- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006002787
作品紹介・あらすじ
民衆思想史の立場から「近代」の意味を問い続けてきた著者が、眼を現代に転じ、一九七〇年代以降の思想状況の批判的読解に挑む。戦後社会を形作った学問・思想の諸潮流を大胆に整理し明快な見取り図を描くとともに、丸山眞男の思想史学、二〇世紀日本の経験、歴史学の可能性を論じて、日本のこれからの思想的課題を見通す。
感想・レビュー・書評
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精神史的時代区分は70年代半ばまでのマルクス主義と近代主義(第1期)、それ以降の構造主義とポスト構造主義(第2期)に区分されるとの事。これが書かれたのが95年であり、著者は「第3期がはじまっているかもしれない」と書きつつも、その後の2000年代に入っての論考でも、2012年の文庫版のあとがきでも第3期の認識については明確には語られてはいない。ただし、長いあとがきの911に関する論考ではグローバリズムに関する記述はあり、多少の言及はみられる。それでも、「日本思想史」研究家として「専門外」の自覚があるのか、少々及び腰なとこも感じられる。
個人的には90年代半ばから第3期が始まっていると考えるのは妥当であり、その思想的支柱はグローバリズムと新自由主義であると考えるが、そうなるともはや「現代日本思想論」という範疇では語る事が困難であり、学問的な限界がきているのかもしれないとも感じる。しかしながら、2020年時点での反グローバリズムやナショナリズムの台頭を考えると、第4期が始まっていると考える事も可能ではないだろうか。そのような状況の中で「現代日本思想」として新たな展開が生まれるのか否か。そもそも自分が生きている時代がどのような時代なのかを把握するのは困難であり、第4期についてわかるのは20~30年後なのかもしれないが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「現在の眼」を持つ安丸氏ですから、「あとがき」が特におもしろい。9.11に対してもどこかの国に偏らない見方がたのもしい。戦後思想史も鳥瞰できる。
おやっ・・・と思う人を高く評価しているのは意外ですが、学者なのでしょうね、やんわりと批判されるより、もっと激しく(たとえば上野千鶴子さんのように)たたいてくださると、もっと楽しく読めたでしょう。