脱常識の社会学 社会の読み方入門 (岩波現代文庫 学術284)

  • 岩波書店 (2013年3月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784006002848

みんなの感想まとめ

日常生活における“常識”を再考することを促す一冊で、契約や宗教、結婚といったテーマを通じて、普段の行動の背後にある理由を深く掘り下げています。各章は独立しているものの、一貫した流れがあり、読みやすさと...

感想・レビュー・書評

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  • 契約を結ぶこと、宗教を信じること、結婚することなど、ふだん常識と考えていることをなぜ実施しているのか考え直すきっかけをくれる一冊。
    話題毎に章立てされていますが一貫した流れのようなものがあり、読み物としても入門書としてもよさそう。
    契約は裏切りの心配があるから契約する、宗教は聖と俗を区分して社会背景そのものを神として扱っているなど、考え方としておもしろい。
    人工知能の行方を社会学的に捉えた章では、コンピュータに人間の思考を組み込むためのルールが14個くらい示されていて、これが興味深い。

  • 東2法経図・6F開架:B1/8-1/284/K

  • 本書、一回で理解出来ました?一回読んで理解出来る能力が欲しいと思いました。犯罪の所は興味深く拝読。

  • 第5章が「愛と所有」だった。

  • 最初の方は著者が飛ばし過ぎでは?ってくらい爆速で畳み掛けられてる感じがした。
    中盤の女性の社会的地位の話とか、政府は犯罪組織からできてるとかいう辺りは面白かった。面白くなってきたなと思ったら、最後AIの話に飛躍してて良くわからん…

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1129228

  • 日常生活の中で、ともすれば“常識”として捉えられていることを社会学の観点から考察してる。

    少し難しい箇所もあるが、社会学の基礎を身に付ける上でも役立つ良書。

    「最適化ではなく満足化原理に従う」は消費者行動論でも出てくる話なので、関連領域についても学べる。

  • ビブリオバトルチャンプ本('23.4 教員大会)

  • 社会的な事象を見る違う視点を持ちたくて手に取った。

  • 社会学入門と言いつつ、かなり踏み込んだ内容となっている。宗教を失った現代でも儀礼に満ちた世界に生きているのではないか?と思わせる一冊。デュルケームの本をあらかじめ読んでいると分かりやすいかもしれない。

  • 一言で述べるなら、常識とされるものの多くの根本が、それ自体不合理性を孕むものであるということを丁寧に解説してくれる社会学の入門書である。

  • 「社会学の入門書を1冊紹介するならば絶対にこの本だ」というのがこの『脱常識の社会学』です。教育社会学の授業では常識を疑うことの重要性を最初の方で話しますが、常識を疑うとはこういうことだ、がとてもよくわかるし、疑うことから全く違ったものへ至る論理的展開は、「すばらしい」としか言いようがありません。扱っている対象がちょっと硬いですが、目次にめげずにぜひ読んでほしい一冊です。

    教育学部 A.T


    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000904810

  • *合理性の非合理的基礎

    契約は非合理的合意に基づく
    (ゲーム理論的に疑ったほうが得)

    例:フリーライダー
     無料医療、刺された人を見捨てる人、スーパーの安さ(もっと節約すべき所はあるが、頻繁に使うので、節約したという心理的便益を得られる)
    →少し有料にしただけで解決する。世界は感情で巡っている

    長期的取引は信用による契約に基づく

    罪も、執行する人も含め非合理的であるからはじめて成立する
    闘争と連帯は同じコインの両面。感情によって結ばれる

    *宗教

    聖と俗の二元論
     →社会の象徴。この世の中にそれ以外ない。
      また、構造主義的な理屈から社会は個人の内にも影響を与える
    聖と俗は分散と集合(儀礼)に対応し、後者は感情エネルギーを与える
    儀礼的行為
     →集合・形式化・自身に対する集団自身の理解

    宗教が先か社会が先かはまだ不明

    宗教の適用範囲が広がるにつれて、神は至上かつ抽象的なものになり、
    最終的には「誰も殺してはならない」などの普遍的なものになる

    現代における儀礼:
    そもそも現代は個人主義的なもの。むしろ、個人であることを要求される。
    現代人は、皮肉や冗談で社会から距離を取り、これを言い合い(時には誇張して話すことで)、互いの内的自我形成に寄与する。

    *権力
    権力は簡単には機能しない。社会的闘争に巻き込まれる
    モチベーションの源泉は金銭・強制・連帯
    この中では儀礼(連帯)が有効である(儀礼と生産の無関連性と権力を分散という問題はある)。これは組織上位でよく用いられる。

    権力とは不確実性の中で発生する。どんなに複雑でも、定式化されればルーティンワークとして誰でも対応可能だからである。
    また、情報チャネル(=被権力)にトップの意思決定(=権力)が影響を受けるという皮肉もある

