冬の運動会―向田邦子シナリオ集〈4〉 (岩波現代文庫)

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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (519ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021474

作品紹介・あらすじ

万引きをした過去を持ち、社会的地位のある父や祖父から、できの悪い奴と疎まれる菊男。彼は、その冷たい家庭よりも、たまたま行き会った靴屋夫婦の元に実の息子のように通うようになる。家族とはいったい何なのか。現実の家族ともう一つの家族が交錯したとき、厳格に見えた祖父、そして父も、どこか温かな場を求めて走っていたことがわかったのだった。男たちの「季節外れの運動会」の行方と、それをめぐる女たちの愛のかたち。

感想・レビュー・書評

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  • 温かい偽りの家族、冷ややかな本物の家族。
    たとい血がつながっていなくとも、そこに芽生えた親愛の情は本物だと思う。けれども、その親愛の情は本物の家族がいればこそ生まれたものでもある。
    本物の家族の表面上は、以前と変わりないかもしれないが、人間と人間の間に流れるものは確かに変わったはずだ。

    直子のキャラクターがもう少し強ければ良かったのにと感じた。しかし他が随分と印象深かったから、バランスがとれているといえばとれているか。

  • 若い恋人のいる元軍人の祖父、亡くなった同僚の妻と子を気にかける父、靴修理屋の夫婦を慕う長男。男三人、本来の家とは別の場所に心の拠り所を預けている。家庭の息苦しさから逃れるはずが、真の家族の意味を知る。心の揺れが絶妙。

  • 「行き場のない男たちは、少し元気のない足どりで、ゴールに入ったのだ。」

    この一文だけで、すべてを表現できるシナリオ。

    強いシナリオ。

  • 家族がテーマの作品。テレビドラマの脚本を小説化したもので浅田次郎の「地下鉄の乗って」の読後感と同じもの感じました。血のつながりがあるからといって家族だと言えるのでもない。でもそれでも家族は家族なんだろうし、互いが色々な形の生き方をすることで互いが繋がりあえる。運動会の昼食時間、家族ごとの食事風景。そこにある家族の絆。
    ヒビが入って壊れそうだけど壊れない陶器にたとえていたが、この北沢家の家族を支えていたのはお母さんであったのだろう。解説に藤田弓子さんが書いていますが、最近日本のドラマの質が落ちている気がすると。本当にそう思いますし、韓流もその現れなのかも知れません。

    ちなみに数年前に昼ドラマの「虹のむこうに」がよかった。ビデオにとって夜みていて、はまってしまいました。ラストがちょっといまいちでもっと違う終わり方があるはずだと思っています。向田邦子さんが生きていればどう脚本したのか観てみたくもあります。

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。放送作家としてラジオ・テレビで活躍。「だいこんの花」「寺内貫太郎一家」等。1980年に短篇小説「思い出トランプ」で直木賞受賞したが、81年8月飛行機事故で急逝。『父の詫び状』等。

「2016年 『お茶をどうぞ 対談 向田邦子と16人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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