モーム語録 (岩波現代文庫 文芸163)

  • 岩波書店 (2010年4月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (300ページ) / ISBN・EAN: 9784006021634

みんなの感想まとめ

人間の複雑さや矛盾を鋭く観察し、ユーモアを交えた深い洞察を提供する著者の言葉が詰まった一冊です。作品を通じて、俗っぽさや人生のペーソスに触れながら、現代の価値観に対する挑戦ともいえる視点が展開されます...

感想・レビュー・書評

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  • もちろん作品を読まないと真髄に触れたことにはならないが、手っ取り早くサマセット・モームの世界に親しむための足がかりになればと思って手に取った。ある程度は収穫を得られたと思う。モームという人は「俗」を恐れない人なのだと思う。いまの目で見ればかなり論議を呼びそうな女性観や、あるいはペーソスをにじませる人生観に触れながらその価値観に「お高く止まった」「高尚な」ところがなく、人間存在の俗っぽさまできちんと見つめてそれを言葉にしようとする姿勢を感じるのだ。ただ、やはりこの本はある程度モームを読んだ人向けだろうと思う

  • 好きな海外の作家を一人挙げよと言われたら、モームとドストエフスキーで迷ってしまいそう。でも結局モームを選びそう。

    モームの魅力は端的に言って、その面白さにある。皮肉のきいたユーモアが絶品である。また人を観察する目が鋭く、ひとりの人間の持つ矛盾した要素や説明できな複雑性のようなものを、適切に表現してくれている。

    そんなモームの小説やエッセイから抜き出したハッとさせられる名言を列挙したのが本書だ。

    『モーム語録』を読んでいると、「ほんとそうだよね、人間って一筋縄ではいかないよね。40歳を過ぎるとひしひしと実感するよ。」という言葉ばかりが並んでいる。

  • P'er

  • 皮相なようで深い。

  • 人は一回性の人生をいかに生きるか、自分とはいかなる人間か、自分の人生を好奇心のままに生きることは正しい生き方なのか。社会的通念に従って生き、平和に穏やかに何事もなく平々凡々と生きることは理想的人生なのか、それとも生きながら墓場にいる死人なのか。

    北九州市立大学:名誉教授 乘口眞一郎

  • シュール!
    人生に対して、少し重荷が軽くなる。
    他の作品も読んでみたい。

  • サマセット・モームの言葉は、なかなかシニカルで、私にとってはバーナード・ショーの箴言やアンブローズ・ビアズの『悪魔の辞典』と並ぶ、風刺のきいたものです。
    編者は執筆に三年かかったそうですが、モーム作品の訳者なので、誰よりも語録をまとめやすかったことでしょう。

    全体的に、思ったよりも素直で正直な言葉が紹介されていたので、驚きました。
    私は相当ひねくれ者というイメージを彼に持っているようです。
    それでもやっぱり、通常の人よりはかなり偏屈ものではあったようで、
    「私は批評家たちから、二十代には残忍、三十代には軽薄、四十代には皮肉、五十代には達者、六十代の今は皮相だと言われている。」(p139)と、淡々と語っています。

    普段だと、名言集などでは、感銘を受ける雄々しい言葉を好んで選んでいますが、彼の語録に限っては、彼らしい(と思われる)皮肉たっぷりの言葉にばかり、目が留まりました。

    「長い苦難の努力の末ようやく成功を得た作家は、成功が自分を破滅させる罠だと気づく。」p180

    「思うに、人は友人をその長所でなく短所によって覚えているのである。」p182

    「私は尊敬心が弱いようだ。人々を敬うより、面白がる方が性に合っている。」p130

    「人間を観察して私が最も感銘を受けたのは、首尾一貫性の欠如していることである。」p133

    長い文章の中を掲載し、その中の注目すべきフレーズを太字にしているのは、わかりやすいのですが、そこに「チェックすべし」とする編者の意図が見えてしまいます。
    箴言のようにずばり端的な一文ではないのは、前後の話の流れがわかるという長所はありますが、逆に作品を切り貼りしたようにも思えました。

    テーマ別にまとめられており、随所随所に編者の注も入っているため、いろいろな表現を通して彼の生への姿勢や考え方が見え、簡潔な理解につながりました。
    私が抱くイメージは、彼のアフォリズムばかりで、実際の彼の作品は『月と六ペンス』程度しか読んでいなかったことに気づいたので、もっと文章を全体的に知って、作品として親しまなくてはとも思いました。

  • 人生に意味などなく、人は生きることで何らかの目的を達成することはない生まれようと、生まれ麻衣と大した意味はないし、生きようと死のうと意味はない。生は無意味であり、死もまた然り。
    自分の存在の無意味さゆえに、かえって力を得たようだった。
    自分が物事の中心でなく周辺に立っているのを自覚するのが大事だ。
    いかなる過酷な試練に遭遇しようとも、すべては複雑な模様の完成に寄与するだけなのだ。
    他人にどう思われようと、全く気にならず、世間の常識から外れても少しも苦にならないものもいるのだ。

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著者プロフィール

行方昭夫(なめかた・あきお)
英文学者、翻訳家。1931年東京生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学名誉教授。ヘンリー・ジェイムズやサマセット・モームなどの翻訳のほか、その正確な読解力で雑誌「英語青年」の英文解釈講座を長年にわたり担当する。

「2019年 『モナリザの微笑 ハクスレー傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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