詞華断章 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021719

作品紹介・あらすじ

万葉・古今から芭蕉・蕪村・晶子まで、季節のうつろいに響きあい、忘れえぬ時を呼びおこす日本の歌蔵。本書は古今の詩歌を味わい、その詞華に誘われて、さりげなく清冽な一文で生の鼓動と魂のありかを伝える。「うた」の調べに添い、ひめやかに生き続けるよろこびと安堵を味わえるひと時。時を超えて共感し、作者との共存を自覚する手がかり。選び抜かれた言葉が心の奥底の扉を開きはじめる。

感想・レビュー・書評

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  • 日常生活の中のある風景や感情から古典の歌に繋げて論じており、普段馴染みのない古典文学を身近に感じることができた。
    作者の文章は清澄であり、静かに謙虚に自分や歌い手の感情を見つめているところが、魅力的だと思う。
    このエッセイで印象に残ったのは数々の名歌のほか、次のような文章だった。
    『歌でも句でも小説でも、作品を濁らせないのを創作の大切な条件だと思っている。』
    『人の死はかなしいが、生もまたそれに劣らずかなしい。いかなるかなしみも、容易に分かち合えるとは思わないけれど、せめて他人のかなしみを思う心を、と思う。』
    この作者の作品を読むとそのような考えがよく伝わってくるように思う。

  • 竹西寛子のエッセイ。今まで読んできたもののなかでは新しいものの部類に入るのかな。とはいえ書かれた時期は97年とかのようで。
    うた、を語るエッセイなのだけれど、(ぼくがこれまで読んだこの人の本の中で出会った著者よりも)いくらか歳を重ねた著者が、言葉少なく、その後ろにそっと感情を忍ばせておくような文章の書き方によりシフトしていっているなあ、という印象をもった。より若かった頃の、感情を隠そうとしてもにじみ出てきてしまうような文章も好きなのだけれど、これはこれで響いてくる。どちらも一見は同じような見た目なのだけど、何かが違う、それを感じてしまうのは自分の気のせいなのだろうか、と考える。

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著者プロフィール

昭和4年4月11日、広島県に生まれる。昭和27年早稲田大学第一文学部文学科(国文学専修)卒。小説家。評論家。日本芸術院会員。河出書房、筑摩書房勤務、昭和37年退社。38年「往還の記--日本の古典に想う」で田村俊子賞。56年「兵隊宿」で川端康成文学賞。平成6年日本芸術院賞。著書に『竹西寛子著作集』全5巻別冊1(平8 新潮社)『自選竹西寛子随想集』全3巻(平14〜15 岩波書店)『日本の文学論』(平7)『贈答のうた』(平14 いずれも講談社)など。

「2004年 『久保田淳座談集 心あひの風 いま、古典を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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