伊丹万作「演技指導論草案」精読 (岩波現代文庫 文芸 48)

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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006020484

作品紹介・あらすじ

演技と演出に関する総合的な研究は少ない。伝説の巨匠伊丹万作の「演技指導論草案」は、一九四六年に発表されて以来、その分野の最も実用的な古典として愛読されてきた。この八四の断章からなるエッセイを古今の映画の具体例をもとに考察し、人間行動の本来的な演技性と演出の問題をコミュニケーション理論として読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 伊丹万作の60年前の論文を手掛かりに、映画評論家としての著者が、演出と演技、監督と俳優の関係などについて考察した本である。40年来読み慣れている著者の本なので、私には大変読みやすく、言わんとするところも良く理解できた。私にとって新発見だったのは、清水宏監督の「有りがたうさん」の中の、朝鮮人労務者のシーンがどのように撮影されたのか、という著者の推理である。なるほどと思わせられる部分と、いやちょっとそこまでは、という気持ちと半々で、次回の鑑賞機会を楽しみにしたい。

  •  伊丹万作という、戦前の映画脚本家・映画監督さんがいて、この人は伊丹十三さんのお父さん。多少なマニアでも、監督作でいうと「赤西蠣太」くらいしか残っていなくてあとはフィルムが残っていない。だけど色んな証言から、名監督として知られている。
     で、この人が、「演技指導論草案」っていう、演技指導についておもいついたよしなしごとを、そこはかとなく箇条書きに書いたものが残っていて、これがなかなか含蓄に富んでいて、今日読んでも面白い。で、これは短くてすぐ読めちゃう。
     で、これに映画評論家の佐藤忠男さんが、その箇条書きに合わせて、昔の映画から最近の映画までの色んな俳優や監督のエピソード裏話を散りばめて、肉付けした読み物が、この本。
     多少仕事的な興味もあって読んだのですが、当たり前だけどまあこういう本は恋愛論の本みたいなもので、面白いテキストであることと、実践マニュアルであることは全く別なんで(笑)、こっちもそこはあくまで職業的な娯楽として読んだ。
     そしたら、佐藤忠男さんの、意味合い解釈的な解説はまあ、僕にとっては別に面白いということもなかったのですが、色んな裏話とかエピソードが、「へ~」度が高くて、面白かった。映画好き、特に日本映画好き、特に昔の映画から映画史的な見方で好きな人、にとっては面白いと思います。

     日本で映画制作が始まった頃の「事始」的なお話から、片岡千恵蔵、市川雷蔵、勝新太郎、緒形拳、吉永小百合、小津安二郎、黒澤明、溝口健二、清水宏、木下恵介、阪東妻三郎、是枝裕和、羽仁進、キアロスタミ、高峰秀子、山田洋次、浦山桐郎・・・・ 色んな楽屋噺的なエピソード満載です。題名のカタサよりも、中身は論文というより、映画千夜一夜オモシロ噺、ってかんじでした。

  • 「演技指導論草案」をネットで読み、他の人の解釈が知りたくてこの本を読んだ。時代背景や具体的な作品と絡めていろいろ解説してくれてるので、へ~という感じ。演出家と役者の関係は、他の関係に置き換えても色々と成り立つ。漫画編集者と漫画家の関係もそのひとつ。

  • 伊丹万作は、110年前の1900年1月2日に愛媛県松山市に生まれた映画監督で1946年に46歳で亡くなる。

  • この一冊から学ぶことがどれだけ多かったことか。

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著者プロフィール

1930年、新潟市生まれ。「映画評論」・「思想の科学」の編集にたずさわり、その後、映画評論家として活躍。日本映画学校校長を歴任。数多くの映画人を育てる。1996年に紫綬褒章を受章。アジアや中東の映画にも精通し、映画文化の世界的な貢献にも寄与。主な著書に、「日本映画史」(岩波書店)「黒澤明の世界」(朝日新聞社)「映画をどう見るか」(講談社)など多数。

「2009年 『意地の美学 時代劇映画大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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