本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784006021306
感想・レビュー・書評
-
高階秀爾と言えば名画を見る目をはじめとしたわかりやすく豊かな作品解説が有名だが、本書は作品ではなくその作品を生み出した人間の素顔に迫った本だ。簡潔さと豊かさを共存させた筆致は変わらず、全生涯を追うのではなく印象的な逸話からその芸術家の人となりに迫ろうとしているが、注目すべきはこれほど一人一人は短いのに注意深く神話や伝説から距離を置いて肖像を描こうとしているところにある。
例えばピカソやルソーは広く伝えられる人物像には自己演出が過大ではないかと注意を向けているし、ユトリロの出生にまつわる話はいくつもの説を併記して簡単にわかりやすい説には飛びついていない。一人一人の印象を掴むのに過不足のない分量でいい評伝だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
161203 中央図書館
絵の解説ではなく、有名どころの画家の簡潔な評伝。モネ、セザンヌ、ルドン、ルノワール、ユトリロ、モディリアニ、ゴーガン、ピカソ、ゴッホ、ロートレック、ボナール、デュフィ、ルソー。 -
特徴的なエピソードを取り上げながら巨匠たちの人物像をぼんやり描き出す。輪郭までみえて、まだ顔は見えてこない。少し物足りないからもっと読みたくなる。人間をもっと知りたいと思う。絵画という表現が手元まで近くなる。文章がとてもきれい。厳選された端的なことばたち。正しい記述で読みやすい。人を愛し、自分の生き方を眺める。愛着のわく良い本だと思う。
-
今から40年ほど前に書かれた近大美術家に関するエッセイ集。
短い中に、短い文章だからこそ、構成を練り、言葉を選んだあとが感じられる。
どの作家の作品も愛していたし、一通りの知識は持っていたつもりだが、本書によって、どの作家の生涯までも愛おしくなってしまうから不思議だ。
一人ひとりの美術家の生き様、死に様は色々。でも、それらを読んで、自分を振り返って、自分は自分の生き方でいいんだと思わせてもらえた。名文に乾杯。
その上で、ひいきになるかもしれないが、あらためてデュフィの生き方には強く惹かれる。内に悲哀、でも表現は喜び、表情は微笑。とっても素敵。
蛇足だが、ミレーやデュフィ、モネの言葉を生のまま感じたくて、フランス語を修得することに決めた。 -
本を読んで芸術の秋気分を!この本はタイトル通り近代美術の有名どころの画家について描かれています。
画家の生涯を大まかに、でも魅力的なエピソードと共に紹介しています。
印象的だったのはゴーギャンの生涯について書かれた章です。有能な株式売買人で家庭にも恵まれていたゴーギャンがある日、突然画家になると宣言する。「これからは絵を描くんだ・・・毎日ね」その決断力に驚きます。安定した場所を捨ててまでの絵に対しての情熱があったのでしょうか?画家で成功できるという自信もあったんだろうと著者は書いていますが、その後の生活‐タヒチにまで渡り、そこで一人さびしく生涯を終える‐を知ると絵に対しての情熱と私はとらえてしまいます。そうしたゴーギャンの生涯を知って、ゴーギャンが描いた最後の大作「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」を見てみると絵の前に立ち止まって動けなくなってしまいます。ゴーギャンが最後に何を伝えようとしてこの絵を描いたのだろうかと考えてしまいます。
著者が冒頭に書いているように画家への「人間的関心」に応える手始めの一冊だと思います。この絵を描いた人はどういう人なんだろうと思った時にぜひ、読んでみてくださいね。
著者プロフィール
高階秀爾の作品
本棚登録 :
感想 :
