小説 太宰治 (岩波現代文庫)

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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006020125

作品紹介・あらすじ

太宰は自らの文芸の完遂の為に死んだ-。青春の一時期、ともに酒をあおり命をあおる濃密な交友を結んだ作家檀一雄は、太宰の死の直後、心に惻々と迫る挽歌を夜通し綴った。そして死をもって完遂された文芸を前に、何か書き加えることを躊躇しつつも、胸に残る数々の断片を回想せずにはおれない。才華ある友の姿を活写する珠玉の一篇。

感想・レビュー・書評

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  • ひとりの作家がひとりの天才に出逢ってからその別れまでのたいせつな記憶。

    壇一雄にとって、太宰はとても大きな存在だったんだろう。その才能を妬み羨み、それ以上にその人間性にどうしようもなく惹かれてしまう、悲しくも美しい想い。
    太宰と初めて逢った日に云った、
    「君は天才ですよ。たくさん書いて欲しい。」
    この言葉、どんな気持ちで、思いで発せられたんだろう。同時代に活躍する作家に、君は天才ですよ、なんて。

    「作為された肉感が明滅するふうのやるせない叙情人生だ。文体が肉感にのめりこんでしまっている。」

    太宰について壇一雄がこう描写するのだけれど、太宰という存在がもう文体になって、文学になってしまって、太宰の死さえも彼の文学の完遂のためであったと断言してはばからない壇一雄だからこそ表現しえた文章だと思う。
    壇一雄にとって、太宰は、文学そのものだったんだな、と。

    思うところはあっただろうし、きれいな感情だけでは留まらないこともたくさんあったに違いないけれど、それらをすべて含めた、壇一雄の、太宰への、太宰という作家への、尊敬と友愛に満ちた美しい一冊だった。

  • 檀から見た太宰との物語。同時代の作家や編集者などとの関わりのなかで、太宰はどんなふうに生きていたのか。
    太宰がしだいに死に向かっていきそうだと檀が感じるところなど、友情。
    中原中也はお酒を飲むと、太宰にからんで殴って喧嘩になった、というエピソードもあり。

  • 太宰治とは何者か。その断片がうかがい知れる。

  • 面白かった。檀一雄もすごい作家なのだが、この小説の中では太宰治という風変わりな天才と出会ったひとりの青年(檀)の葛藤と憧れに焦点を絞っている。青春小説としても読める。お金がないのにふたりして飲む打つ買うを繰り返していた二十代から(博打はしていなかったが)家庭を持ち徐々に二人の関係性にズレが出だした三十代。この奇妙な友人関係は太宰の自死で終止符が打たれることになる。青春に出会いと別れは付きものだなあとほろ苦くも普遍的な余韻を残す。しかし友人はいるわ妻子はいるわで生き様以外はリア充そのもので羨ましいよ!

  • 太宰の小説は何作か読んでいるものの、当人については自殺未遂を繰り返した人というくらいしか認識がなかったのでこれを読んでみれば少しはわかるかと思い読んでみました。
    やんちゃすぎる二人の青春のような日々が、なんだか終盤になるにつれて切なくて大切なものだったんだなぁと思わされました。
    ちょっとそれどうなのよ?というような場面も含めて生きている太宰が少しでも垣間見れたので読んでよかったです。

  • 壇一雄から見た太宰治。
    終盤で壇が自分と太宰の生に対する考え方の違いに
    気づく場面が非常に印象深い。
    多少の脚色はあるにせよ、彼ら無頼派の生き様が心に響く。

  • メロスの元ネタとしてよく言われる熱海の旅館に太宰が友人置き去りにした事件、置き去りにされた友人こと檀一雄氏がいかにノリノリであったかがよくわかる一冊だった
    すべては大切な思い出です。切なくて泣けてきます。沢木氏の解説まで名品

  • 太宰があんまり太宰で、もうね。

    『「君は――」
     と、私はそれでも、一度口ごもって。然し思い切って、口にした。
    「天才ですよ。沢山書いて欲しいな」
     太宰は暫時身をもだえるふうだった。しばらくシンと黙っている。やがて、全身を投擲でもするふうに「書く」
     私も照れくさくて、やけくそのように飲んだ。』

    「小説」と題名に冠している以上ある程度の脚色はあるだろうが、それにしてもドラマティックな人生だ。味の素。

  • 好きだなあ。好きだ。正直言うと檀一雄の作品ってこれしか読んでないのだけれど。私も太宰とこういう関係だったらなーと想像しちゃう本。変な話だけど、薄暗さがつきまとう不健全な青春に萌える。

  • ハードカバーで読んだのですが、何故か検索に出てこないので。

    太宰治の文章は一時期すごく好きでした。今でも津軽と人間失格は持っています。人間的にはどうかなと思うところもたくさんですが、それを踏まえても太宰治の文章は魅力があるのだと思います。周囲の人間はたまったものじゃないでしょうけれど。
    父が先に読んでなんてはた迷惑で嫌な二人組だったのだろうと感想を言ってましたがまさにその通りだなと思いました。

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