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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784006022235
作品紹介・あらすじ
一葉、啄木、漱石などの「過去」の日本近代文学の古典作品を、「現在」の小説の中に呼び出し、「現在」の小説には、「過去」の古典作品と交流させる。現代の文芸批評を先導する著者が、文学史の陳列棚に並べられた古典作品と現代の最前線の小説を自在に対話させる。小説を読む本当のたのしさを味わうための格好の一冊。
みんなの感想まとめ
過去の日本近代文学と現代小説を見事に対話させるこの作品は、文学の新たな魅力を引き出します。樋口一葉や石川啄木といった古典作家の作品が、綿矢りさや赤木智弘といった現代作家の視点を通じて再解釈され、百年以...
感想・レビュー・書評
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はぁ、なんてセクシーな文学史。読みながら何度もため息をつく。感動でうっとりして。
2010年代の今、百年以上も前の1895年(明治28年)に書かれた文学を読み直す意味を、百年前と現在の文学の何が同じで何が違うのかを、例えば、樋口一葉と綿矢りさで読み解く。例えば、石川啄木と赤木智弘で読み直す。例えば「自然」「写生」主義が覆い隠していた「ありのままを見たとおりに書く」政治性を抉る。どこかで借りてきたようなポストモダンの言説ではなく、(1)文学者作家として紡いだ内側の視点と(2)文芸評論家として編んだ外側の視点と(3)先生として学生と一緒に考える捉われない視点とで描く。例えば、「語るべき私」の誕生と消失を見つめて「リアル」の二つの意味、「現実」と「本当」が重ならなくなってしまう地点を発見してしまう。
贅沢で豊かな読書体験をありがとうございました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実際に大学等で行われた講義をまとめたものということで、語り口が非常にわかりやすいです。樋口一葉にしても、綿谷りさにしても、高橋源一郎の分析を通すと、なにげなく読んでいた作品を、違う視点で読み直してみようかなと思わされますし。反面、作家でも批評家でもない一般人が、そこまで「文学」(というよりむしろ「読書」かな)について難しく考えて読むことはないよなあという風にも、この手の本を読むと感じてしまったりもします(苦笑)。結局、本(小説)なんて、読み終わったあと面白かったか面白くなかったかがすべて、という人が大半でしょうし。
明治時代の小説でも「古さ」を感じなかったり、むしろ最近の作品に古臭さを感じたり、というのは私も気になっていたのですが、その辺の分析は明快でスッキリしました。「小説のOS」という考え方も面白かった。田山花袋の「蒲団」と、ケータイ小説の「恋空」が、違うOSの同じソフトで書かれてる、ってなんかすごい(笑)。 -
「日本文学史」とタイトルにありますが、あつかわれているのは近代以降であり、また文学史のおおまかな流れをたどるものではなく、過去の作品と現代の作品が著者自身の関心のもとへと集められ、それらが共振する読み方を示す試みといえるのではないかと思います。
「「歴史」というものは、鑑賞するために壁にかけられた絵ではありません。なんというか、それを使って、誰も考えたことのないヘンテコなものを作りだせるオモチャみたいなものではないでしょうか。いや、そうであるべきなのです」。このように著者は本書の「はじめに」で述べています。
著者は、樋口一葉の『にごりえ』の文章に、現代に通用するリアリズムを見いだし、綿矢りさの『インストール』や『蹴りたい背中』などの文章にそれが継承されていると論じています。また、石川啄木の文章と、ロスジェネ論の代表である赤木智弘のことばをならべることで、「批評」の根拠を問おうとします。さらに著者は、1990年のなかば以降に登場した、阿部和重や中原昌也の小説に、近代文学的な「私」がいないと指摘し、現代文学がたどり着いた場所がいったいどこなのかということを明らかにしようとしています。
論者の読みかたの鋭さを示す評論は多くありますが、本書はむしろ著者自身の読みかたに読者を引き込み、読者がともにたのしむことができるようなことばで書かれています。 -
書名は文学史だが中身は明治の近代文学から現在にかけての文学評論
今まで読んだことある文学に対する評価の論として
もっともわかったような気がする気にさせてくれる気のする一冊
何しろ読んだ前後でたぶん殆ど明確には良し悪し見分けがわからないので
これは良いと例を挙げて評価するのに対し
その褒めている理由はわかる気がするが
他と比べてその程度がどうかはよくわからない
面白かったのは文学評論と社会評論の結びつき
文章が時代において違うのは口語の影響でありつまりは時代の下でもある
近代文学に対して現在の文学を比較して
その文体と社会のありようを論ずるのは
正しいか正しくないかとかが通用するのかも判らないが面白かった -
いろいろと面白かった。結果として吹っ切れるというか頭のなかがまとまってきそうな感じもするし。高橋源一郎のような感覚の人がいて持つべき疑問をしっかり持っているというあたりが整理されていて良い感じ。読むことを純粋に楽しむ人には用のない本かもしれないけれどかといって読んでおいて損にはならない本。
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解説の「リアルタイムの文学史」(穂村弘)という言葉が本当によく似合う本だ。
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大人にはわからない。
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もういい加減源ちゃんのこういうのは飽きたんだよ!と思いつつ読んだけど、やっぱり面白いんだなあ。
しかしイマイチこういう「今が新たな文学の誕生の時!OSの更新!私たちはそれに遭遇している!」的な主張ってあんまり好きじゃない。そんなに今は特別な時代じゃないっすよ。 -
パラダイムを知っているから、OS理論もなんとなく理解できる。
近代と現代の比較文学史のような態をなしているかもしれない。
わかりやすく、なじみやすいし、著者のやさしい性格が伝わってくる。
一緒になって、考えてみようよ・・・っていう感じかな。
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