- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006003340
作品紹介・あらすじ
「われわれ」と「かれら」、「内部」と「外部」との間にひかれる切断線。ジェンダーにも、人種にも、「差別のない区別」はなく、必ずそこに非対称な権力関係が生じる。その力学を読み解き、フェミニズムがもたらしたパラダイム転換の意義と、今後の可能性を提示する。「"わたし"はなぜ社会学するのか?」との問いに答える「"わたし"のメタ社会学」も収録。
感想・レビュー・書評
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フェミニズムがfeminityのismであるからか、「女性の権利向上を求める集団」という認識があり、彼らが広く社会に異議を唱えることを奇異に捉える人がいる。無論女性の権利向上という捉え方は誤りではないし、事実それを中心に据えるフェミニストは大勢いる。しかし、その考え方がもたらすものは、明らかに「女性の権利向上」を超えている。それをわかりやすく簡潔にまとめたのが表題作「差異の政治学」であり、他の収録作はその詳細な解説とも言える。(なんなら表題作だけでも立ち読みするべきとも思う)
では彼女にとって差異とはなんなのか。こう語る。
ジェンダーに限らず、差異化は必ず「われわれ」と「彼ら」、「内部」と「外部」に非対称な切断線を引くことで、カテゴリー相互の間にも、またカテゴリーの内部にも、権力関係を持ち込む。したがって、政治的でないような差異化は存在しない。「差別のない区別」のような一見中立的な概念も存在しない。p34
さて彼女のフェミニズムのその最終的な目標は「非対称的な差異化そのものの解体」である。それゆえに、「男と女」とはその一例にすぎない。「健常者と障害者」や「日本人と外国人」という差異化もまた対象である。日常でもあらゆるところに差異化は存在することになり、それら全てが検討対象である。最近よく言われる「当たり前を疑う」を地で行っているのかもしれない。
ちなみに、この本を読んでから彼女の最近の政治運動批判を読むと非常に面白い。
http://matome.naver.jp/odai/2144051410508506801詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
論述にバトルを取り入れるからおもしろいんだろうな。読むものをわくわくさせる。
読みやすい。
わかりやすい。