西遊記の秘密: タオと煉丹術のシンボリズム (岩波現代文庫 文芸 70)
- 岩波書店 (2003年4月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006020705
作品紹介・あらすじ
一見いかにも荒唐無稽、でたらめだらけであるかのごとき小説『西遊記』。この作品は、実は、世界を解釈しようとするメタフィジックな欲求にとりつかれた人々がでっちあげた、壮大な知的遊戯のテキストであった。『西遊記』の中にちりばめられたタオと煉丹術のシンボリズムを解読し、隠された世界解釈の謎に迫る、全く新しい『西遊記』論。
感想・レビュー・書評
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中野美代子教授の西遊記研究書は初読・再読を問わず、これで5冊目。相変わらず手がたい、そして手ごわい。煩瑣な注釈と豊富な図版にお手上げ気味だ。
中国における演劇の発生はインドに遅れること千年、ギリシアに遅れること2千年、という指摘は興味深い。その理由として「虚構の原理にきわめて冷淡であったこと」を挙げている。そういえば、わが国の古事記にあたる、神話をまとめた書が中国にはない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
西遊記に、道教あるいは煉丹術の要素がはいっているというお話でした。
若いころ読んだら面白かったのだと思うのですが、とくにコロナ以降、この種の煩瑣な話を読むのはしんどくなってきました。私のメンタルの問題です。低い評価でもうしわけございません。 -
五十嵐氏のSaruを読んだ後に再びマイブーム再燃となった西遊記と道教朱と言うキーワードで引っかかった書籍。自身の興味関心へとつながる内容はてんこ盛りだったので満足な書籍ではあるが、終盤に学者アカデミックの世界の性質に少し疲れを感じた。目の前に揃えた資料をあっち突きこっち突きしながら弄ぶ様がアカデミックの世界で学者が居続ける様かと思うと、僕には縁のない世界だと理解す◎
ただ西遊記の再発見、道教陰陽の基本的な世界観、世界に通じる物語の妙というものに理解が至るに足る充分な書籍。改めて敬意を表す。 -
文庫版。何で自分がこっちを登録していたのかは不明。
出版されたんが結構前なので、今は研究が進んでいる部分も多いと思うけどもとても興味深く読んだ。
星の話が面白かった。西遊記読んでたときから星たちのことは気になっていたのよ。二十八宿と十二支とか。
あと、なた太子の話も面白かった。封神演技との関わりの話も面白かったんやけど…封神演技よく知らんくて…。前に偕成社の封神演技読んだんやけどな…全然予備知識ないわ。藤崎竜の封神演技しかわからんわ。 -
福武書店から1984年に出版された元版で読んだ。
その後、福武文庫にも収録されたが品切れのようである。
目次(岩波現代文庫版)
1 孫悟空の誕生と再生(子供を生む石―孫悟空の再生
龍からの変身―孫悟空のもうひとつの誕生 ほか)
2 『西遊記』の隠秘学(五行思想と『西遊記』―挿入詩の謎
鉛と水銀の物語(煉丹術の秘法
かくれたるポルノグラフィー) ほか)
3 『西遊記』の社会学(星の化身たち―中国古代の夜空
神々のヒエラルヒー―道教と民間信仰 ほか)
4 『西遊記』の解体学ノオト(呉承恩と邱処機―作者をめぐる誤解
『西遊記』の周辺―その成立前後 ほか)
元版表紙画像
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