ルポ戦後縦断: トップ屋は見た (岩波現代文庫 文芸 124)

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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021245

作品紹介・あらすじ

皇太子妃スクープ、売春防止法施行、蒸発人間、産業スパイ、国鉄鶴見事故、王子製紙争議、被爆者運動…、今では遠き彼方に過ぎ去ってしまった昭和三〇年代の世相を語る上で不可欠な主題を追跡した著者渾身のルポルタージュ選。戦後という現場で人々は何を思い、蠢いていたのか。週刊誌のトップ記事をスクープした「トップ屋」としてのしなやかで腰の強い取材力が渦中の人々と事件の真相に肉薄する。小説「皇太子の恋」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和30年代に主に月刊誌に発表された記事を中心に編まれたルポルタージュ集。「噂の真相」がそのモデルとした月刊「噂」の発行者としても有名な著者だが、「赤線深く静かに潜行す」や「白い共産村」などを読むと、なるほどヒューマン・インタレストが行間から滲み出すような書きっぷりだ。
    今やノスタルジーの対象として語り倒されている「昭和30年代」だが、本書を読むと様々な意味で隔世の感を禁じえない。特にそう感じたのは死傷者280人を出した国鉄事故を扱った「かくて「鶴見事故」は起こる」。事故直後に発表されたにも関わらず、この記事、とにかく冷静なのだ。当時政府の規制によりがんじがらめにされていた国鉄の経営状況を冷静に分析し、無茶なダイアも政府と国民(中でも都市住民)がよってたかって国鉄に押し付けたんじゃないか、という加害者擁護の論陣を張っている。翻って昨今のメディアはといえば、「福知山線脱線事故」の際、事故原因の究明もどこへやら、JR西職員が「ボーリング大会」をしていたやら、「飲み会」を開いていたやら、事故周辺への執拗でヒステリックな攻撃に終始した。
    この彼我の差の背景には、「敗戦」という未曾有の「大惨事」の記憶がまだ国民一人一人の間に強く刻まれていた当時と、人が死ななくなった現代との死生観の隔たりがあるのだろうが、それにしても別の国の出来事と見紛うほどの変化である。
    すでに昭和が歴史になっていた、ということであれば、このところの「昭和ノスタルジー」ブームにも何かしら理由があるのかもしれない。

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  • 20090916-20090919

  • 昔実家で読んで以来。
    やはり面白い。

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著者プロフィール

梶山 季之(かじやま・としゆき):1930-1975年。小説家、ジャーナリスト。現在のソウルに生まれる。広島高等師範学校(現・広島大学)卒業。53年上京、国語教師、喫茶店経営などを経ながら、「新思潮」の同人となり作品を発表。58年より「週刊明星」のトップ記事を担当。59年「週刊文春」の創刊に参画。71年月刊「噂」を創刊。作家としては62年「黒の試走車」を発表後、話題作を続々刊行する。75年取材先の香港で客死。産業スパイ小説、経済小説、時代小説、風俗小説など数多くの著作を発表した。ちくま文庫では『せどり男爵数奇譚』がロングセラーになっている。

「2024年 『犯罪日誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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