族譜・李朝残影 (岩波現代文庫)

著者 : 梶山季之
  • 岩波書店 (2007年8月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021238

作品紹介

朝鮮で植民地官僚の家庭に生まれ、敗戦の年に内地に引き揚げた著者は朝鮮を舞台にした作品を何作も執筆している。創氏改名が朝鮮の人々をいかに蹂躙したかを描いた「族譜」。日本軍の民衆虐殺事件が作品の要となる「李朝残影」。いずれも朝鮮植民地支配と日本人の責任を問いかけ、朝鮮民衆の受難を描いた作品として極めて完成度が高い。昭和二〇年八月十五日を主題にした自伝的小説「性欲のある風景」も収録。

族譜・李朝残影 (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

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    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4006021232
    ── 梶山 季之《族譜・李朝残影 20070817 岩波現代文庫》
     

  • 族譜 創氏改名について

  • 日韓併合時代の韓国を舞台にした小説を読むのは初めてだった。どの小説も主人公はみんな日本人だが、他国を侵略し、他民族を支配している国民のひとりとして理不尽な事柄に直面する。そのときに感じるものすごいストレスの描写がとても印象的だった。

  • 植民地朝鮮の状況が日本人男性と朝鮮人女性の視点からよくわかる本。
    当時の状況を日本人の視点から批判的に知るには良い本だと思う。

  •  日本人、むしろ本国人という表現の方が正しいような気もするが、の自分にはどうも居心地が悪い本だった。サルトルを、ファノンを、エメェエ・セゼールを読んだフランス本国人も同じだったのだろうか。
     族譜は、創氏改名がいかに朝鮮人(戦中の話なので、あえてこう呼ぶ)を蹂躙したのか、という話だ。もっとも、小説という形をもって、著者が著者自身の体験を述べているような感覚にさせる告白のように思えるのだが。非常に親日的である、とある地主の創氏改名に関する話。彼の影響力によって、役所に勤める主人公は、自身の担当地区の朝鮮人の改名を、なかなか成功させることができない。彼自身、徴兵逃れのために、この仕事をしており、やる気もない。しかし、上司はそれを許さない…。李朝残影もまた、舞踊に関する話。
     正直言って、胸糞悪い本ではある。過去に日本人はこんなことをした、だから韓国、北朝鮮に支援をしろ、と使おうと思えば使えるからだ。ただ、それは、否定できない部分があるから、まだいい。ただ、この本が、軍国主義、軍人の、また彼らに協力した日本人の、単なる責任転嫁に使えてしまうのは、いかがなものかと思う。
     本来、このような本が目指すべきなのは、読者が持っている、蔑視や差別感情、例えば、日本人と朝鮮人が合同で「捧ゲ砲」を行っているワンシーンでの、

    『仲間たちは、優越感を露骨に顔の色に浮かべて、日本人である特権を誇示するように胸を張り肩を怒らしていた』(P.201)

    をえぐり出すことであろう。そして、彼らが、自分自身の中にあるそれらの感情に気付き、悩む。これこそが必要だ。しかし、この本の描き方だと、

    『課長にとっては、七百年の歴史も、族譜も、一門の価値もない。課長はただ、南総督から指令された『創氏改名の早急なる実施と普及」にしか関心がないのである』(P.47)

    このように描写される人間に、嫌々従っていたのであって、心から差別を望んだわけではない。こうやって、他人の責任として、逃げる事が出来る。
     したがって、植民地支配を考えさせるには、カミュやサルトル、ファノンほどの影響力がないように思えた。しかし、日本が植民地を持つ国であった。この事実を風化させないためには、非常に重要な本ではあると思う。

  • 植民地統治下の朝鮮で生まれた作家の、朝鮮に関する短編小説集。「族譜」「李朝残影」「性欲のある風景」という3本を収録していますが、いずれも「植民地朝鮮の日本人青年が抱えた苦悩」を描いたもの、と言ってよいでしょう。「ポストコロニアル批評」をやりたくなる作品、なんでしょうねえ。ちなみに、私はこの本を韓国旅行中に列車内で読みました。その時の感想文は<a href="http://blogs.yahoo.co.jp/ohtos/49237786.html" target="_blank">こちら</a>。(20070910)

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族譜・李朝残影 (岩波現代文庫)はこんな本です

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