僕は、そして僕たちはどう生きるか (岩波現代文庫 文芸258)
- 岩波書店 (2015年2月17日発売)
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感想 : 91件
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784006022587
みんなの感想まとめ
自らの生き方を模索する少年少女たちの物語が描かれています。主人公コペルは、周囲の大人たちの影響を受けながらも、自分自身の力で前に進もうと奮闘し、同調圧力や社会の厳しさに直面します。彼は自分の小ささや弱...
感想・レビュー・書評
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吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』と同じく主人公の名前はコペル、14歳。
『君たちは‥‥』では、叔父さんに導いてもらっていた感があるが、こちらの作品は少年少女たちが、周りの大人たちの影響を受けながらではあるが、自らの力で前へ進もうとしている印象を受けた。
集団の中でどう生きるべきなのか。痛い思いをしながら模索する少年少女たち。
「なんで自分を当然のようにあの勇気のある人たちのあとを辿る一人だと思えていたのか。あの人たちの勇気は実際その場に立ったものしか分からない類のものだったんだ」
涙が止まらない少年に
「泣いたら、だめだ。考え続けられなくなるから」
と少女は言う。
「傷ついていないふりをしているのはかっこいいことでも強いことでもないよ。あんたが踏んでんのは私の足で、痛いんだ、早く外してくれ、って言わなきゃ」
自分は小心者で裏切り者のどうしようもない人間だと気付くコペル。そんな自分自身を受け入れる。そして、これが“謙虚“ってことなんじゃないか?と推測するようになる。
集団の圧力に負けることもある。それが許せなくて一人を選ぶこともある。だけどやっぱり人間には“群れ“が必要なんだ、と思えたコペル。
いやー、素晴らしかった。大満足の一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「君たちはどう生きるか」のオマージュ。
題名を見てピンと来て、この作者なら、と手に取った作品。
作者が違うので内容も違うが、
子供をだます大人、同調圧力、魂を殺すこと 等々
いろいろ考えさせられる。
その一方で
暖かな人の群れ、豊かな自然
も全編通して流れていて読後感は心地いい。 -
色々な問題を散りばめた話だった。
物語というよりは現状起こっている問題、起こりうる問題を箇条書きにして問いかけられているような感覚になった。
特に多数に流されてしまう可能性に気付いた、この話だと主人公のコペルの気持ちが刺さった。周りが正しくないものを正しいと言った時、自分はちゃんと拒否できるだろうか。
また戦争の話についても考え直したいと思った。最近丁度戦争の話に興味を持っており、戦争がテーマの作品や新書を読んだが自分の中でエンタメ化していることに気がついた。これは当事者でないからこそ楽しんでいられるのであって、実際に戦時中の世の中になったら自分はどう動くだろう。当時の人の気持ちや世の中の流れを知った上で、戦争について理解を深めていけたらと思う。 -
主人公のコベルは染織家の叔父ノボちゃんと
親友のユージンの庭によもぎを取りに行く
ユージンが学校に行かない理由
コベルと疎遠になった理由
インジャの傷
オーストラリアからきたマーク
たくさんの自然
「群れ」と「個」
「正しい」とは
「普通」とは
問題に向き合う時
人はどう生きるのかを問われた
私は群れが幼い頃から苦手
自己主張が上手にできない
でも、群れからは離れて生きられない -
『君たちはどう生きるか』と同様、とても教訓と示唆に富んだ作品でした。
こんなとき何を考え、何のために、どう行動すべきか。主人公の「コペル」とその友人たちの、本意気で純粋な懊悩と思索を通して、普遍的に選ぶべき道筋に光を当ててくれる作品です。
雑音があまりに多いこの世界で、本当は立ち止まるべきなのに、多くの人がそのままにして通り過ぎてきたいろいろなことに、きちんと向き合えるその強さは、本作のコペル君と原作のコペル君とに共通するもので、梨木さんが今のこういう時代に『君たちはどう生きるか』のオマージュ作品をしたためたことと、同作が戦時中に出版されたということとの間には、偶然以外のものがきっとあるように思います。
あえて難点をつけるとすれば、さすがに中学2年生でここまでの知識に裏打ちされた哲学的思考ができるのは、いささか現実感に乏しいとは感じました。ですが大事なことはそこではなく、他者のために「考える」力が、個人にも社会のためにも重要だというところだと思うので、作品の構造的には必要なものかもしれません。 -
たくさんの問題定義が詰め込まれた1冊
戦争問題、環境問題、AVやレイプの問題、集団圧力の問題、教育の問題…
頭の中でたくさん「考える」けど、
それでも比較的集団に馴染めてしまうコペル君
私は普段あまり考えながら生きている人間ではないけどそれとなく集団生活に馴染めてしまうので、コペル君を尊敬したり共感したり。
でもやっぱり考えるべきで考えることをやめてはいけないということを教えてくれた一冊。
考えようと思っていても無視してしまったり、気付いているのに無視してしまったり
それは戦争や環境の大きなお話に限らず身近なところにも。
私が気づいていないだけで、私はたくさんのことを無視してると思う。
それに気づくためにも考え続けなければならないんですね。 -
梨木香歩は、先日『ピスタチオ』を読み終えた所。
和と洋が、良い意味で対比的に描かれていて、これまでの作者の視点が上手く現れている。
主人公コペル君が、不登校児ユージンや、かつて自分を救い、救うことでコペル君の自尊心をちょっぴり傷付けたショーコと織り成す物語。
