詐欺師の楽園 (岩波現代文庫 文芸 66)

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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006020668

作品紹介・あらすじ

制度が硬直しているところこそ、詐欺師の楽園となる。まじめくさった軍隊やスキだらけの貴族社会、王宮の政治機構などを徹底的にコケにして、痛快な悪ふざけ、大泥棒を働く悪漢たちが跋扈する。一八世紀から二〇世紀、近代的システムが整備されんとするヨーロッパ社会の裏面と深層を辛辣に暴きだす精神分析的社会批評。

感想・レビュー・書評

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  • ペテン(=虚構)のマトリョーシカ状態。小気味よい傑作で大変におもしろかった。

  • この本は手放せないぐらい気に入ってます。自分たちの生活にあまり関わりが無い「裏社会」で生きてゆく人たちの人生が書かれていて、物凄く興味深い。一番好きな詐欺師はゲオルク・マノレスコで彼の人生は、少年の頃から波乱万丈。彼について知りたいならこの本を読むべきです。

  • 18世紀から20世紀のヨーロッパにおける「詐欺師列伝」。「精神分析的社会批評」ということですが、「はじめに」には、「 ……、読者はよろしく、この無数の顔を持ちながら顔のない男たちの肖像室に入って心おきなく笑い転げていただきたい。作者としてはそれが本望である」とあります。とまれ、そのとおり! 笑えます、かの「クヒオ」が映画化されるとか…?たぶん、それ以上に、笑えます。笑えるけれど、そして私は詐欺師のつもりはないけれど(もちろん!)、「あの人の前では、こういう私(でありたい)」というのを、時と場合に応じて意識したりしなかったりしつつ、それとして振る舞い分けているのではないか…?それはそれで当然だし、必要でもあることだけど。…あれこれ、直接関係あるようなないような、そんなことまで考えてしまう本です。

  • 壮大なスケールの歴史上の詐欺が面白く紹介された本。

    これを読んでいて、ホリエモンを思い出してしまいました…
    あの人も、詐欺師っぽくないですか? 

    それはさておき、作者の日本語も美しく、改めて正しい日本語について考えさせられる本でもあります。

  • 詐欺師は浪漫です!
    バージニアウルフの逸話がお気に入り

  • ★実在の人物でありながら謎の多い騎士、デオン・ド・ボーモン。その史実について本書をオススメ。第6章に載ってます。
     この8月からWOWWOWにて放送される『シュヴァリエ』の副読本に是非……というには史実があまりにアレなんだが(^^;
     一応、ファンのかたへご参考までに。

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著者プロフィール

種村 季弘(たねむら・すえひろ):1933-2004年。東京都生まれ。東京大学文学部卒業。ドイツ文学者。該博な知識人として文学、美術、映画から魔術、神秘学にいたるまで多彩なジャンルにわたり執筆活動を展開した。著書に『ビンゲンのヒルデガルトの世界』(芸術選奨文部大臣賞、斎藤緑雨賞受賞)、『書国探検記』、『魔術的リアリズム』など、訳書に『パニッツァ全集』(全3巻)などがある。

「2024年 『種村季弘コレクション 驚異の函』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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