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本 ・本 (234ページ) / ISBN・EAN: 9784006004781
作品紹介・あらすじ
フェミニズムとは、女の解放を意図しながら、「女」と位置付けられている者以外にフェミニズムを開いていくこと──最良の入門書であるとともに、男/女のカテゴリーを徹底的に解析する本書は、性差の虚構性を暴き、この身体から未来を展望する可能性を示す。齋藤純一氏との『思想』対談を付して文庫化。(解説=岡野八代)
感想・レビュー・書評
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フェミニズムを全体的に解説をした本です。ただし、私にはかなり難しく感じました。
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後半部分が特に素晴らしかった。フェミニズムって言うのはどうなんだみたいな意見をよく聞くが138ページの「フェミニズムは、「女」に位置づけられている者が、女に対してなされる暴力を言挙げしつつ、それによって「女」という名前をジェンダーにおいても、セクシュアリティにおいても、セックスにおいても返上しようとしてきた軌跡である。」本当に。今はジェンダー論に回収されがちだが、まだフェミニズムということばには力があるはず。
愛の喪失の感覚に向き合うこと。喪失をただ反復して公的な主体を構築してきた所謂男性的社会といった書きぶりは本当に見事で、喪失がブルドゥーのいうハビトゥスを変形させうるというところは首がもげるほどうなずく。私が戦後文学やサブカルに拘泥するのはこの喪失の感覚が書かれているにも関わらず、ほとんどそれに関して正面から向き合った議論がされてこなかったのではないかと思うから。
ここまでは批評や哲学の話だが、これが政治学に接続される後半部分は胸熱でした。国民国家の体制を補強するものとしてはレズビアンが、ネオコロニアル的な搾取に加担させるものとしては女性の職場進出が使われているというのは、自分が就活で感じていたモヤモヤをスパッと言語化してもらった感。勿論数として増やすという外側からのテコ入れは不可欠なのだが、実際問題意識が共有されているかと言われれば、むしろバックラッシュが起こっている感あるもんな。
再占有からも極度の分裂からもすり抜けるという隘路を理論・実践・政策において進もうというラストの呼び掛けは二元論の超克としてはひとつの完成系なのではないかと思いつつ、やはりこれだと政治の世界でパワーを持たないのかな?とも思った。
齋藤との対談も興味深く、私は親密圏、ええやん共同生活者みたいなんも入りそうやし〜と思ってたけど、竹村は公共圏と親密圏からこぼれ落ちるものにも目をつけていて流石という感。齋藤さんがやられっぱなしで議論の筋が見えにくかったが…
最後に抜粋。
「社会を変革するような革命は、ささやかな日常の読みの実践のなかに芽吹く」
泣いちゃうよ〜。もうちょいがんばる。 -
ネット上のなんちゃってフェミ論争や男女論でもなく、ツイフェミでもなく、学問としてのフェミニズムにコミットしたい人にうってつけかと思う。
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【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/482848 -
【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/717212 -
東2法経図・6F開架:B1/8-1/478/K
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出版社(岩波書店)のページ
https://www.iwanami.co.jp/book/b646717.html
シリーズ 思考のフロンティア(2000年)+斎藤純一氏との『思想』対談 +解説・岡野八代 の文庫化
※ 旧版のページ(目次あり)
https://www.iwanami.co.jp/book/b257293.html
著者プロフィール
竹村和子の作品





