神話と日本人の心〈〈物語と日本人の心〉コレクションIII〉 (岩波現代文庫)

著者 :
制作 : 河合 俊雄 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 42
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006003463

作品紹介・あらすじ

日本を代表する心理学者・河合隼雄が、ユング派分析家の資格取得論文のテーマとしたのは、日本神話であった。日本人の心理の深層に存在する日本神話の意味と魅力を、日本の読者向けにわかりやすく語る。太陽神アマテラスはなぜ女性なのか?ツクヨミの日本神話における役割とは?トリックスター、英雄など様々な顔を持つスサノヲとはいかなる神か?世界の神話・物語との比較の中で『古事記』『日本書紀』を読み解き、日本人独特の心性の深層にせまるとともに、現代社会の課題を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 日本神話を丁寧にたどって図式的に説明。
    古事記、日本書紀を読みなれている人からすれば、真新しいこともない指摘もある。結論がやや早急すぎて強引な気がする。他国の神話も豊富に引用して比較分析されているのはいいが、話が飛んでしまって読みづらい面も。

  • 2階心理学C : 164/KAW: 3410161629

  • 日本神話の中に古代から通底する日本人の心のあり方を探った著者晩年の集大成。深層心理学に基づいた視点により神話のそこかしこに調和を第一に重んじる日本的精神が息づいていることが本書では明らかにされていく。一人の日本人として自分のルーツがどんどん鮮明になっていくようで感慨深かった。日本神話に表れている心性が私個人の中でも中心的な地位を占めていることをいたく実感した。科学は分解する力だと言い、それと対比して神話は統合する力であるとして現代における神話の力の重要性を指摘しているのは、現代人の一人として深く同感するところである。ただし著者が序章で言っているように、現代を生きる私たちは日本神話の物語にそのままフリーライドすることはもはやできない。それを拠り所にしつつ自分で物語を築く必要がある。なんと厳しい世の中なことかと思うが、拠り所にすべきものが一つ分かっただけでも私としてはひとまずほっとした気持ちがした。

    以上のように私は主に個人のアイデンティティのこととして読んだが、日本人論や日本社会論としてもとても興味深い。というかそちらが本分である。今の日本または日本人が今後目指すべき道について重要なヒントが提示されていると思う。日本人としてのルーツを明確に見直すと共に今後のあり方を考える道筋を示してくれる良書であろう。学術文庫だが、文章は易しく専門的なややこしい話も出てこないので、広く一般の人でも読める。著者もそれを望んでいるという気がする。

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プロフィール

河合 隼雄(かわい はやお)
1928年6月23日 - 2007年7月19日
兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。1952年京都大学理学部数学科卒業後、京都大学大学院で心理学を学びつつ、数学の高校教諭を兼業した。
天理大学で助教授時代にユング研究所に滞在し、ユング派分析家の資格を取得。日本における分析心理学の普及と実践に邁進。箱庭療法導入者としても知られる。欧米の心理療法を日本文化に根ざす仕方で導入を試みており、日本論・日本文化論の著作も多い。
主な受賞歴に、1982年『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、1988年『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞、1992年日本心理臨床学会賞受賞、1996年NHK放送文化賞をそれぞれ受賞。1995年紫綬褒章、1998年朝日賞、2000年文化功労者顕彰。
なお2012年に一般財団法人河合隼雄財団が設立されており、そこで本人の名を冠した「河合隼雄物語賞・学芸賞」が設けられている。

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