    *犯罪
    機会の平等と実績主義が強いほど、そこから弾かれると犯罪に走らざるを得ない。また、機会の平等もデータでは効果がない

    犯罪者扱いすることが犯罪者としてのアイデンティティを確立させる(道徳的な扱い:機会の均等も同様。法の存在もそう言える)。さらに、刑務所で同様の価値観を持った人々のみと交流させることで、その状況はさらに加速する。

    また、階級闘争はあまりなく、階級間で独立した犯罪が起こりやすい
    (∵地理的制約。闘争は階級間だけでない。)また、最下層階級は社会に結び付けられていないため、孤立した個人→合理的行為としての不正

    デンマークでは刑の執行が停止された際、財産犯罪は増加したが、殺人や性犯罪には差がなかった。また、米国の死刑制度と殺人の発生も関連してなかった。

    しかし、刑の執行は、儀礼的連帯を促進する点で意味がある。被害者なき犯罪も、社会に強く関連付けられた上位層が憤慨し、自らの地位と正義感を感じさせる。刑罰は非合理的な儀礼的性質
    犯罪は高度になればなるほど組織化(高度化)され、新規参入は太刀打ちできなくなる合理的なもの。

    *愛と所有
    男女間の格差は存在する。家族関係はそれ自体自明視されるものなのか。家族関係を所有の関係だと考えると、1.人間の身体に対する所有権、2.子どもに対する所有権、3.家族の財産に対する所有権の3つに分けられる。

    所有とは物だけでなく、金銭で取引可能なものとも限らない。一種の社会関係(例:土地に入れさせない)。ここから、愛と性は性行為を中心とした所有関係であると言える。

    また、性的所有は形を変えている。過去、性的関係は人生で一人のパートナーのみとされており、違反した場合の暴力も許容されていたが、今は事情が異なる(特に離婚権)。伝統的社会では性的関係を重視してきたが、近代では愛情を重視し始めた。性愛関係は社会構造により、嫉妬の感情も社会によって事後的に作られる(例:一夫多妻制)。加えて、恋愛とは多分に儀礼的(例:手を繋ぐ)なもので、象徴的なものを多分に含む(例:指輪)。

    近親相姦は禁止されているが、その程度は異なる(例:いとこ婚)。親は子に対する否定権を持つが、その程度は現代では縮小されてきている。性愛的所有が消えても、世代的所有(子の共有)で繋がることはある。

    伝統的な家族は、個々の感情は無視される場合が多く、主に経済的単位で動く(貧民は家族を持たない)が、恋愛が市場化された今では、感情的な側面での結合が強い。

    マルクス主義モデルは、性愛的所有と世代的所有を無視し家産的側面のみに焦点を当てるという点で誤り。

    19世紀のヴィクトリア革命:女性はまだ十分な仕事はない。しかし、性愛と家産を交換可能になる。20世紀:女性の自活が可能に。

    複数の性的パートナーを持つことにおいては、一般的に女性が得をする。男性から始めたいというのに男性から終わらせたいとする皮肉。

    反フェミニスト運動は(儀礼的連帯により)自らの社会的地位を再認識・確保するための活動であるが、ヴィクトリア革命が差別賃金に立脚していたことを考えると、ほぼ不可能であると考えられる。

    *会話
    1.会話が途切れたらすぐ言う
    2.相手のリズム(話、声色)の理解
    3.相手の社会的属性の理解

    「人間らしい」合理的な人とは「善くない人」となりかねない

  • 私は社会学を大学で専攻している者であるので、社会学を探求する知的エネルギーをもらった感がある。
    文献案内も単なる羅列ではなく、この論点についてはこの本というように、他の関連した本を読むのを促してくれる点で非常に好ましかった。

  • 物事を少し違った見方で見てみよう。

    位置づけとしては社会学の入門書になる。私たちが日ごろ目にする社会現象には、それを生み出すメカニズムがある、もしくは見い出すことが可能である。

    仕組みと結果の因果関係については、取り敢えず疑ってみて良い、と私は思う。身の回りの物事をよく見てみると、なんでそうなっているのかわからないもの達であふれている。一応は、それなりの説明がついているものもある。しかし、私たちは常に真実を知っているわけでもないし、知る必要もまた、ないだろう。

    であれば、日常からより多くのアイデアを取り出せる態度、捉え方で世の中を眺めてみることを、私は支持したい。特に考えもしなかった当たり前のこと、「○○とはそういうものだ」を離れて、「実は」を想像してみることは、時として生活を鮮やかにすることがある。

    そういう訓練のために、先人たちのアイデア、思いつき(もちろん、練り上げられたものだ)をサラッと眺めてみることは、とても役に立つと思う。

  • 社会学入門書ということらしいですが、教科書的でないのがいい。「あたりまえ」と普段思っていることも、決して当たり前でないことがとてもよくわかります。
    翻訳文という性格もあるのでしょうが、読本のようで一気に読めておもしろい。

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著者プロフィール

大阪大学名誉教授

「2020年 『よくわかるスポーツ文化論[改訂版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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