『コーラン』を読む (岩波現代文庫 学術 283)

  • 岩波書店 (2013年2月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (450ページ) / ISBN・EAN: 9784006002831

みんなの感想まとめ

この書籍は、古代の聖典『コーラン』を深く理解するための知的な旅へと誘います。著者は、アラビア語が読めなかったムハマンドの神の啓示を解説し、当時の文化的背景や言語のニュアンスを豊かに描き出します。読者は...

感想・レビュー・書評

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  • これは分かり易い。
    井筒先生のまるで息遣いが伝わってくるような気がする素晴らしい本。
    時を置いてまた読み直してみたい。

    「『コーラン』を読む」という本だが、単に読むのではない、そこには「一つの与えられた言語テクストに対して解約学的操作が加えられなければならない」という高度な知的作業を行うというものだ。
    7世紀のアラビアの砂漠に生まれた『コーラン』。日本人である我々との間には想像を遥かに超えた距離がある。そんなことももろともせず『コーラン』の読み方を解説する井筒先生に敬服する。どうしてこんなこのができるのか。30言語に堪能な語学の鬼才、井筒先生しかできない偉業だ。

    『コーラン』は神のコトバ、啓示で約20年間にわたって作られた。始めから終わりまで一字一句、ムハマンドの口から出たコトバ。しかも、当時は本の形になっていない。讀むつまり暗誦していた。今でも『コーラン』の全てを暗誦している人が沢山いるようだが、その量、岩波文庫で上中下の3巻にわたる膨大な量。人の能力、凄いとしか言いようがない。

    7世紀にムハマンドに起きた神の啓示。これが『コーラン』なのだが、ムハマンドはアラビア語を読めなかった。だが、暗誦はできた。それが今、イスラム教の聖典として世界に大きな影響を与えている。

    やはり、アラビア半島、オリエントと言ってもいいかもしれないが、ここには地球の中でも特殊な「磁力」があるような気がする。その「磁力」が神の啓示という現象を引き起こすのかな。

  • コーランを読む上で非常に役にたつ。

  • たった数行に含まれる、表面的に訳せる意味からは到底見えないあらゆる背景を延々と具体的な例示やニュアンスとともに読み解いていく内容で、詩文やそれに類する、特に古い文に書かれてる内容なんて、意味解ったって解りきらんな、をすごい痛感。

    そして、それだけ延々と文そのものだけからは見えないものを「読む」講話の書き下ろしだったにもかかわらず、後記で書かれてる「読む」に関する話がまさに皮肉を効かせてるかのようにも読めて、笑ってしまった。

    井筒さん面白い人だなあ。

  • ムスリムが良かった時などにマーシャアッラーと言うのを知っていたが、日常生活においてもアッラーの名前を口にするのが普通で、深い宗教的意義をもたらすため、神の名前を事あるごとに口にするのがイスラム教の特徴らしい。ユダヤ教のヤハウェとは真逆だ。そして、神は絶対的支配者であり、人間は神に従うしもべとして位置づけられるのがイスラーム的な信仰の在り方。普通一神教と聞くと、全知全能で抽象的な神というイメージだが、アッラーはそういう哲学的・形而上学的な神ではない。アッラーは歴史の中でアブラハムやイサクやヤコブと関わった人格神だ。つまり遠い存在、抽象概念としての神ではなく、人間の歴史や生活、行動に直接関わる神である。だからムスリムにとって、神の行動や命令は具体的な規範や物語を通して理解される。ムスリムは人間の歴史や生活に直接関わる神を信じているということだ。イスラーム法が存在するのも、そうした世俗に関わる事柄まで神の意志によって秩序づけられているからなのだろうと思った。

  • kindle。
    82年に開かれた市民講座の記録がもとになっている。当時の現代思想の流れも絡んで、コーランの一節が重層的に読まれる。
    イスラムによってアラブの部族社会になかった「個人」という考えが誕生するのは、キリスト教がヨーロッパで個人を生み出した経緯と似ている。

  • ITb

  • いくつかの宗教について学んだが、ついぞ、イスラム教について学ぶ機会がなかった。9・11以後、日本に住む私にとっても、折に触れひっかかるテーマではあったが、やはり、距離を感じていたのだろう。

    ようやく手に取った一冊であったが、ここから学び始めることができ、とてもよかったと思う。

    おすすめ
    東京ジャーミィ 見学会
    TEDTalks LesleyHazleton "On reading the Koran"

  • クルアーン「開扉」の7行をてがかりに、イスラームの根本理念を解説する、濃密な講義録。読んだとき、圧倒された記憶があったので、いま、本棚から取り出して、ページを繰って赤線を引いている箇所なんかを拾い読みしてみました。すっかり忘れてました。なさけないですねえ。ただその一方で、関心の芽がぴょこんと顔を出しました。いずれまた、この本は再読したいと思います。(2015年2月28日読了)

  • 井筒俊彦「意識と本質」の輪読会を始めて、やっと二年で読了。でも、この本とはまだまだ離れることができない。
    何回繰り返し読んだかわからない。
    が、例えばブルックナーの交響曲のように、終わったらまた初めから愉しみたい。
    今は、何が書かれているかということよりも、どうして井筒先生はこれを書いたのか、ということに興味を持っている。

  • 「読め」ばわかりますが、「コーランを読む」という題名から発想されるような・・・・、市民文化講座「源氏物語を読む」をイメージして読み始めると期待は裏切られる。
    しかし、裏切られる感覚は知的には快感である。
    なるぼと・・・・「読む」とはそういうことだったのか・・・という自戒。文化講座でなかったという喜びもある。
    ただ、あくまでも岩波のセミナーですから、語り口調でとてもわかりやすい。
    なるほど、エクリチュールを紐解くというのは、並大抵のことではないのです。

  • 井筒先生の本の中でも、おそらくかなり読みやすい。いつかの講演内容を書面化したもの。
    コーラン初心者の人に向けて、イスラム教とはどのような背景で生まれたのかという視点を与えてくれる。

  • 世界宗教としては一番新しいものであるがゆえに、その時その頃の一神教としては最適化していたがゆえに、思った以上にその在り方が難しく見える。あらためて難しい宗教だなと思った。一神教としてはとても合理的な宗教なのだけど。

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著者プロフィール

1914年、東京都生まれ。1949年、慶應義塾大学文学部で講義「言語学概論」を開始、他にもギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学などの授業を担当した。『アラビア思想史』『神秘哲学』や『コーラン』の翻訳、英文処女著作Language and Magic などを発表。
 1959年から海外に拠点を移しマギル大学やイラン王立哲学アカデミーで研究に従事、エラノス会議などで精力的に講演活動も行った。この時期は英文で研究書の執筆に専念し、God and Man in the Koran, The Concept of Belief in Islamic Theology, Sufism and Taoism などを刊行。
 1979年、日本に帰国してからは、日本語による著作や論文の執筆に勤しみ、『イスラーム文化』『意識と本質』などの代表作を発表した。93年、死去。『井筒俊彦全集』(全12巻、別巻1、2013年-2016年)。

「2019年 『スーフィズムと老荘思想 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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