日本語を書く部屋 (岩波現代文庫)

著者 : リービ英雄
  • 岩波書店 (2011年10月15日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021917

作品紹介

「コトバ=民族」という概念に反し、外国人が「日本語を書く」ということは、せつなくも本物の越境行為だ。日本語を母語としない西洋出身者で初の日本文学作家となった俊英による体験的日本語論と万葉集から現代の最先端に至るまで、表現の生命を探し求めた鮮烈なエッセイ。西洋語から非西洋語へと越境した著者の経験は、日本語はすべての人に開かれているのだという実感を、私たちのものとする。

日本語を書く部屋 (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 筆者のリービ英雄氏は英語を母語としながら日本語で小説を書いている(あるいは彼自身の表現を借りれば、日本語の表現者であろうとしている)。
    解説を書いている多和田葉子氏は日本語を母語としながらドイツ語での執筆活動を続けている。
    両者の関係を見れば、本書で何がテーマとなっているかも明らかだろう(ちなみに同じ岩波現代文庫にある多和田氏の『エクソフォニー』の解説はリービ氏が担当されている)。

    言語相対論という考え方がある。
    日本語を母語とした者は、日本語的な発想しかできなくなるようなことを指すらしい。
    たとえば日本語では「雪」の分類を表す表現は、「ぼたん雪、粉雪、吹雪、霰(あられ)、霙(みぞれ)…」などせいぜい十数種、多くても数十種があればいいほうだろう。
    ところがイヌイットのある言語では「雪」を表す表現が百種を超えるらしい。
    そうなると、同じ「雪」景色を見ても日本人とイヌイットでは見えてくる世界が違うだろう。
    そう考えると、私たちが母語に規定されて生きているという考え方もうなずけるものがある。

    でも私たちは、私たちのものの見方、考え方が日本語によって規定された一面的なものであるとは考えない。
    そんな僕らの常識を覆し、日本語の持つ可能性やその裏側にある危険性を指摘してくれているのが、本書であると思う。

    英語を母語する筆者が魅了された日本語。
    日本語の魅力を問い直してみることは、日本語話者としても非常に有意義かつ刺激的なことであると思うし、また、そこから派生的に様々な観点が導き出されてくると思う(たとえば、学校教育で外国語を教える意味は何かなど。個人的に「教育」として外国語を教える以上、それは単なるコミュニケーションツールの獲得にとどまってはならないと思う。つまり、外国語を学ぶことで日本語を相対化し、私たちの常識を相対化するものでなくてはならないのではないかと思うのだけれど、いかがなもんだろう)。
    そういう意味でも非常におもしろい本だった。

  • 自分というのはなかなかわからないものだから、親切な人からの忠告がありがたいことがある。日本人としての自分が、この書籍ですぅっと日本人とは・・と指摘されると、なるほど自分という日本人はこんな風に日本人としての自分を認識しているのだ・・・・とあらためて思い知らされる。
    リービ氏の文章はとてもきれい。わかりやすく、言葉を読むというより「感覚」を示されている気持ちになる。

  • 日本語は日本人だけのものではない。頭ではわかっていたが、実際に読みながら味わった感じは奇妙で新鮮だった。言葉の選び方がものすごく自覚的で、しぜんに日本語を使ってきた者が書く文とは奇妙にずれている。一文一文に、閉じたまま使っていなかった目を見開かされた。

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