カクテル・パーティー (岩波現代文庫)

著者 : 大城立裕
  • 岩波書店 (2011年9月17日発売)
3.65
  • (4)
  • (8)
  • (5)
  • (3)
  • (0)
  • 95人登録
  • 9レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021894

作品紹介

米国統治下の沖縄で日本人、沖縄人、中国人、米国人の四人が繰り広げる親善パーティー。そのとき米兵による高校生レイプ事件が起こり、国際親善の欺瞞が暴露されていく-。沖縄初の芥川賞受賞の表題作のほか、「亀甲墓」「棒兵隊」「ニライカナイの街」そして日本語版未発表の「戯曲 カクテル・パーティー」をふくむ傑作短編全五編を収録。

カクテル・パーティー (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • < 19世紀は独立国だったと言う考え方>< 明治以前は中国の領土だったと言う考え方>とある通り
    沖縄を語る上でははずせない4人の登場人物が出てくる。琉球人、N県民、中国人、アメリカ人。

    この4人は今の沖縄で日本語と英語が混ざり合い中あえて中国語を話すと言う中国語サークルに属している。主人公である沖縄の住民の私もアメリカ人から中国語を習っている。
    それぞれの国家は戦争で争い合う。
    中国人も中共の兵士に子供2人殺されながらも残った子供と妻を置いて亡命してきている。
    国民に残した戦争の傷跡は国家を超えて1個人の間でも相手の行動に影響及ぼしているのか。戦争の傷跡一人ひとりの間のはっきりとした壁は私の心を通じて道端で出会った道を尋ねた人に対してでさえも感じることができる。
    私、も教育では沖縄は日本の領土となっている。上海で日本軍の翻訳の立場として中国の人と話している時に琉球人なら我々と同じじゃないか、なぜ日本軍の方にいる、と言われる。
    所詮人間の観念は教育された通り、という言葉が強く残った。
    私は読み進めるまで沖縄の独立国説や中国の領土説は知らなかったのだ。
    歴史は知っておかなければいけない。
    それはそうなのだが、歴史の教科書で勉強していても私なんかは何が何だか頭に入ってこなかった。
    しかしこういう小説があると頭だけでなく心に刻み込まれる。それぞれの登場人物に感情移入して、戦争の痛みに少しでも触れることができる。

    そして一方向だけでなく、4つの民族それぞれが介入している小説はとても価値があると思う。
    たくさんの人に読んでほしい。

  • それぞれの言い分が正しく、そのために議論は平行していく。各人とも優秀な人々であり、この沖縄において政治的な対立を議論することは得策でないことを知っている。しかし、いざというときになれば政治が取り沙汰され、不毛な言い合いへと発展する。沖縄にとっての不幸とは、なんてことはぼくには断定できませんが、その根源が人同士の軋轢にあり、そのリアリティを彼らの歯が浮くようなパーティーに垣間見るような、感じです。

  • 「芥川賞全集 第七巻」に収録されているものを読んだ。第五十七回の受賞作です。

    沖縄米軍基地内での親善パーティ。
    中国語をしゃべりあう、アメリカ人、中国人、日本人の《友人》たち。
    会話劇、戯曲を思わせるようなサスペンスフルな作品だった。
    前半の和やかなムードとちょっとした違和感。
    一転して、後半の緊迫していく様子にぐっと引き込まれる。
    最後はどう取ればいいのか…ズキンとした。
    過去の戦争の因縁が、年月と世代を経て、今も世界のあちこちで絡み合っているのを想像し考えてしまう。

  • 被害者と加害者、個人と民族。向き合わなければならないものに、きっちりと向き合うことの重要性。芥川賞を受賞するに、相応しい作品と思います。一方で他の作品の悲惨な中の何とも言い難い可笑しみにこそ、作者の真骨頂がある様。それを合わせると何とも不思議な世界となっていると感じました。

  • 沖縄初の芥川賞作家、大城立裕の受賞作を含む短編集。
    亀甲墓、棒兵隊といった戦時中の沖縄県民のリアルを描いた作品も、戦後の占領下の沖縄における沖縄人、アメリカ人、中国人の微妙な立ち位置、上下関係を描いたカクテルパーティーも、正直言って重い。軽い気持ちでは読めない。ただ、だからこそ沖縄の問題点が浮かび上がるんだと思う。
    普天間基地の辺野古移設問題などは、現在の状況だけで判断するのではなく、過去にこういうリアルな歴史が積み重なってきた結果の問題だということを理解する必要がある。

  • これも夏の竹富旅の際、石垣島の書店で購入。占領、沖縄、芥川賞、基地問題。

  • 芥川賞を取ったとはいえ、地元の作家だし余り期待してなかった。意に反し、なかなか面白かった。学生時代に読んだはずだが内容は全く記憶に残ってなくて新鮮に読めた。沖縄が改めて特異な、はなはだ特異な環境に置かされていると感じた。我々は慣れ過ぎていた。NO!を声高に発しよう

  • 沖縄文学。1967年。芥川賞受賞。
    沖縄問題の原点がここにあるような気がする。
    芥川賞まで取っているの、あまり知られていないかも。
    穿った見方をすれば、問題点が浮き彫りになることを恐れる何者かの策略か。見せかけの「愛」の中にすっぽり覆われてしまった「差別意識」のようなものを感じる。
    沖縄をわかっているような、わかろうとしているような、それでいて、何もわかっていない、わかろうとしていない我々がいる気もする。

全9件中 1 - 9件を表示

カクテル・パーティー (岩波現代文庫)のその他の作品

大城立裕の作品

カクテル・パーティー (岩波現代文庫)に関連するまとめ

カクテル・パーティー (岩波現代文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする