トランスナショナル・ジャパン ポピュラー文化がアジアをひらく (岩波現代文庫 学術354)

  • 岩波書店 (2016年9月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784006003548

感想・レビュー・書評

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  • いまやアニメや漫画のみならず、村上春樹を筆頭に日本文学も言葉の壁を乗り越えて伝達される時代。そんな中にあって本書の議論は「一見すると」時代遅れのように映る。だが、ぼくなりに虚心坦懐に読むと(ぼくがロートルだからということもあるのか)日本がアジアに対して行っているさまざまな覇権主義とその裏返しとしてのノスタルジーの投影の問題がまだまだ考える余地があることがわかり、啓発されてしまう。シビアでシャープで「甘え」を許さない本書はしかし、そうした冷徹な分析をとおして他者と真に出会うこと・対峙することをぼくたちに望む

  • 日本がかつて米国の文化に憧れ、音楽・テレビ番組が多く輸入されたように、今は東アジア、東南アジアなどの諸国で広く日本のテレビ番組が見られ、音楽が聴かれている。そしてマンガ・アニメも。かつて日本が侵略した時代の痕跡はなく、若い人たちに受け入れられている。クール・ジャパンという言葉が欧米でも使われているが、アジアにおいてはその比ではない。「東京ラブストーリー」がどのように台湾で受け入れられていったかの説明が説得力に富んでいる。台湾では必要以上に物語を誇張してしまうが、日本のテレビ番組は繊細な、優美な心理描写が優れているらしい。日本はかつて経済大国、エコノミック・アニマルと軽蔑されてきたが、今では文化を輸出する国になってきたことは喜ばしいこと、それは経済格差が近づき、文化面で空間軸だけではなく、時間軸としても接近してきたということだと分析している。1990年前後のソニー、松下によるコロンビア映画、MCA買収は当時、批判の目が強かった印象があるが、今にして考えると日本が文化大国になっていくプロセスだったのだろう。
    映画「ブラック・レイン」の中でのマイケル・ダグラスと高倉健の対話が日本への侮蔑を含んだものだったとは面白い!

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著者プロフィール

関西学院大学社会学部教授。専攻はメディア・文化研究。著書にResilient Borders and Cultural Diversity(Lexington Books)、『トランスナショナル・ジャパン』(岩波書店)、編著書に『〈ハーフ〉とは誰か』(青弓社)など。

「2021年 『多様性との対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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