コレモ日本語アルカ? 異人のことばが生まれるとき (岩波現代文庫 学術467)

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  • 岩波書店 (2023年6月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (284ページ) / ISBN・EAN: 9784006004675

作品紹介・あらすじ

「これながいきの薬ある。のむよろしい。」この台詞から中国人を思い浮かべる人は多いだろう。だが現実の中国人は今、こんな話し方をしない。近代の日中関係のなかでピジンとして生まれたことばは、創作作品のなかで役割語としての発達を遂げ、それがまとう中国人イメージを変容させつつ生き延びてきた。(解説=内田慶市)

みんなの感想まとめ

特定の口調を持つ「アルヨことば」の背後にある歴史や文化について深く掘り下げた作品で、読者はその発祥や変遷を通じて日本と中国の複雑な関係を理解することができます。多くの人が幼少期から親しんできたこの言葉...

感想・レビュー・書評

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  • 「これながいきのくすりある。のむよろしい。」といった台詞を聞くと多くの人が中国人を思い浮かべると思うが、そんな「アルヨことば」の来歴を探り、それと関連する戦前・戦中に満洲で用いられたピジン(境界語)である「満洲ピジン」や、中国の抗日映画などで日本人が話すピジン風のことばである「鬼子ピジン」についても触れている。
    確かに実際の中国人がそのような話し方をするのを聞いたことはなかったものの、「アルヨことば」は漫画などで中国人キャラが喋るちょっと滑稽なことばということで幼いころから親しんでおり、「アルヨことば」=中国人というイメージが頭にインプットされていて、その起源などを考えたこともなかったが、本書で横浜ことばに淵源があることや、宮沢賢治の童話等で用いられてきた経緯などを知り、とても興味深かった。
    一方、これまで親しみを感じてきた「アルヨことば」だが、その背景には戦前・戦中の日本人の中国人に対する偏見や差別意識があったということも理解し、ちょっと複雑な思いはあるが、そのような事実は事実できちんと認識しないといけないなと感じた。

  • 「アルヨコトバ」には少なからず侮蔑的意味合いが含まれていることには,幼い頃から「なんとなく」の感覚を持っていたけど,それが日本と中国を取り巻く近代史を中心に,それこそ,中国4000年の歴史への畏怖,裏返しとしての侮蔑…複雑で捻れた国家的,国民的感情が,世情や必要性と複雑に絡み合いながら誕生したコトバであること…なんという奥深さと面白さと,そして愚かさと悲しさであろうか!
    今感じている感覚をどう消化して行くのか…
    親しんできたいくつもの小説や映画が頭の中をぐるぐるしている
    本書にも登場する「サイボーグ009」も,「らんま1/2」も,数々のジャッキーチェンの映画の吹き替えも…それぞれに登場するキャラの『役割語』としての「アルヨコトバ」…こともあろうに同じ香港人同士のやり取りなのに,ジャッキーは標準語,意地悪な子悪党は「アルヨコトバ」や中途半端な「関西弁的なコトバ」で表現されていたりしていたことを思い出す.
    役割語には,少なからず,差別的思考が不可分に存在することを痛感してしまった.
    コトバは,面白くて,そして残酷で,真実だ.

  • フィクションの中国人の独特のあの口調を〈アルヨことば〉と定義し、その発祥から日本での定着と変遷を紐解いてゆく大変いい本でした。作者の先生が抗日映画からヘタリアまで追って言語学者目線で楽しんでるの面白かった。確認したら地政学ボーイズはしゃべってないですね。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1324928

  • 金水敏著『コレモ日本語アルカ? : 異人のことばが生まれるとき (岩波現代文庫. 学術 ; 467)』(岩波書店)
    2023.6発行

    2023.9.18読了
     本作は〈アルヨことば〉にスポットを当てた作になっている。
     幕末〜明治期に、横浜の開港地で〈アリマスことば〉が用いられ、南京では中国人が〈アルヨことば〉を用いていたという。
     フィクションで中国人にアル語法を使わせた最も古い例は宮沢賢治の「山男の四月」らしい。
     南京で中国人が〈アルヨことば〉を用いていた例と宮沢賢治の「山男の四月」の間には時間的断絶があり、ここの経過までは本書では明らかにされていない。研究が進み、ここの経過が明らかになることを望む。

     それにしても、満洲ピジンや抗日映画にまで話が展開していき、意外にもと言うか、やはりと言うべきか、偏見や差別意識もその背景にはあって、読む手が止まることができないほど面白かった。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/032832001

  • 最近では少なくなってきましたが、一昔前までは漫画やアニメでもおなじみだった、中国人のキャラクターが話す「〜アルヨ」「〜するヨロシ」といった言葉づかい。古くは宮沢賢治の童話の中でも使われています。しかし、ご存じの通り実際の中国人は、こんな話し方はしません。
    本書は、そうした言葉づかいを〈アルヨ言葉〉と呼び、一体どのようにして〈アルヨ言葉〉は生まれ、また長年にわたり創作物の中で使われてきたのか。その歴史と変遷を、多くの外国人が日本を訪れはじめた頃の明治時代の横浜や、日本人と中国人が生活圏を同じくしていた戦前の満洲などに遡りながら考察した一冊は、日本人と外国人が出会う境界の場所や時代をめぐる冒険でもあります。

  • 東2法経図・6F開架:B1/8-1/467/K

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/476642

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著者プロフィール

大阪大学大学院文学研究科教授。一九五六年大阪府生まれ。専門は日本語学(文法史)。著書に『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』(岩波書店、二〇〇三)、『日本語存在表現の歴史』(ひつじ書房、二〇〇六)、『役割語研究の地平』(くろしお出版、二〇〇七)、『コレモ日本語アルカ? 異人のことばが生まれるとき』(岩波書店、二〇一四)ほか。

「2018年 『時代劇・歴史ドラマは台詞で決まる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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