幻の朱い実 下 石井桃子コレクション II (岩波現代文庫 文芸253)
- 岩波書店 (2015年2月17日発売)
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感想 : 14件
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784006022532
感想・レビュー・書評
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下巻。
第2部までは戦前を舞台にしていたが、第3部は戦後暫く経ってからを舞台にしている。よって主人公の明子はすっかり老婦人になり、夫も既に亡くしている。
この第3部では、第2部の終わりに結核で亡くなった友人、蕗子の過去にあったある出来事が、登場人物にとっては重要な意味を持っている。明子が古い手紙を必死に調べる姿を見ていると、蕗子に対する感情も愛憎半ばしたところがあったのかもしれないなぁ、と、ふと思う。
決して明るいストーリーではない。まだ戦争は始まってはいないが、何となくきな臭い時代が作中の大半を占め、戦後の第3部でもどうしようもない別れはやってくる。ラストシーンで見られる烏瓜は、あの日、蕗子の家で見たものとはまるで違っている。タイトルにもなっているが、『幻の朱い実』とは、『もういなくなってしまった人』であり、『過ぎ去った時代』でもあるのではないか?
それでも、作品の雰囲気が非常に明るいのは、矢張り闊達な文体で描かれる、女性同士の友情がとても華やかで楽しそうに見えるからだろう。
ところで、この作品、児童文学作家が書いたせいでもないだろうが、何となくこの小説は『少女小説』なのでは? ……という気がしている。
幻想の中の少女性、現実を忘れる一時の夢としての少女小説を書いたのが吉屋信子だとすれば、本作はビルドゥングスロマン、教養小説としての少女小説ではないか、というようなことを読んで思った。 -
社会に出て間もない女性がひょんなことから同世代の同性と知り合い親友になる。自分の結婚や親族の介護などを経ながらも親友とはお互いに欠けがいのない存在になる程親交を深めるが、病弱な親友は若くして亡くなってしまう。その親友が、自分には見せなかった面でどんな生き様でどんな思いを抱いていたのかということを、数十年後、年老いてから当時の手紙などをひっくり返しながら振り返り回想するという、石井桃子さんの自伝的小説。
私の妻にとってはそういう親友は誰だろうか、とか、私の大学時代の仲間内にもそういう親友同士の女性たちならではの絆があるだろうなとか、いろいろ思い起こされて、胸が熱くなる小説だった。
親友だとしても、親友だからこそ、見せない一面がある。
それでも相手の存在は必須だし、相手を思う気持ちは誰よりも強い。そんな関係って大切だよなと思う。
自分にとってそんな存在は誰だろう、いるだろうか、いたとして、自分は相手の見えない一面まで理解に努めた経験があるだろうか、とも思った。
児童文学に興味を持って、それに多大な貢献をした石井桃子さんてどんな人だろうか、という動機で読んでみた。
当然といえば当然だけど、児童文学で知られた方にも大人の人生がある、でもその反面、いつまでも若い頃の思いを大事にされている素敵な方なんだなと思った。
プーさんの翻訳は病床の親友を楽しませるために行なっていたと知って、改めて読んでみようと思った。 -
1人の人生を体験した気分。
途中泣いた。 -
正直、小説としての構成の巧みさは感じないのだけど、それが逆にどうしても書き残しておきたいことを書いた
という感じもして、なんだかとにかく作者と主人公の想いに打たれた小説だった。恋よりも純粋な強い想い。
それに結婚って、親族って、面倒だねという気持ちもばしばし刺さってくる。 -
解説(川上弘美)によると、この小説は石井桃子79歳の時に書き始め87歳で上梓したとある。当然の帰結として、下巻は近しい人たちの病と死が重なり、老いゆくことの憂いや葛藤の描写が重々しくこれはちょっと身に堪えた。若くして死んだ親友蕗子との思い出を揺るがす種明かしも私には興醒めする内容であった。もっとも主人公の明子は家庭の切り盛りと仕事に精を出し、激動の時代を生きた女性の一生としての読み応えは素晴らしい。(あのクマの物語が翻訳された過程は多分実話なのだろう)故に我儘で自由奔放で一途な蕗子の孤独が遣る瀬無く心に残る。
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第3部に数十年後の明子たちが描かれている。
明子と蕗子、またそのほかの人たちとも、手紙のやり取りがすごい。今のメールのように頻繁に行き交う。
そしてインターネットなんてものがない時代、人と人との関わりが今よりももっと大事なものだったのだと教えてくれる。
石井桃子さんが若い時の日本はこんな風だったのだろうか。 -
三部はいきなり数十年後。
必要なのかな・・と思いつつ読み進める。
明子がもしかすると著者なのかな…とふと思った。
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石井桃子の作品
