- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006003302
感想・レビュー・書評
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2019.2.26-2019.3.1
本屋で「おや、河合先生のユングの本がある」と思つて買つて読んでゐたら、「のちに河合隼雄が日本の昔話を女性の意識から分析...」といふ文がある。あれ?と思つたら、ご子息の本だつた。
ユングについて、良くまとまつた本である。魂の現実性(リアリティー)といふ副題も良い。文庫版へのあとがきに、池田晶子さんが高く評価してゐたとして文庫での復刊を勧められた、とある。
ユングのやうな霊感の鋭いタイプの思想を整理して説明することは難しいし、特に心といふ形の無いもの、動いて止まないものを相手にしてゐる時には、特にさうだ。一つものが対立した要素を生み出し、対極にある二者が一つになる。生命とか創造とかいふものには、さうした不思議が付き纏ふ。固定したものではないからだ。
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ユングの生涯と思想を解説している評伝です。
ユングの考える「魂」、あるいは「アニムス」と「アニマ」といった諸概念を実体的にとらえ、「個性化」を図式化するような理解に対して、著者は異議を申し立てています。林道義の解説書でも実体化に対する批判が述べられていましたが、林が方法論的な観点からユングの思想をとらえなおそうとしているのに対して、本書では弁証法的なダイナミズムを重視する観点から、諸概念の実体化を批判しています。 -
かなり「あぶない」ユングの実態がわかります。
フロイトも「あぶない」人でしたが、ユングもまた、自らの精神的問題から学ぶことの多かった人なんですね。