- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006021788
作品紹介・あらすじ
作家ブルガーコフ、詩人マンデリシターム、詩人マヤコフスキー、作家ゴーリキー、作曲家ショスタコーヴィチ、映画監督エイゼンシテイン。スターリンによる大粛清の時代をかい潜った六人の作家や芸術家たちは、「独裁」といかに闘い、サヴァイヴしたのか?一九九〇年代以降に公開された文献をもとにその真相に迫る、著者入魂の大佛次郎賞受賞作。二〇世紀初頭の終末論的熱狂を考察した『終末と革命のロシア・ルネサンス』の続編。
感想・レビュー・書評
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スターリンが、ブルガーゴフ、マンデリシターム、マヤコフスキー、ゴーリキ、ショスタコーヴィッチ、エイゼンシュタインの芸術家を支配下に置いて芸術を作らせたかということである。ゴーリキ、ショスタコーヴィッチ、エイゼンシュタインが日本で最もよく知られているので、この3人でもいいかなというう気もするが、その3名でも具体的な作品が頭に浮かばないとこの話が生きてこない。
学部生が読むにはきついであろうが、ロシア文学を専門にしている学生は読んでおく方がいいであろう。
米原万里の紹介本である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ショスタコーヴィチの革命を演奏するに際し読了。
フィナーレに響くファンファーレは誰のものなのか。 -
六人の芸術家の在り方を通して時代とスターリンが浮かび上がってくる.ブルガーコフやマンデリシタームは全く知らなかった人だが,面白く読めた.
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夏はスターリン。肝を冷やしてくれるから。なかなか骨の折れる大著だった。というのも取り上げられている6人の芸術家の作品に触れたことがまったくないので、そもそも読む資格なかったかもしれない。にもかかわらず各章ずしんときたのは亀山郁夫先生の筆のなせる技か。スターリンという恐怖の時代に作品を出すことと生きようとする本能とが激しくせめぎ合い、気持ちはヒリヒリしたし、頭のなかはぐるぐるした。なお残念ながらゴーリキーの章(熱狂を見つめて)だけ挫折。あとがきに、ショスタコーヴィチとエイゼンシュテインについては門外漢といった事が書かれており驚愕。とてもそうとは思えなかったのですが…。
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中国でのプロパガンダを喧伝する手段として、学術・芸術の粛清と利用。その参考となったのがスターリンの粛清と言われていたので、手にした。
ロシア・ソ連の基本的な知識がないので、ハードルが高かった。社会主義の理想である集団化が、階級闘争、世代対立、さらに一人の指導者を父として崇めていく社会の矛盾を深めていく。批判を受けずに、これらを芸術でどう表現していくのか? 作者でいうところの「しかけ」「二枚舌」の推論を展開している。
または世界的な名声を立てに、その時期をやり過ごすか。
芸術家たちの苦悩、その作品が残されて来た事の意義は大きい。 -
(要チラ見!) ロシア革命/文庫
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スターリン全体主義時代の芸術家を思う時、同様のことが中世の絶大なるキリスト教主義下にあった、科学者や芸術家達にも思いが馳せる。
日本の戦時もそうであったろうし、現代も北朝鮮においてはやはりそうなのだろう。
逆に「だからこそ」平和時にない独特な表現もありえたのかもしれないが・・・・。