金環蝕 (岩波現代文庫 文芸 15)

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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006020156

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  • F-川のダム建設をめぐる巨大な汚職事件と、その中で暗躍する政財界の人びとの姿を描いた作品です。

    前半は、電力建設会社の財部総裁を中心に物語が進んでいきます。事の発端は、寺田首相とその周辺は、総裁選に勝利するためにかかった費用を賄うため、F-川ダムの工事を竹田建設に請け負わせようとします。ところが、財部はかねてから付き合いのある青木建設に工事を受注させようと考えており、そんな彼に大臣らを通じてさまざまな圧力がかけられることになります。

    後半は、財部が竹田建設からの賄賂を受け取ることで戦いの舞台から去ることになり、前科四犯ながら政界の闇に通じている石原参吉と、日本政治新聞社社長の古垣常太郎、そして与党議員でありながら大衆の人気を得るために汚職の追及を進める神谷直吉といった癖のある人物が入り乱れて、ストーリーがにぎやかなものになります。

    汚職をテーマにした政治小説ですが、意外にエンターテインメント性もあっておもしろく読める内容でした。

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