- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006022242
作品紹介・あらすじ
敗戦直後の淡路島を舞台に、軍事教育から民主主義教育に一転する中、野球を通して民主主義を学ばせようとする女性教師と子供たちのふれあいを描いた阿久悠の代表作。野球との新鮮な出逢い、歌を自由に歌えるよろこび、少年たちの仲間への思いやりと友情、ほのかな初恋が少年たちの目を通して生き生きと描かれている。後に、映画化されて多くのファンを魅了した作品。
感想・レビュー・書評
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終戦から物語りは始まる。
終戦直後は物資も少なく貧しく苦しい生活を強いられているはずなのだが、この物語りからはその悲壮感は感じられない。
なぜなら子供達を始め町中の人々がとにかく元気でまさに人間の中に血が流れている感じがするほどイキイキしているからだ。
昭和ノスタルジーの代表的な作品だと思う。
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タイトルなどのイメージから、貧しくも苦しい時代をスポーツで爽やかに乗り切る少年たちの話だと思っていました。
実際に読んでみて感じたのは「恐怖」でした。
子供たちに対して、同じ大人に対してするような暴力を本気で振るう大人たち。
戦災未亡人となり、性の自己決定権すら他人の思惑で動かされる担任教師。
まだ小学生の子供たちに、報復として「性的いじめ」をする女。
父が戦犯として処刑された少女と主人公との関係は、儚い恋と言うには生々しい。そして絶対に結ばれないであろうことを考えると、「読み手を辛くさせるためにこの一節を入れたのか?」と勘ぐりたくなるほどです。
この世代の大人たちが自分の少年時代を回顧して描く物語って、ひどく暴力的ですよね。
水木しげるの「のんのんばあとオレ」にしろ、藤子・A・不二雄の「少年時代」にしろ。
そういう暴力的なことが日常だったという時代があったと、頭ではわかっていても、「そんなことは知りたくなかった…」と気持ちの上で全力的に否定したくなってしまいます。
感動して泣くというより、恐怖で不安で仕方がないとしか言えない物語です。
続編でまたドロドロとした展開があるようですが、なぜわざわざそんな話を続けたのか…
「泣かせる」手法としては悪手、禁じ手を使った作品ではないでしょうか。 -
もっと早く読めばよかった。面白かった。
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戦時中、そして戦後の小学生たちの様子が活き活きと描かれている。
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阿久悠自身が映画化に積極的だったらしい。
映画も観なかったし、小説も読まなかった。
たかが・・・・大衆の作詞家ではないか。
しかも、時代を反映したといえば聞こえはいいが、ボクからすれば「迎合」して、大いに儲け、芸能界で幅を利かせた・・・という印象しかない。
現代文庫となり、なんとか読んだ。
文体は稚拙だけれど、昭和を懐かしむ映画も流行っていることから、この手の小説も悪くは無い。
当時をしのばせる・・・というだけの意味で。