マリリン・モンロー・ノー・リターン (岩波現代文庫 文芸 114 野坂昭如ルネサンス 3)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021146

作品紹介・あらすじ

徹底的に現実を拒否しおぞましい妄想にとりつかれた人間を主人公として、遠国の美女への願望、女たちの執念、反逆的なヒューマニズムや現実逃避をテーマとする中編小説集。作家自身の「私小説」である表題作「マリリン・モンロー・ノー・リターン」をはじめ、性と死を執拗に直視した問題作である「娼婦三代」「母陰呪縛譚」「死の器」「不能の姦」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 野坂氏だけに限らないと思うが、書く話のパターンがいくつかあって、それぞれの感性、年代、境遇などで好みが分かれるところだろう。5編中、既読の「死の器」が私は一番好きだったけど、他のあけすけなエロ全開、欲望、妬み、業が三つ巴になった迫力たっぷりの作品もやはり面白く読めた。今更ながら気づいたが、女性が主人公になると、ワイワイガヤガヤどころではない、禍々しい作品ばかりかも。

  • この本に収録されている「娼婦三代」には五十過ぎの女に娼婦としての手ほどきを受けた時の快楽が忘れられず、新入りの少女に同じ事をして手籠めにしてしまう百合シーンがあったりします(その後どうなるかはタイトルからお察しください)。それはそうとほとんどが色事がらみの作品な中で「老いと死」を何処かユーモラスに飄飄と描いた「死の器」が一番好きだったり。

  • 十二分に堪能しました。屈折した性を悲喜劇交えて描いています。女性の悲しさも逞しさも描かれています。野坂氏はやはり心底女性が好きなのです。どのように女性を描こうと、そこには優しさがあると私には感じられます。これからも野坂氏の作品を読み続けようと思います。

  • 独特で不思議な文章リズム。こんなリズムの文体は初めてかも。

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著者プロフィール

野坂昭如

一九三〇年(昭和五)神奈川県生まれ。親戚の養子となり神戸に育つ。四五年の空襲で養父を失い、のち、実家に引き取られる。旧制新潟高校から早稲田大学第一文学部仏文科に進むが、五七年中退。CMソング作詞家、放送作家などさまざまな職を経て、六三年「エロ事師たち」で作家デビュー。六八年「アメリカひじき」「火垂るの墓」で直木賞を、九七年『同心円』で吉川英治文学賞を、二〇〇二年『文壇』およびそれに至る文業で泉鏡花文学賞を受賞。そのほか『骨餓身峠死人葛』『戦争童話集』『一九四五・夏・神戸』など多くの著書がある。二〇一〇年(平成二十七)死去。

「2020年 『「終戦日記」を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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