- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006022204
作品紹介・あらすじ
人いるところには必ず笑いが生まれる。嬉しい時のみならず、薄笑い、照れ笑い、嘲笑、冷笑、苦笑など実に多様な笑いが存在している。人はなぜ笑うのか。著者は笑いの創造者としての長年の経験を生かし、この難問に迫っていく。落語・漫才・映画・小説・詩歌・哲学・新聞記事などから笑いの具体例を引用した本書には、いとしこいし、桂枝雀、小津安二郎、寺田寅彦、ルイス・キャロル、内田百〓(けん)などが登場。各種コラムで絶賛されただけに、笑いとユーモアの真実がしみじみと伝わってくる。
感想・レビュー・書評
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漫才台本や落語の執筆を行う「笑い」のスペシャリストであり実務家が記す笑いに関する本。
実務家にありがちな乱雑に筆者の経験が書いてあるにではなく、とても体系的に笑いの構造を捉えつつ、古今東西の様々なジョークやユーモア、ナンセンスをこれでもかと紹介しているので(おおよそ半分は事例)とても楽しく読める。
よく学者が書いたお笑い論は皮肉にも小難しいばかりでそれを読んで笑う事はないが、本書は読み進める中で笑えるし、学びにもなる良書。
ジョーク集としても気に入るものは多くあるが、特に感銘を受けたのが
・フランクル達が絶滅収容所でもユーモアを失わなかった理由「ユーモアへの意志、物事をなんとか茶化そうとする試みは、いわばまやかしだ。だとしてもそれは生きるためのまやかしだ」
・常識や固定概念の枠組みから逸脱するのがユーモアであり、ユーモアを感じたり表現したりするセンスがユーモア感覚である。常識の束縛から脱出して精神の自由を回復するのがユーモアである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世の中に溢れる様々な種類の「笑い」を細かく分類し、「笑い」それぞれのカテゴリーについて解説していく本。ギャグ漫画と漫才の面白さは全く違うものとはわかっていても、それぞれの「なにがどう可笑しいのか」については言葉で説明できずにいたので、本書を読んでいろいろと腑に落ちた。
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ユーモアに本当も嘘もない。ユーモアはユーモアである。しかし、これがユーモアだと、だれもが納得するようにその成分を取り出して見せることはできない(本書より)
あとがきにおいて「本書の立場は実用になるユーモア論」とある。といってもユーモアのハウトゥー本というわけではない。個人的には、自分の頭が如何に凝り固まっているかを思い知らされた。 -
2015.5.27様々な種類の笑いを広範囲に渡って論じた本。私が思っていた笑いとは違って、実にいろんな感情をもとに、いろんな状況で、いろんな目的で、いろんな方法で笑いがあると知れた。それは私が、笑いの中でも何が知りたいのかを明確にさせてくれるものであり、様々な笑いを知ることで、私は救いの笑いとして、ユーモアについて関心があるのだと、自分の興味関心を明確にできたのはよかった。笑い一般に興味がある人はおもしろいかもしれないが私には前半のほとんどの笑いの具体例はあまりおもしろくなかった。緊張の緩和、意識の外から無意識の常識を壊す、ユーモアとは様々なことを複眼的な視点で見ることなど、学べたことは多い。複眼的な視点は、例えば無生物の視点、子どもの視点、女性の視点など。私の世界は私の価値観、視点が作っているので、視点が変われば世界を壊せる、ということである。この本を読んだ直後タバコを吸いながらタバコの目線になったら、タバコが下ネタに思えてきておもしろくなった。笑いについて幅広く論じた笑い学の一冊。
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おもったより、おもしろかった。
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笑いの解説書といったところ。学術書ではないので読みやすく、また分かりやすかった。
結局笑いは心のバランスを保つものというのに納得。 -
著者も言われていますが、学問的な解説本でないので読みやすかった。
色々と「笑い」について、総復習したような気分になりました。
ユーモアを解する心が必要というところは、まだまだ笑いが世間に認知されていないことに嘆く著者があるような気もしました。