橋川文三セレクション (岩波現代文庫)

著者 :
制作 : 中島 岳志 
  • 岩波書店
4.20
  • (2)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 33
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006002572

作品紹介・あらすじ

橋川文三(一九二二‐八三)は戦中派世代の論客として活躍するとともに、日本政治思想史の専門家として、正統派の学問では忌避されがちな人物やテーマに取り組んできた。今日、日本においてナショナリズムが亢進するなか、近代国家システムからこぼれ落ちたエートスを掬うその独創的な研究は、あらためて注目を集めている。橋川の代表的な論考が一冊で読める現代文庫オリジナル編集のアンソロジー。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 橋川文三は戦前の超国家主義の本質を「縦軸の無限性」やその磁場である天皇制にみていない。推測だが、橋川にとって「縦軸の無限性」等は超国家主義にとってあくまでひとつのツール、もしくは超国家主義を成り立たせるための建前にすぎない。
    橋川が強調する超国家主義の本質は、国家主義を超えようとする人々の心性だ。テロを起こす朝日や井上らが持つ内面や革命性が、明治期のテロと比較して明かされる。源流は「坂の上」を登りきった場所に存在した、ニヒリズムや戊申詔書だと言えるだろう。
    橋川は戦時中の学生時代に、小林秀雄や保田与重郎から影響を受けたようだ。彼らから、浪漫主義的な「近代の超克」への志向を感じることはあっても、「縦軸の無限性」を感じることは少なかっただろう。だから実感として超国家主義の超国家性が明瞭に見えている。
    それらが、戦前派ながら徴兵により軍隊生活を身を以て経験した丸山真男との決定的な差異なのかもしれない。

  • おもしろいやんか!と夜中にスタオベしかけたけど、朝読んでみるとそうでもなかった。いやいやでもおもしろいです。ここから派生していろいろ読みたくなる。わたしはいつも取り掛かりが遅い。

  • 和図書 311.3/H37
    資料ID 2012200224

  • 戦中世代の思想家であることから、友人、知人に歴史に残る有名人がかなりの数が出てくる。中でも三島由紀夫が信頼を寄せ、いくつか序文などを依頼している。しかし、三島に迎合するのではなく、三島を批判しつつ、常に冷静に思索している。最後に橋川氏の個人的な生活環境も書かれていたが、この不幸がなければ、さらに学術的にも、思想的にも、橋川氏自身が歴史に刻まれていたかもしれない。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1922~1983年。長崎県対馬(上県郡、現対馬市)生まれ。1945年、東京大学法学部卒業。編集者として活躍しながら1957年に『同時代』誌で「日本浪曼派批判序説」の連載を開始。1958年より明治大学政経学部講師として、後に教授として近代日本政治思想史を講じる。
○主著:
『日本浪曼派批判序説』未来社、1960年、増補版1965年/講談社文芸文庫、1998年。
『歴史と体験』春秋社、1964年、増補版1968年。
『現代知識人の条件』徳間書店、1967年/弓立社、1974年。
『近代日本政治思想の諸相』未來社、1968年。
『ナショナリズム―その神話と論理』紀伊国屋新書、1968年。
『黄禍物語』筑摩書房、1976年/岩波現代文庫、2000年。
『西郷隆盛紀行』朝日新聞社、1981年/朝日選書、1985年。
『昭和ナショナリズムの諸相』名古屋大学出版会、1994年(筒井清忠編)。
『柳田国男論集成』作品社、2002年(原本は講談社学術文庫『柳田国男』1977年。
『橋川文三著作集』増補版全10巻、筑摩書房、2001年。

「2013年 『昭和維新試論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

橋川文三の作品

ツイートする