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Amazon.co.jp ・本 (596ページ) / ISBN・EAN: 9784006004149
作品紹介・あらすじ
日本で初めて発行部数一〇〇万部を達成し,雑誌の黄金時代を築いた大日本雄辯會講談社の伝説的雑誌『キング』.同時代のメディア環境全体のなかでこの国民大衆誌の意味を捉え直し,戦時体制下において「雑誌王」野間清治と「講談社文化」とが果たした役割を解き明かしたメディア史研究の金字塔,ついに文庫化! (解説 與那覇潤)
みんなの感想まとめ
時代を反映したメディアの変遷と大衆文化の形成を探る本書は、伝説的雑誌『キング』の誕生とその影響力を多角的に分析しています。講談社の創立者・野間清治の人物像や、戦前のメディア環境、さらには他の雑誌との関...
感想・レビュー・書評
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P332=具体的には、雑誌拡大の定石である「大附録作戦」が『報知新聞』でも開始され、菊池寛、白井喬、佐々木邦などの小説、木村義雄八段の「将棋上達の道」など掲載した週刊『日曜報知』(B5判、32頁)が定期購読者に無料配布された。
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そんな雑誌があったのか。
生まれた年に廃刊 -
キングという雑誌がどのように作られ、そして時代とともにどのように書かれていったかという話である。最初のキング発行についての話に力が入っていた。講談社文化、社長の経歴など多種多様で面白い。
ただ残念なことは、学生にとっては、当時のキングをほとんど手に入れて自由には読めないということである。メディア史の研究以外の学生には興味が持てないであろうということである。青空文庫に入っているか講談社が会社のサイトで自由な閲覧にしてくれればまた別であろうが。
佐藤が書いているように、自分がキングを読んだからこそ、こうした書籍ができあがったのであろうと思う。学生にとっては、ジャンプであるのかもしれない。 -
新海均「カッパ・ブックスの時代」を読んだときに、講談社が戦争加担の罪をGHQに問わて存続しえなくなることを想定して、先に光文社を切り出しておいた、というような記述がありました。つまり講談社自身が戦争突入、戦時体制への責任の自覚があったんだ、とことがわかるエピソードでした。本書「キングの時代」は、講談社がどういうビジネスをすることによって国民の世論に影響を与えていったか、を詳細に解明していく論考です。キングが、「国民大衆雑誌」になっていくことは自体が、一部の知識人によるものではなく大衆が参加できる国民という公共圏を創り上げていく、という指摘が目鱗。つまり、キング以前には「一億総動員」的な国民という概念が無かった、ということです。読書を大衆化することで、大衆を国民にしていく、ことがファシスト的公共性を作り出していくプロセスの解明は、非常に刺激を受けました。その参加性・動員性のパワーの源泉が、創業者野間清治自身が持つ「立身出世主義」という、大衆のインサイトを突くものであったこと。さらには、その総合性・広範性が学問的なコンテクストベースの知識ではなく、大日本雄弁会講談社という最初の社名になるように「雄弁」とか「談」という声のコミュニケーションのオルタナティブだったこと。などなど講談社のビジネスの唯一無二性が興味深かったです。だから講談社の競合は出版というよりそのあとで日本に広まるラジオであり、受信機が一部の富裕層のものだった時代の大衆が買える「文字のラジオ」がキングであった、ということになります。ヒットラーのファシズムが演説による国民との直接コミュニーケーションであったことがを考えるとキングが日本ファシズムの一端、というかど真ん中を担っていたのかもしれません。いまやキングの名前がAKB48のキングレコードだけに残っていることも面白い符合と考えることが出来るかもせれません。自分が一番、ムムム、と思ったのは小田光雄「近代出版史探索」で指摘されていたふたつの発見ポイントとキングとの合致。円本ブームが本という商品の大ブレイクを作る、一歩手前の国民文庫刊行会の販売システムのような「全集類の読者を対象とした予約出版形式」。これって雑誌の定期購読のことにもつながるような気がします。もうひとつは啓蒙的な上部構造としての出版に対比される「娯楽、健康、療養、ガイド、宗教、占いといった民間出版物を主体」とした赤本といわれる下部構造の出版物の流れ。これも現実利益っていとでいうとキング的なことなのかな、と。読後、すぐの感想なのでもうちょっと考えたいです。すくなくても、このunder coronaの元で、公共圏とメディアの問題はマル必なテーマになるでしょう。
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東2法経図・6F開架:B1/8-1/414/K
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「キング」といえば「少年キング」しか知らない世代で、戦前大部数の発行を誇り、大衆文化の代表格として取り上げられる雑誌くらいの知識しかなく、詳しいことは知らなかった。
本書では、メディア論の見地から、国民雑誌を目指したキングについて、講談社の創立者である野間清治の人物像から、創刊に至るまでの他の雑誌の状況等の前史、読者階層ごとの普及具合い、新メディアであるラジオとの関係、戦争との関わり、大衆的公共圏形成への貢献度等々、幅広い紹介、考察がなされている。
従来、岩波文化に比べられるものとして講談社文化という捉え方があったが、どちらかというと大衆文化という点から論じられていたと思われるが、本書は、一つの雑誌を通して見る社会の見方として、非常に興味深いものがある。
著者プロフィール
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