カクテル・パーティー (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021894

作品紹介・あらすじ

米国統治下の沖縄で日本人、沖縄人、中国人、米国人の四人が繰り広げる親善パーティー。そのとき米兵による高校生レイプ事件が起こり、国際親善の欺瞞が暴露されていく-。沖縄初の芥川賞受賞の表題作のほか、「亀甲墓」「棒兵隊」「ニライカナイの街」そして日本語版未発表の「戯曲 カクテル・パーティー」をふくむ傑作短編全五編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「亀甲墓」
    沖縄内陸への艦砲射撃が激化したことを受け
    先祖代々の墓に避難してくる一家の話
    亀甲墓と呼ばれる形態のそれは、一種のトーチカ状であり
    胎内のようでもあった
    砲弾の雨の降る中、先祖の霊から守られている気分にひたって
    捨てることのできない日常感覚へのこだわりが
    やがて彼らの首を絞めてゆく

    「棒兵隊」
    避難民の中からなんとか
    動けそうな男ばかり集めて編成された「郷土防衛隊」
    しかし武器も食料も無く
    敵の銃弾をかいくぐってする水汲みぐらいしか仕事がない
    やがて正規兵たちの不安が、スパイ探しの名を借りた内ゲバに発展する
    心ある少尉の機転で防衛隊員たちは脱出するが
    すでに戦線の崩壊した沖縄で行くあてもない

    「ニライカナイの街」
    沖縄戦を生き延びた少女が、大人になって米兵と結ばれる
    籍を入れてもらえないことに不安を感じつつも
    何が嘘で何が本当かわからないご時勢じゃ、「いま」を信じるしかない
    そんな気分が沖縄闘牛に託されてゆく

    「カクテル・パーティー」
    娘が米兵にレイプされるという事件があり
    しかも、事後に犯人を崖から突き落として怪我をさせたため
    相手から告訴を受けることになる
    父は、逆の告訴を試みるべく
    語学仲間で弁護士の中国人に相談するが
    一度はあきらめて泣き寝入りするしかなかった
    というのは
    父の信じたリベラルの理想がおためごかしで
    ある種の誤解にすぎないと思い知らされたからである
    当時、米国人と沖縄人の関係は支配者と被支配者のそれであり
    本質的に平等ということはありえない
    その冷たい現実には、父のヒューマニズムが耐え切れなかったのだ
    しかしそのヒューマニズムも崩れたとき
    父は敢えて負け戦に臨む決意をする

    「戯曲 カクテル・パーティー」
    早い話が、レイプ被害者は
    セカンドレイプを恐れることなく人権のために戦わねばならない
    という話になるんだが
    要点がなんとなく曖昧にされている印象もある
    つうか問題は
    それが娘の意思ではなく、父親の意思だっていう部分なんだよな…

  • あまりおもしろく感じなかったので途中断念。

  • < 19世紀は独立国だったと言う考え方>< 明治以前は中国の領土だったと言う考え方>とある通り
    沖縄を語る上でははずせない4人の登場人物が出てくる。琉球人、N県民、中国人、アメリカ人。

    この4人は今の沖縄で日本語と英語が混ざり合い中あえて中国語を話すと言う中国語サークルに属している。主人公である沖縄の住民の私もアメリカ人から中国語を習っている。
    それぞれの国家は戦争で争い合う。
    中国人も中共の兵士に子供2人殺されながらも残った子供と妻を置いて亡命してきている。
    国民に残した戦争の傷跡は国家を超えて1個人の間でも相手の行動に影響及ぼしているのか。戦争の傷跡一人ひとりの間のはっきりとした壁は私の心を通じて道端で出会った道を尋ねた人に対してでさえも感じることができる。
    私、も教育では沖縄は日本の領土となっている。上海で日本軍の翻訳の立場として中国の人と話している時に琉球人なら我々と同じじゃないか、なぜ日本軍の方にいる、と言われる。
    所詮人間の観念は教育された通り、という言葉が強く残った。
    私は読み進めるまで沖縄の独立国説や中国の領土説は知らなかったのだ。
    歴史は知っておかなければいけない。
    それはそうなのだが、歴史の教科書で勉強していても私なんかは何が何だか頭に入ってこなかった。
    しかしこういう小説があると頭だけでなく心に刻み込まれる。それぞれの登場人物に感情移入して、戦争の痛みに少しでも触れることができる。

    そして一方向だけでなく、4つの民族それぞれが介入している小説はとても価値があると思う。
    たくさんの人に読んでほしい。

  • それぞれの言い分が正しく、そのために議論は平行していく。各人とも優秀な人々であり、この沖縄において政治的な対立を議論することは得策でないことを知っている。しかし、いざというときになれば政治が取り沙汰され、不毛な言い合いへと発展する。沖縄にとっての不幸とは、なんてことはぼくには断定できませんが、その根源が人同士の軋轢にあり、そのリアリティを彼らの歯が浮くようなパーティーに垣間見るような、感じです。

  • 「芥川賞全集 第七巻」に収録されているものを読んだ。第五十七回の受賞作です。

    沖縄米軍基地内での親善パーティ。
    中国語をしゃべりあう、アメリカ人、中国人、日本人の《友人》たち。
    会話劇、戯曲を思わせるようなサスペンスフルな作品だった。
    前半の和やかなムードとちょっとした違和感。
    一転して、後半の緊迫していく様子にぐっと引き込まれる。
    最後はどう取ればいいのか…ズキンとした。
    過去の戦争の因縁が、年月と世代を経て、今も世界のあちこちで絡み合っているのを想像し考えてしまう。

  • 被害者と加害者、個人と民族。向き合わなければならないものに、きっちりと向き合うことの重要性。芥川賞を受賞するに、相応しい作品と思います。一方で他の作品の悲惨な中の何とも言い難い可笑しみにこそ、作者の真骨頂がある様。それを合わせると何とも不思議な世界となっていると感じました。

  • 沖縄初の芥川賞作家、大城立裕の受賞作を含む短編集。
    亀甲墓、棒兵隊といった戦時中の沖縄県民のリアルを描いた作品も、戦後の占領下の沖縄における沖縄人、アメリカ人、中国人の微妙な立ち位置、上下関係を描いたカクテルパーティーも、正直言って重い。軽い気持ちでは読めない。ただ、だからこそ沖縄の問題点が浮かび上がるんだと思う。
    普天間基地の辺野古移設問題などは、現在の状況だけで判断するのではなく、過去にこういうリアルな歴史が積み重なってきた結果の問題だということを理解する必要がある。

  • これも夏の竹富旅の際、石垣島の書店で購入。占領、沖縄、芥川賞、基地問題。

  • 芥川賞を取ったとはいえ、地元の作家だし余り期待してなかった。意に反し、なかなか面白かった。学生時代に読んだはずだが内容は全く記憶に残ってなくて新鮮に読めた。沖縄が改めて特異な、はなはだ特異な環境に置かされていると感じた。我々は慣れ過ぎていた。NO!を声高に発しよう

  • 沖縄文学。1967年。芥川賞受賞。
    沖縄問題の原点がここにあるような気がする。
    芥川賞まで取っているの、あまり知られていないかも。
    穿った見方をすれば、問題点が浮き彫りになることを恐れる何者かの策略か。見せかけの「愛」の中にすっぽり覆われてしまった「差別意識」のようなものを感じる。
    沖縄をわかっているような、わかろうとしているような、それでいて、何もわかっていない、わかろうとしていない我々がいる気もする。

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