大乗の教え(上) (岩波現代文庫〈仏典をよむ 3〉)

著者 :
  • 岩波書店
3.75
  • (0)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006003753

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大乗の教えは般若心経の空の思想のような哲学的な雰囲気を纏っていてそれまでの原始仏教や上座仏教の生活の知恵に重きを置いた教えとは違って見える。個人的にはそんな世界観に興味を惹かれているところはあるのだが、果たしてそれはブッダの教えとは関係ないのではないか、という思いもあった。ブッダその人の言葉として般若心経的なつかみどころのない観念としての世界が語られているわけではなく、後付けで概念が付け足されブッダは利用されているだけなのではないのか?
    そんな疑問に明確な答えが見つけられているわけではないが、法華教の「如来寿量品第一六」についての記載に次のような部分がある。「・・・それは肉身としてのゴータマ・ブッダの教えではない。それらの教えを成立させる根源は、時間的・空間的限定を超えていながら、しかもその中に現れてくるところの絶対のもの、諸法実相の理に他ならない。これが、「久遠の本仏」、永遠の根本の仏様である。つまり、世間では、ブッダはシャカ族から出家して、修行してさとりを開き、八〇才で亡くなったと考えられているが、実はブッダは永遠の昔にさとりを開いて、絶えず衆生を教化してこられたのであり、常住不滅であって、人間としてのブッダはただ人々を導くために仮に姿を表された」
    この考え方はかなり宗教のコペルニクス的展開というか、思い切った路線の変更だと感じた。開祖であるブッダの言葉は世界を映す大乗仏教世界的にはものたりないものだったかもしれないが、それなら俺たちの方がよっぽど上手くできる、さらに「この考え方を推し進めれば「ブッダその人の歴史的存在に縛られる必要はない」とう考え方をもち、それを長大な経文にしてしまう。そんな当時の仏教徒たちの思い切りの良さに感心する。

  • 東2法経図・6F開架 B1/8-1/375/K

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

新潟大学人文学部准教授
1977年、東京都八王子市生まれ。1999年、東京都立大学人文学部史学科卒業。2009年、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、博士(史学)。
八王子市総合政策部市史編さん室専門員、獨協大学法学部特任助手を経て現職。
著書・論文に、『東京の制度地層』(公人社、2015年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2016年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2017年、共著)、「1930・40年代日本の露店商業界紙『関西俠商新聞』・『小商人』・『日本商人』について」(『資料学研究』12号、2015年)、「戦災の記憶の継承と歴史資料――長岡空襲の事例に即して」(『災害・復興と資料』8号、2016年)など。

「2018年 『近現代日本の都市形成と「デモクラシー」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村元の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×