白い道 (岩波現代文庫)

著者 :
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006022051

作品紹介・あらすじ

戦争に負けるということは白いことなのだ-。"歴史の記録者"と称される作家、吉村昭。その作品に通底する冷静な歴史観は、自身の戦争体験に源をさかのぼる。執筆のための徹底的な取材・調査で知られる作家が、その筆をかけて我々に問いかけつづけてきたものとは何か。作家の歴史観の起源に迫るエッセー集。

感想・レビュー・書評

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  • 戦中から戦後にかけて著者は日暮里に で暮らしており、そこで見聞きした様々を書き綴る。直感だが、これは銃後にいた大多数の人びとの感情を代弁している。
    空襲による夜中の大火災が華麗に思われたのみならず、満開の夜桜とあいまって不思議な光景に見えたときの感情や、隅田川の橋下に集まる多数の死体を風景として無感情に見下ろす感覚など。
    そういった感覚があるから、また、戦争に明確に反対した人物を父親と先生しか知らないから、小説で民衆が戦艦武蔵の建造と運用に必死で取り組んだ様が描けるのだ。筆者は戦争を遂行したエネルギーを国民一般の中に見ている。
    筆者はまた、戦場体験を持たないことで戦争証言者と距離感や後ろめたさを感じている。それは戦中派の大きな特徴に思う。戦後言論界が戦争反対の大合唱で一色に染まる様子を冷めた目でみているのも同様。
    しかし、気をつけなければならないのは、今の時代の価値観からみた冷めた目とはことなる所である。その視線は目的的ではなく、時代を経た者のみが持つ、体感に裏打ちされた極めて冷徹かつ非情な視線である。

  • 吉村昭のエッセイ?はいくつか持っていて、繰り返し語られる内容だから、新鮮味というものはないのだけれど、この方の生きる姿勢のようなものがとても好きで、見習いたくて、読むと落ち着く。
    丁寧に、まっすぐ生きたい。

  • 好きな作家のひとりです。ですから、これからじっくりと作品を読んでいこうと思う。思ったとおり、作家としての姿勢がとてもすばらしい。
    戦史にせよ、歴史にせよ、医学にしても、しっかり調査されたフィクションは読むに値し、決して損はしないだろう。
    小説家としての矜持か語られている。

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プロフィール

吉村 昭(よしむら あきら)
1927年5月1日 - 2006年7月31日
東京日暮里生まれ。学習院大学中退。在学中、大学の文芸部で知り合った津村節子と結婚。
1966年『星への旅』で太宰治賞、1972年『深海の使者』で文藝春秋読者賞、1973年『戦艦武蔵』『関東大震災』など一連のドキュメント作品で第21回菊池寛賞、1979年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、1985年『冷い夏、熱い夏』で毎日芸術賞、同年『破獄』で讀賣文学賞および芸術選奨文部大臣賞、1987年日本芸術院賞、1994年『天狗争乱』で大佛次郎賞をそれぞれ受賞。吉川英治文学賞、オール読物新人賞、大宅壮一ノンフィクション賞、新田次郎文学賞、太宰治賞、大佛次郎賞などの選考委員も務めた。
徹底した資料調査・関係者インタビューを背景にした戦史小説・ノンフィクションで、極めて高い評価を得ている。上記受賞作のほか、三毛別羆事件を題材にした『羆嵐』が熊害が起こるたび注目され、代表作の一つとみなされる。『三陸海岸大津波』は2011年の東日本大震災によって注目を集め再評価を受け、ベストセラーとなった。

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