにかく400ページもの長さは、充分に長すぎる。
    ヒルベルトのひとり息子はどうやら現代に言う高機能障害だったようだ。天才というのは、やはりどこかぎりぎりのDNAを持っているのかもしれない。
    第一次世界大戦と、その後のヒトラー政権、第二次世界大戦という不幸な時代にドイツで暮らしたヒルベルトの生涯は必ずしも恵まれたものではなかったのだろう。

  • 400ページを超える重厚な評伝。ヒルベルトと実際に接した人物による生の声がふんだんに詰まっていて、まるで生きている人の評伝を読んでいるような迫力があった。よくここまで取材できたものだと思う。本書の初版(英語版)は、ヒルベルトの没後25年(1970年)に刊行されている。ヒルベルトが「歴史上の人物」になってしまう前に、このような本をまとめたことには大きな意義がある。
    ヒルベルトは数学のあらゆる分野で重要な業績を残しており、「ヒルベルト空間」「ヒルベルト不変積分」「ヒルベルト類体」など、彼の名を冠した数学的概念は枚挙にいとまがない。しかし、ヒルベルトが生涯をかけて取り組んだ一番重要な業績は、数学の基礎に関することである。ヒルベルトは、「あらゆる数学的事実は、完全・独立・無矛盾な公理系と論理的演繹によって形式的に導出できることを要請すべきであり、そのような公理系は常に構築可能である」とする学説を、首尾一貫して主張し続けた。(公理の無矛盾性に関していうと、背理法を用いた証明を初めてアカデミアに認めさせたのはヒルベルトである)
    ヒルベルトのキャリアの序盤では、クロネッカーを筆頭とする古い数学者の抵抗にあい、中盤にはブローウェルを中心とする「直観主義」の学派と激しく対立した。しかし、これらの学派を粘り強く撃退し、ヒルベルトは、今日では当たり前となっている「直観や意味を切り離した形式的推論に基づく数学」の基礎を形成したのである。彼のキャリアの最終盤になって、かの有名なゲーデルが歴史の表舞台に登場し、ヒルベルトの構想の一部が打ち砕かれることになるのだが、それによって彼の業績が色褪せることは断じてない。
    世界のあるべき「当たり前」の姿を厳密に言語化したという意味で、ヒルベルトはとてつもない思想家だったのだと私は思う。

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