西遊記の秘密 タオと煉丹術のシンボリズム (岩波現代文庫 文芸70)

  • 岩波書店 (2003年4月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784006020705

みんなの感想まとめ

物語の奥深さを探求する本書は、中国明代の『西遊記』を道教思想や煉丹術といった隠秘学の視点から解釈・解説しています。著者は、五行思想や煉丹術のモチーフが物語にどのように織り込まれているかを読み解き、単な...

感想・レビュー・書評

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  • 中国明代の白話(口語)小説『西遊記』を、道教思想や煉丹術といった隠秘学の視点から解釈・解説した書。物語の中にちりばめられた五行思想や煉丹術のモチーフを読み解き、壮大な知的遊戯(あるいは秘教的な世界解釈)としての『西遊記』の世界を紹介する。
    本書は、岩波文庫版『西遊記』訳者による『西遊記』の解説本であり、1984年に福武書店から刊行された同名書の改訂版である。著者前著『孫悟空の誕生』が伝説・伝承の系譜から見た『西遊記』の成立史であるならば、本書は中国思想(それも煉丹術などの秘教的思想)から見た『西遊記』の解釈を示した本と言えるだろう。一見虚構を扱った娯楽文学として扱われがちな『西遊記』ではあるが、原典を紐解くと五行思想や煉丹術の用語が各所にちりばめられている。著者はそれらの秘教的モチーフを様々な文献を駆使しつつ解読し、『西遊記』の中において秘教的なシンボリズムが(それこそ極度に観念的な操作を持ち込んでまでして)明確な意図の下に配されていること、『西遊記』という作品が(明代までの)隠秘学的な宇宙論を反映していることを示すのである。
    『西遊記』へと至る先行伝説の系譜を追っていた前著に比べると、本書の内容が複雑かつ難解なものになっているのは否定できない。(沙悟浄のベースを無理に実在の動物に比定しようとしてヨウスコウワニを挙げるなど)解釈に疑問のあるものも幾つかあるのだが、それでも本書は『西遊記』という作品の持つ奥深さを実感させ、また広範な中国神秘思想の一端を示してくれる一冊と言える。

  •  中野美代子教授の西遊記研究書は初読・再読を問わず、これで5冊目。相変わらず手がたい、そして手ごわい。煩瑣な注釈と豊富な図版にお手上げ気味だ。
     中国における演劇の発生はインドに遅れること千年、ギリシアに遅れること2千年、という指摘は興味深い。その理由として「虚構の原理にきわめて冷淡であったこと」を挙げている。そういえば、わが国の古事記にあたる、神話をまとめた書が中国にはない。

  • 西遊記に、道教あるいは煉丹術の要素がはいっているというお話でした。

    若いころ読んだら面白かったのだと思うのですが、とくにコロナ以降、この種の煩瑣な話を読むのはしんどくなってきました。私のメンタルの問題です。低い評価でもうしわけございません。

  • 五十嵐氏のSaruを読んだ後に再びマイブーム再燃となった西遊記と道教朱と言うキーワードで引っかかった書籍。自身の興味関心へとつながる内容はてんこ盛りだったので満足な書籍ではあるが、終盤に学者アカデミックの世界の性質に少し疲れを感じた。目の前に揃えた資料をあっち突きこっち突きしながら弄ぶ様がアカデミックの世界で学者が居続ける様かと思うと、僕には縁のない世界だと理解す◎
    ただ西遊記の再発見、道教陰陽の基本的な世界観、世界に通じる物語の妙というものに理解が至るに足る充分な書籍。改めて敬意を表す。

  • 文庫版。何で自分がこっちを登録していたのかは不明。
    出版されたんが結構前なので、今は研究が進んでいる部分も多いと思うけどもとても興味深く読んだ。
    星の話が面白かった。西遊記読んでたときから星たちのことは気になっていたのよ。二十八宿と十二支とか。
    あと、なた太子の話も面白かった。封神演技との関わりの話も面白かったんやけど…封神演技よく知らんくて…。前に偕成社の封神演技読んだんやけどな…全然予備知識ないわ。藤崎竜の封神演技しかわからんわ。

  • 福武書店から1984年に出版された元版で読んだ。
    その後、福武文庫にも収録されたが品切れのようである。

    目次(岩波現代文庫版)
    1 孫悟空の誕生と再生(子供を生む石―孫悟空の再生
    龍からの変身―孫悟空のもうひとつの誕生 ほか)
    2 『西遊記』の隠秘学(五行思想と『西遊記』―挿入詩の謎
    鉛と水銀の物語(煉丹術の秘法
    かくれたるポルノグラフィー) ほか)
    3 『西遊記』の社会学(星の化身たち―中国古代の夜空
    神々のヒエラルヒー―道教と民間信仰 ほか)
    4 『西遊記』の解体学ノオト(呉承恩と邱処機―作者をめぐる誤解
    『西遊記』の周辺―その成立前後 ほか)

    元版表紙画像
    http://lh6.ggpht.com/_A53tYw7stVg/SdjrwdA8FuI/AAAAAAAAAB8/qSX1WnBIN9w/%E8%A5%BF%E9%81%8A%E8%A8%98%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86285x400.jpg

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著者プロフィール

1933年生まれ.
1956年,北海道大学文学部中国文学科卒業.
北海道大学文学部助教授.
主 著:
砂漠に埋もれた文字—パスパ文字のはなし (塙書房,1971)
海燕(長編小説) (潮出版社,1973)
中国人の思考様式—小説の世界から (講談社,1974)
カニバリズム論 (潮出版社,1975)
悪魔のいない文学—中国の小説と絵画 (朝日新聞社,1977)


「1979年 『辺境の風景 日本と中国の国境意識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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