ボンヘッファー 反ナチ抵抗者の生涯と思想 (岩波現代文庫)

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  • 本 ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006004088

作品紹介・あらすじ

キリスト教神学者でありながら、反ナチ抵抗運動の一員としてヒトラー暗殺計画に加わり、ドイツ敗戦直前に強制収容所で処刑されたディートリヒ・ボンヘッファー(1906―45)。生命を賭して時代への抵抗を貫き、若くして殉教への道を選んだのは、なぜか。新たな知見も交えながら、その生涯と思想の意味を現代に問う。

感想・レビュー・書評

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  • うかつにも、ボンヘッファー(Bonhoeffer)を知らずにきてしまいました。神学者、哲学者でありながら、反ナチス抵抗運動に身を投じ、ヒトラー暗殺計画に関わって、強制収容所で39歳の若さで処刑されたこの思想家を大きなスケールで描き出すもの。

  • 『ボンヘッファー 反ナチ抵抗者の生涯と思想』宮田光雄 2019.7.17 岩波書店 

    1995.7に刊行されたものを加筆修正した。

    39歳の若さで処刑されたディートリヒ・ボンヘッファー。
    当初、ルター主義に立つプロテスタント神学者として出発した。カールバルトの神学弁証法に惹きつけられて支持者のひとりになった。
    ボンヘッファーの弟子・ベートゲは師の伝記を描いた。
    1906.2.4に双子の妹ザビーネと共に生まれた。父カールは精神医学の教授だった。
    米国のユニオン神学校に1年足らず留学する。フランスからのジャン・ラセール。米国の神学者ポール・レーマンとの交友を結ぶ。

    ドイツ教会闘争というとマルティン・ニーメラーが有名。だが初期はヒトラーを応援していた彼より最初にボンヘッファーは批判をしていた。
    ボンヘッファー書物 1937年刊行の『服従』。
    ボンヘッファーは1度はアメリカに脱出したが、数日でドイツに戻る決意をする。1939.6
    1939.9.1 ww2勃発
    1940秋ごろには教会闘争の戦列から1歩踏み出すことを決意。ヒトラー政権を倒すためのクーデタの可能性を巡って『倫理』草稿の執筆を始めたころ。
    1944.7.20にクーデタの失敗を知る。
    良心だけに自分のよりどころを置こうとする人は、悪しき良心のほうが欺かれた良心よりもためになるし、力強くもあるということを決して理解できない。
    ナチ体制は1枚岩でなく権力同士の闘争が生まれ続け組織間の生存闘争は「制度のダーウィン制度」と呼ばれる p.75

    「愚かさは悪意よりも、いっそう危険な善の敵である」
    ボンヘッファーは愚かさは本質的には知的な欠陥でなく人間的な欠陥であると述べる。

    獄中の中で過去の生活史を見直すことに努めている。退行の試みは決して現実逃避ではなかった。意志を活性化させるための努力だ。P。106

    ヒトラーに対する反乱が失敗し、手紙で自分が聖い生活を送ろうとしたと書いてある。その終わりに書いたのが『服従』。此岸性を積極的に評価する気になった。
    此岸性は色んな困難の中で生きることを規定している。

    政治宗教としてのナチズムを批判する暗号として天皇ファシズムを引用した。
    日本の憲法=政治構造についてはオット・ケルロイターが書いている。ナチ国法学者として来日していた。

  • 1 生涯(ボンヘッファーの生涯;時代精神の状況分析―「一〇年後に」を読む;「獄中詩」における自己分析)
    2 思想(信仰の服従のために―『服従』を読む;“責任倫理”を生きる―『倫理』を読む(1)
    政治的抵抗の神学構想―『倫理』を読む(2)
    “真のこの世性”を問う―『獄中書簡集』を読む)
    3 遺産(ボンヘッファーと日本)
    付論 祈ることと正義を行なうこと―ボンヘッファーの生誕一〇〇年の記念に

    著者:宮田光雄( 1928-、高知県本山町、政治学)

  • 東2法経図・6F開架:B1/8-1/408/K

  • 4月9日はボンヘッファーが処刑された日 | クリスチャンプレス
    https://www.christianpress.jp/april-9-dietrich-bonhoeffer%E3%80%80anniversary/

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    キリスト教神学者でありながら,反ナチ抵抗運動の一員としてヒトラー暗殺計画に加わり,ドイツ敗戦直前に強制収容所で処刑されたディートリヒ・ボンヘッファー(一九〇六―一九四五).生命を賭して時代への抵抗を貫き,若くして殉教への道を選んだのは,なぜか.新たな知見も交え,その生と思想の意味を現代に問う.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b458079.html

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著者プロフィール

1928年高知県生まれ。東京大学法学部卒業。東北大学名誉教授。主な著書は『西ドイツの精神構造』(学士院賞)、『政治と宗教倫理』『ナチ・ドイツの精神構造』『現代日本の民主主義』(吉野作造賞)、『非武装国民抵抗の思想』『キリスト教と笑い』、『ナチ・ドイツと言語』『聖書の信仰』全7巻、『国家と宗教』『カール・バルト』『ボンヘッファー』(以上、岩波書店)、『宮田光雄思想史論集』全8巻(創文社)、『十字架とハーケンクロイツ』『権威と服従』『《放蕩息子》の精神史』(新教出版社)ほか多数。

「2022年 『良き力に不思議に守られて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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