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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784006020354
みんなの感想まとめ
自我を巡る深い考察が展開されるこの作品は、宮沢賢治の文学を通じて「自分とは何者か」というテーマを探求しています。著者は、賢治の作品が持つ表現の背景を感じさせる力や、彼の哲学と人生に根ざした美しい文体に...
感想・レビュー・書評
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宮沢賢治の作品を通して「自我」とは何かを論考する。
著者は「ふつうの高校生に読んでほしい」と思って書いたのだそうだ。
「自分とは何者か」を考えるのは近現代における人間最大のテーマだからね。だけど「ふつうの高校生」って誰だよって思っちゃう。難しいというか、こういう文章への習熟は必要だよね。
人が何を見てどう生きたのかのすべてをテキストにすることなんてできるはずもない。表現されたものの背景を読者により感じさせる力が賢治の作品にはある。だから宮沢賢治に魅かれるんだ。 -
近代的自我を超える自我の一つの可能性を賢治に見る論考、と言ってしまっては味気ないが、その考証を賢治の人生と哲学へ深く降りて行くことによって美しい文体が生まれている。
「家」への違和感と「資本主義」への違和感から農村に入った賢治が感じる農村への違和感は、賢治の法華経的潔癖さと、彼の生育環境にある。権力によってつくられた身体=存在を変え、エゴイスムを超えること。他者たちとの生命の交流の中に向けて開いていくこと。賢治の思想と実践は未完のものとして「現代社会」に生きる私につながっている。
見田先生が含意しているものはかなり深いと思う。再読します。 -
自我を巡る比較社会学の一部として構想された宮沢賢治論。
著者は本書を高校生に読んでもらいたい、と後書きで書いているが、この瑞々しい文章の見事さは天下一品。
リリシズムと硬質な論理に、高校生でも(こそ)感応することは間違いない。
宮沢賢治を、社会学のテーマとして取り上げることの驚き、そして、その成果への賛嘆を惜しみなく送りたい。
詩的で、知的で、美しい芸術のような文章で、
賢治の純粋さの中に、彼が指し示した生の可能性の新たな領域を見出していく。
そこには、人間の自我を裂開する可能性が開示されている、というのだ。
熟読玩味、韋編三絶すべき愛すべき書物。
ということで、さすがに韋編三絶はしなかったが、単行本は何度も読み返して、ヨレヨレになったため、岩波の文庫本も手に入れた。
著者は、本書を読んだら、宮沢賢治そのものを読んでほしい、と言っているが、本書を読み返すたびに、次は宮沢賢治の著作を読みたくなる。
<自我の比較社会学>として書かれたこの著作の直前に書かれたのが、遺伝子レベルで自我の発生を科学的に追い求めた「自我の起源」であるというのも驚きだ。
両者が同じ作者の著作だとは思えない。
一体、真木はどれだけの可能性を有した男なのか?
その真木悠介=見田宗介は、2022年に亡くなってしまった。
その寂寥感は喩えようもない。
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学校で進路レポートを書くために読んだ。
賢治の生涯というものの全体が、こんなにすっきり分かった気になった本は初めてだった。あとはもっともっと彼の作品に触れて、この本に書いてあることを消化したい。文字通り地に足のついた哲学者である賢治が素敵だなと思う。・・・宮沢賢治の見え方も、現実の見え方も、自分というものの見え方もかわる。/この人の『気流の鳴る音』も気になる。 -
非常に奥深く、心地よい本。
個人的には宮沢賢治に関する本の決定版といえる。 -
第27回OBPビブリオバトル「祭」で発表された本です。チャンプ本。
2018.7.25 -
見田宗介=真木悠介とは!
真木悠介の時間の比較社会学、抜群に面白いけど難読でした。
今回も読み切れるのか不安でしたが杞憂。
あとがきを読んで高校生に向けて書かれたものだと分かり、納得。
平易な文章の中にもやはり真木節あり。
自分は宮沢賢治の表層しか見えてなかったんだなと実感しました。が、日本語の美しさを体験出来る、母語で読むことが出来る、これはとても大きな意義があります。
宮沢賢治の美しい魂が結晶化して、透明になり降り積もる。
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記録
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美しい文章に魅了される幸せな読書体験でした。
自己を保存したいという願望と、自己を散開して他のあらゆる生き物とつながりたいという願望の相克。バタイユが追求した思想との類似性を感じました。 -
純粋なる自己犠牲の結果に早逝した偉人イメージがあった宮澤賢治ですが、死ぬことでしか解消されない問題を、極めて楽観的に選び続けた人生であったと思いました。「生殖と生計の営為にその身を汚さぬということによって、〈子供でありつづけること〉を、賢治はひとつの思想として選んだのである。」(P225)これってピーターパンじゃない!そうか、イーハトーブはネバーランドだったんだ!ってことは賢治は100年前のマイケル?社会の問題、家族の問題、自我の問題、賢治の「少年小説」が今だに普遍性を持っているのは大人と小人の葛藤があるからか…奇しくも賢治の文学のシンボルであるりんごはマイケルが一度は手にし、そして失うアップルというブランドでもあります。世界で一番、成功した中二病は宮澤賢治とマイケル・ジャクソン、とか言ったら誰かに叱られるんだろうな…しかし、本書がそもそもふつうの高校生に読んでほしいと思って書かれた、という点からも「自我」ってテーマ、気になって気になってしょうがありません。筆者の「自我の起源」読みたいリストに入れました。
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[ 内容 ]
幻想と現実、存在の肯定と否定,宮沢賢治の「世界」は外へ内へと転回しつづける。
我々を永遠に魅了する数々の作品表現の深層に、その意識・身体・自我を探索し、近代を駆けぬけた人間賢治の軌跡を現代の思想として構築する。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
幼いころその幻想的な物語を好きになることはできなかった。
如何せん児童が読むには暗い内容が多い。
よだかは燃え尽き、猫はいじめられ、
友人は水死し、セロ弾きは意地悪で、化け猫は人を喰おうとする。
しかし本書を読んでその印象が大きく変わった。
死は終わりではなく、輪廻によるひとつの通過点であるならば
物語は死によって閉ざされるのではなく、死によって新たに始まっている。
また、もう少し読めば
苦は痛みだけではない何者かであると分かるかもしれない。
生と死の継ぎ目が薄くなったか消えたかのように感じるように。
これから読み直す物語は、前向きな物語が増えそうだ。 -
素晴らしいので図書館で借りた後、結局買ってしまった。
宮沢賢治はただの幻想作家じゃなく、徹底的な思想とその実践にあるんですね。
入門書としても、非常に良い。
ポイント1,雨ニモマケズの「デクノボー」は不気味なマゾヒズムではない。
ポイント2,転生を信じていた
ポイント3、転生を信じていたが、迷いもある「オキナグサ」
ポイント4,詩「青森挽歌」は名作である、と
ポイント5,「わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の 一つの青い照明です」ってことを大正時代に考えるってすごすぎるだろう、と。
生き様も思想も結構壮絶で、そこに観察力と想像力が加わってあんな幻想世界が書けるんでしょうね。本当の天才なんだなあ、と感じます -
宮澤賢治がどんな人かを十分理解している人は以外に少ないのかも知れません。それくらい賢治という人は、多面性を持った人です。この本は賢治の詩や童話の中に込められた賢治の自己犠牲の先にある願いや思いを明らかにしています。最後の「マグノリアの谷」では泣けてきそうでした。
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分類=宮沢賢治(研究)。01年6月(84年2月初出)。『作品論集』で言及された見田氏の研究。
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