俳句のユーモア (岩波現代文庫 文芸176)

  • 岩波書店 (2010年10月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784006021764

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  • かきくけこくはではいかでたちつてと
    (松永貞徳)

    俳句の先生(貞徳)が席を立とうとしたら、主人が「先生、これ(見事な柿)で一句作らないと帰しませんぞ」と呼び止めた。それに応じて詠んだ句だそう。意は「見事な柿だ、なぜ食わないで(ここを)発とうか、いや、食ってから帰るよ」

    冒頭でいきなりこんな面白いのがでてきて、楽しかった。俳句いいね。自分も作りたくなって思わずNHK俳句7月号を買ってしまった。
    多分短歌より好き。

  • 「三月の甘納豆のうふふふふ」の句で知られる著者が、みずからの作品なども交えつつユーモラスな文章で俳句のおもしろさについて語った本です。

    談林俳諧のユーモアから、蕉風俳諧の展開、子規による俳句の改革など、俳句の歴史についても一通りの解説はなされていますが、やはり著者がみずからの体験をまじえながら読者に俳句の魅力をわかりやすく示そうとしているところに、本書のおもしろさがあるように思います。

  • 風流なことと縁遠い人生でしたが俳句というもの作らねばならぬことになり、目に留まった本書を手にとって見た。これが意外と面白かった。連句や俳諧の発句から俳句へと至る歴史にも触れられ、著者のねんてん先生の俳句感もなかなか面白い。短くて覚えやすい俳句というものの口誦性、片言性や言葉遊びを肩肘張らずに楽しめばよさそう。本書を読んでいるうちに、身の回りのものに目が行くようになり、気づけば五七五でつぶやくようにになったかもしれない。ミステリアスだった”句会”の謎も解け、いつか機会があれば参加してみたいものであると思った。

  • 学生時代のトラウマのせいか、俳句は難しく、おもしろくなく、つまらない・・・と思っていました。
    あまりにも字数が少ないのに「作者の意図」など問われても、解釈などいくつもあるではないか。それなのに「解答」を求める。
    しかし、著者は俳句とは多義的なのだと言いきってくれたから、心のどこかで勝利者宣言ができた。
    俳句は楽しいものだ。俳句は肩ひじ張らないものだ。
    俳句にとても近づけてくれた著書でした。

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著者プロフィール

1944年愛媛県佐田岬半島生まれ。俳人。
京都教育大学・佛教大学名誉教授。公益財団法人柿衛文庫理事長。
晩節の言葉を磨く場を標榜する俳句結社「窓の会」の常連。
著書に句集『リスボンの窓』(ふらんす堂)、評論集に『老いの俳句』(ウエップ)、『高浜虚子』(ミネルヴァ書房)など多数。

「2025年 『モーロク日和』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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