自由の牢獄 (岩波現代文庫 文芸 128)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021283

作品紹介・あらすじ

長い熟成期間を経てまとめあげられたエンデ晩年の傑作短編小説集。精神世界の深みにおもりをおろし、そこに広がる様々な現実を色とりどりの花束に編み上げた、エンデ文学の到達点を示す力作。ドイツ・ロマン派的伝統を背景に、手紙・手記・パロディ・伝記など多彩な手法を駆使して、ファンタジーの世界が繰り広げられる。

感想・レビュー・書評

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  • ブクログで教えて頂いた「洞窟」本、大好きなエンデ氏の作品にもあったなんて!
    本棚で腐…熟成されている積読本を引っ張り出してきて、早速「ミスライムのカタコンベ」を読了。うーん、こういうのが
    読みたかったんだー。さすがエンデ作品。やっぱいいわ❤︎
    物語の世界観がイメージできて、本の中で様々な体験をさせて頂きました。エンデが久々に読めて、本当に嬉しいです(*˘︶˘*).。.:*♡

  • 娘①に『おすすめの本を教えて』と頼んで提案してもらったのがコレ
    彼女が生まれる前に、ちょっとハマってて読んでいたミヒャエル・エンデ……懐かしいなあと思いつつ読みましたが、代表作『モモ』や『はてしない物語』とは違うテイストのダークファンタジーだったので、結構読むのに難儀しました。
    でも、筆者独特のユーモアが散見し、さすがだなあと感心してしまったりもした。ふたつみつ、なんか読んだことある気がする……となったのは、読んだことを私の脳みそが忘れちゃっているからかもしれない。この年になると、二度目の初見が楽しめるようになるんだなと、新たな気づきを得ました。
    面白かったです。

  • 「はてしない物語」「モモ」などが有名なエンデ晩年の短編集になります。表題にもなっている「自由の牢獄」を含む8つの短編が収録されていました。結論から言うとどれも予想以上に面白く、しかも各短編の醸し出す雰囲気がそれぞれ違っていて、大変興味深く読みました。滑稽なもの、陰鬱なもの、哲学的なもの(これは全編共通かもしれませんが)、感動的なものなどです。中身について書くのはあまり良くないかと思いますが、私が特に印象に残ったのは「遠い旅路の目的地」「ミスライムのカタコンベ」そして「自由の牢獄」です。「遠い旅路の目的地」は、まさに近代社会が進めてきた空間の征服であり、今風に言うならマルクス・ガブリエル流の存在論的なストーリーです。「ミスライムのカタコンベ」は映画にでもなりそうな内容で、エンデの意図がどうあれ固唾を飲んでストーリー展開を楽しめます。私はこの短編と「自由の牢獄」は共通したテーマを扱っていると感じました。西洋の近代社会は自由の拡大を至上命題に発展してきましたが、そのいきつくところは何か?制約のない自由とは何なのか?人間は本当にそれを欲しているのだろうか?という問いかけだと感じました。ストーリーだけでも楽しめますし、エンデが何を問いかけているのか、我々に何を気づいて欲しいと思っているのかも考えながら読むと、8編それぞれを満喫できると思います。おすすめです。

  • す、すご……この世の物事に対する考察力高すぎる……。

    遠い旅路の目的地、シリルがイカれすぎてておもしろかった。
    出来事を淡々と語ってるけど、その出来事自体がイカれてるからコメディのように感じられた。頭の中で、ウェス・アンダーソン監督の映画が再生されてるようだった。
    めちゃくちゃイカれてるのに寂しい人で、終着地でも孤独だった。本人はたぶん幸せだったんだろうけど。

    "ボロメオ・コルミの回廊"から"ちょっと小さいのはたしかですが"は空間の歪みがテーマだった。
    ちょっと小さいのは〜が面白くて好き!

    "ミスライムのカタコンベ"から"道しるべの伝説"はかなり示唆に富む作品だった。自由は不自由、真実と虚構、とか。
    結構宗教的な考えが入ってきてた。

    かなりハッとする文章も沢山あった。
    この著者の頭の中覗いてみたい……。

  • 最初は己の欲のために動けなかった主人公が、最後はその欲を手放したために動けなくなる。結局、正解を選ぶのではなく、選んだことを正解にしていくことの方が早いということ。

  • 小4の時、『モモ』を読んで幼かった私はただ、ただエンデの世界観に惹きこまれた。

    大人になり、
    臨床心理士の先生からこの本の存在を教えてもらい手に取った。
    特に『遠い旅路の目的地』『道しるべの伝説』はのめり込むように読んだ。
    主人公(シリル、ヒエロニムス)の感情は私自身なのではないか?と思いさえもした。
    この世の虚無、闇をテーマとした文学小説のように思う。

    エンデの作品を読んだのはモモと本作だけだが、どちらもやはり素晴らしい。
    次は小4時から読みたいと思い、手元に眠っている『果てしない物語』を読みたいと思う。

  • 子どものころ夢中で読んだ「はてしない物語」。
    あの時感じた引力は、大人になったわたしを変わらぬ強引さで物語の中へ引き摺り込んだ。迷宮へ。

    ハッと気づいた時にはちょうど半分ぐらい。急に不安なり、逃げるように本を閉じた。それでも物語は離れてくれない。わたしの身体は一枚の透明なビニールで覆われていて、世界はそこにあるのに隔たれてしまったような感じがした。読み始める前の高揚した気持ちはすっかりなくなっていて、急に足元が揺らいだ。

    数日間心許なく過ごし少し落ち着いたころ、また本を開いた。心づもりができているからか戻ったという感覚だったのか、今度は不安は感じずに残りの物語を進められそして最後はわりとあっさりと外へ繋がる門にたどり着いた。幸いにも一つ。そしてわたしの旅は始まった。

  • ■遠い旅路の目的地
     蜃気楼をつかまえた人
     狂気と空洞の郷愁 .
    ■ボロメオ・コルミの通廊
     これは夫婦愛の形の物語?
     暗示を沢山踏めそう .
    ■郊外の家
     普通に怖いんですけど… .
    ■ちょっと小さいのはたしかですが
     ヴンダーカンマーみたいな話
    ■ミスライムのカタコンベ
     色んな事象に当て嵌めて考えられ過ぎて…
     打ちのめされる革命者
    ■夢世界の旅人マックスムトの手記
     集合意識
     この短編集の雰囲気の手引き
    ■道しるべの伝説
     生まれながらのこの世の異邦人は
     幻想の気配を察知したら
     身を捨てるほか無い
     浮かぶ瀬があるかは本人だけが知る

  • 上質の幻想 。

  • 世界はひとつじゃないと教えてくれた本。
    ファンタジー。というか、不思議に対するいくつもの解釈を提示され、自分で決めろと言われた気分。
    科学や現実で凝り固まった心が溶けていくよう。

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