人間の條件〈上〉 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (583ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006020873

作品紹介・あらすじ

珍しく棉のような雪が静かに舞い降りる宵闇、一九四三年の満洲で梶と美千子の愛の物語がはじまる。植民地に生きる日本知識人の苦悶、良心と恐怖の葛藤、軍隊での暴力と屈辱、すべての愛と希望を濁流のように押し流す戦争…「魂の底揺れする迫力」と評された戦後文学の記念碑的傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 第二次大戦末期の軍需産業、鉱山を舞台に、人種差別、暴力、嫉妬、詐欺、保身など、あらゆる不正義がまかり通る状況の中でもがき苦しむ主人公。戦争や差別には反対だが、妻や生活のことを考えると表立って反抗できず、苦しむ姿を描いている重たい作品。人間の条件というタイトルを考えさせられる、重たい内容。

  • 娯楽小説に寄せている向きも感じないではないが、抗えない戦争の渦の中もがき振り回される梶、王、沖島らには心揺さぶられるものがある。かといって流れに呑み込まれる者、乗っかる者も人ごとのようには思えない。
    次巻梶はどこへ向かうのか予想もつかない。

  • この本は、戦争を知らない世代の人間はぜひ読むべきだ。戦争というものがいかに愚劣なもので、人の運命をどうしようもない形でもてあそぶものだと理解できる。戦争というとんでもない状況の真実が描かれている。

  • 息をつく間も無く、激しく生きる。平凡な幸せを夢見ながら、理不尽と戦う。不条理なことを許せない。それは、そうだろう。では、長いものには巻かれるか。

    戦争とは悲惨な人類の歴史だが、その中にあって、人間は初めて人間たるのかも知れない。生きるとは、感情の起伏の記憶である。然るからして、何もない日常では、生きた心地がしない。困難に立ち向かってこそ人生。しかし貫徹できないのが生身の人間。それを感じさせてくれる小説。

    私には、これがワイルド・スワンと並行して存在した、日本国の凄惨さを謳う小説のように感じる。昭和の前の世界。思い出せない過去。

    この感覚はなんだろう。

  •  上巻は、満洲の鉱山で少しでも「良心的に」戦争の時代を生き抜こうとする元転向者と、彼を懸命に愛する若く美しい妻の物語。あまりに青くさいインテリのちんまい自意識と、あまりにステレオタイプな性愛のとらえ方にほとほと鼻白むが、作者が「物語であるならば、面白くなければならない」というだけあって、ぐいぐいと引っぱる牽引力はなかなかのもの。上巻だけで583ページの大作だが、ほぼ1日で読み終えてしまった。

  • 文学が人間を描くものであることを久しぶりに確認。引き込まれるけど、読んでいてしんどい。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(佐藤優選)67
    文学についての知識で、想像力、構想力を豊かにする
    人間として誠実に生きるという観念を徹底的に追究した名作。

  • ※上中下の全3巻セット

  • 人間であるためには何を求められるのか、一人の男の孤独で壮絶な闘い。

  • 今年から設定、8月の自主課題図書。
    読書家な友達からのお勧めによる。
    その際賜ったお言葉。
    「決して感情移入して読んではいけないよ?」

    読後。
    …ええ、そのお言葉、身に染みました。
    でも…できるかっ!
    どう頑張ったって引きずり込まれるわっ!
    というわけで、どっぷり感情移入して読み、ぐったり疲れました。
    つ、つらかった…!

    「戦争はいけない。」そんなコトみんな知ってる。
    でも「何でいけないか。」ということを、こういう本を読んで、ひとりひとりが考えなくちゃいけないと思う。
    知らない、では済まされない。
    目をそらすわけには、いかない。

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