小林一茶――句による評伝 (岩波現代文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006022365

作品紹介・あらすじ

小林一茶(一七六三‐一八二七)は、芭蕉、蕪村と並んで、日本人に永く最も親しまれてきた俳人である。一茶が生涯に詠んだ約二万句から、年次順に約九十句を精選して、自由な口語訳と的確、精細な評釈を付す。一句一句の中に、あまりに人間的だった俳人一茶のその時々の情念と境涯を点描して、その生涯を浮かび上がらせる。一茶の俳句への入門書としても最適な一冊となっている。

感想・レビュー・書評

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  •  一茶の俳句を,時代順に紹介しながら,一茶の人生の大枠も語ってくれるというありがたい,一茶入門書です。ただ,時代順といいながらも,解説の中では類似の句などは年齢に関係なく紹介してくれているので,一茶の俳句へのこだわりなども伝わってきます。
     一茶の俳句は,教科書にも取り上げられているので,人口に膾炙している句もありますが,解釈を聞くと「そうだだったのか」というものもあったりして,面白く読めました。
     解説者の金子兜太氏は,二人でかけ合いながら話しているように文章を書いています。ちょうと,ガリレオの『天文対話』のような方法です。これもまた,新しいです(ずいぶん前の文章らしいですが)。

     あの「痩蛙」の句に対しては,一茶の不遇な成長期と直接類推したりするしたり顔に対して…
    「小動物に呼びかけている感性のやさしい働きを受けとるべきで,その根底を探りすぎると句がつまらなくなりますね。それも,やさしさゆえに醸されている諧謔の味わいですね。」
    と述べたりしています。この句の句碑が信州小布施のお寺さんにあったんだ。知らなかった…小布施には2度も訪れたのに…。

     俳句を知らない人も,楽しんで読める内容でした。

  • 小林一茶のことが「少し」わかる。
    50歳を過ぎての結婚。しかも三回。
    子供もほとんどを小さくして亡くしている。
    放浪の時期が長い。
    きっと、旅する時は「空を見上げる」ことも多かったのだろう。俗的で、下品な表現も多い。

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著者プロフィール

金子 兜太(かねこ とうた)
1919年埼玉県生まれ。東京大学経済学部卒業。1943年日本銀行に入行。加藤楸邨に師事。1962年、同人誌「海程」を創刊、主宰。1978年埼玉県文化賞受賞、1983年、現代俳句協会会長、1987年より朝日俳壇選者、1988年、紫綬褒章受章、1996年、句集「両神」で詩歌文学館賞受賞。1997年、NHK放送文化賞。2005年日本芸術院会員、2008年、文化功労者。
主な著書「種田山頭火 漂泊の俳人」「小林一茶」「感性時代の俳句塾」「放浪行乞」「わが戦後俳句史」「一茶句集」ほか。句集「少年」「蜿蜿」「暗緑地誌」「遊牧集」「金子兜太全句集」「黄金子兜太句集」「皆之」「詩経国風」「金子兜太集」第1巻~第4巻ほか。

「2022年 『金子兜太 俳句の古典を読む ─芭蕉 蕪村 一茶 子規─ CD版 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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