- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006021283
感想・レビュー・書評
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読後どっと精気を抜かれて落ちるように眠る。。
鏡のなかの鏡や、ドグラマグラの感じに近い。
夢か現か、境界線が混沌として… -
難しいなと思ってたけど、
再読でエンデの言葉の景色に少し近づけた気がする。 -
エンデのこの短篇集を読んでていいなと思ったのは、真理を突き止めようとすればするほど沸き起こる疑念に対して人間が無力であることを描き出してるところ。結局のところ何が真実だということが先延ばしになっていることがこの世には無数に溢れている。エンデは文学を解釈することを嫌ったそうだ。文学の答えを導き出そうとするのは正しい接し方ではなく、読む行為それ自体は「体験」であり旅をすることなのだと言っている。そしてそんな体験の旅が本物ならばそれは経験となりその人を育てるのだと。というとなんだかこうして感想を書くのも気恥ずかしい感じになるが、とかく難しいことは考えずがむしゃらに読んで、その体験談をありのまま示せばよいのかなと思った。
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ミスライムのカタコンベが好き。
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幻想世界で織りなされる無限に続くとも思われる虚無感と焦燥感が、これまでに読んだ小説と何かと似ていると思ったら、「百年の孤独」だった。
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「自由」ということをこんな風に考えたことはなかった。
鏡のなかの鏡よりもとっつきやすいが、やっぱり不思議。 -
読後、久々にひどく疲れた作品。
それは悪い意味ではなく、作品の世界から現実の世界に戻るのにエネルギーが要ったから。
短編一つひとつに世界がしっかりと描写されていて、頭の中(むしろ目の前か)に
風景がバーッと広がる。
それは現実と非現実がギリギリ接しているような、絵のような風景だ。
さて内容だが、自分の意思や感覚というものについてぼんやりと思っていた事が
びしびし書いてあった。
今は、物も情報も思想も溢れていてどれを見る事も選び取る事も可能。
それ自体には正解も不正解もなく、選び取る者の内側に全てがあるのだ。 -
『モモ』や『果てしない物語』で有名なミヒャエル・エンデの短編集。短編ごとに異なる世界観の幅広さや予想以上に暗さが目立つ物語のあり方以上に、クンデラも顔負けの思弁的な内容に驚かされる。二十世紀中期のドイツという、時代の楔の最中で少年期を過ごしてきたエンデは現実と人間を徹底したリアリズムの眼差しで観ていくことによって、ファンタジーの重要性と役割について学んでいったのだろう。帰る場所なんてないのに、行く当てすらも見つからない―そんなあらゆるものから切り離されてしまった全ての子供たちに、この本は開かれている。