ユージンが何故、学校に行かなくなったのか。
ユージンの敷地に何故、インジャ(隠者)が住み着くようになったのか。
ユージンの祖母や、コペル君の母は何を思い、子どもたちに伝えてきたのか。
様々なテーマが明らかにされるのだけれど、どこからも目を逸らせなくて、苦しくて、泣きたくなる。
けれど、そこでの「泣いたら、だめだ。考え続けられなくなるから。」が本当に胸に響いた。
その後、オーストラリアのブッシュマンの話が入ったことで、ユージンは遠い遠い場所から檻の鍵を貰ったのではないだろうか。
この辺りの流れは、全てがきちんと収まっていくので非常に面白い。
「僕」は、「僕たち」でいることを望んだ。
それは考え続け、伝え続けることを選んだことでもある。
理不尽な群れの流れの中で、自分を見失わないこと。
情報を選ばされるのではなく、情報を選ぶこと。
生きることの在り方が、ほんの少し形を帯びたように思う。すごいな。 -
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10代の子達にぜひ読んで欲しいと思いましたが、50代の私にとっても大切な作品になりました。
繊細さ、鈍さについては私もずっと考えており、強さとは鈍さなのかと悩んだ時期もありました。
日頃、1人で生きることと群れることについても考えていたので、「いい加減」の群れで言語化してもらえた気がしました。
北海道に住む人間には身近ではない動植物の連続で検索して写真で確かめながらの読書となりましたが、素晴らしい読書体験となりました。 -
我が子が高学年〜中学生くらいになったら読んでみてほしい。
梨木香歩さんは他作でも例のAV監督への注意喚起されていて、西の魔女〜などから惹きつけられてきた作風との差異を感じて最近あまり読まなくなっていたけれど(やっぱりこのあたり、生々しさを感じて星をマイナスした(但し私はその危険な本も読んでいない,巧妙な罠らしいので子供にも読ませたくない)
今作では他にも色々問題提起されていて、腑に落ちるものがありました。
インジャの身に起きたこと、ユージンのコッコちゃんの末路、他者を「実験」すること、誰かが都合よく捻じ曲げた「普通」、集団の圧力に流されてしまうこと
「国」が巧妙にコントロールしてきた時にちゃんと自分で考えて拒否できるのか…
気づかなかった、のではなく、自己防衛のために自分の意識すら誤魔化してしまう狡賢さ。
色々 気づいたり 考えるきっかけにしてほしいと感じました。 -
やあ。よかったら、ここにおいでよ。
気に入ったら、ここが君の席だよ――
人は群れでしか生きられない。
だからゆるくつながることで居心地のいい関係が出来たら最高だと思う。
「大多数の正義」・「魂の殺人」そして、戦争の事とかとても深い話。
自然を守ろうとする人々のことや
染料にするイタドリ・ヨモギを取ったり、
スベリヒユを炒めて食べたりと
なかなか興味深いシーンがたくさん出てきた。 -
個人的には使われている言葉も内容も少し難しく感じました。でもだからこそ学ぶことが沢山ありました。
そして話の流れだったり、内容にかなり引き込まれ、中盤からラストまで思わずノンストップで読んでしまいました。
「しばらくみんな、黙った。」
という文の「しばらくみんな」の後に「、」が入ることによって、その場の雰囲気だったり、本当に全員が黙った瞬間が頭の中で一気にイメージすることが出来て、句読点の入れ方次第でこんなに浮かぶ情景が鮮明になるんだと読んでいてすごく面白かったです。
また5年後、10年後になにか壁にぶつかった時読みたいと思いました。 -
自然豊かでキラキラまぶしくなるような背景描写とは反対に、登場する子どもたちの身の上に起こっていることは残酷で胸に刺さる。懸命に考え、生きていく…今、大人の私はできてないなぁ。もし、この本に十代で出会っていたなら…変わっていたのかなぁ。。
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自然の一部であることを謙虚に受け入れること。
世界のありようから目を離さないこと。
自分の頭で考え、自分の足で立つこと。
ああ、これは全く梨木香歩の作品だ。
主人公のコペルは、家庭の事情でひとり暮らしをしている。
もう3年も学校に出てこない元親友のユージンの家に、叔父のノボちゃんを連れていくことになり、久しぶりに顔を合わせるコペルとユージン。
ユージンもうっそうと茂った森のような庭を持つ家に、ひとりで暮らしていた。
そこにユージンの従姉のショウコや、インジャや、オーストラリア人のマークが加わり、コペルたちは世界や自分と向かい合う。
ユージンが学校に行かなくなった理由は、コペルには思い当たらなかった。
「なぜ?」と問いただしても、何も言わないユージンを気にしながらも、いつかコペルはユージンと本音で話すことのできない距離を感じてしまっていた。
けれど、ユージンが学校に行かなくなった理由に自分が関与しているなんて微塵も思っていなかった。
きっかけは小学校教師の行動だった。
ユージンが卵から返して可愛がっていたニワトリのコッコを、学校で飼ってもらおうと連れて行ったら、命の教育の一環としてサバいて食べるという。
ユージンはもちろん、コペルだって、その必然性のない殺戮は変だと思った。
けれど言えなかった。
命を守ってあげることが出来なかった。
考え続けるユージン。
忘れていたコペル。
“「何かがおかしい」って、「違和感」を覚える力、「引っ掛かり」に意識のスポットライトを当てる力が、なかったんだ。「正論風」にとうとうと述べられると、途中で判断能力が麻痺してしまう癖もあった。”
“あのとき、僕らが「つぶした」のは、単なるニワトリ一羽だけじゃない。ユージンの「心」も一緒に「つぶした」”
教室の中でも、地域の中でも、国の問題でも、多数決で解決しきれないことはいくらでもある。
白か黒か。ゼロか百か。
世のなかはそんなに単純じゃないはず。
“一人の個性を無理やり大人数に合わせようとする。数をかさにきて、一人の個性をつぶそうとする。しかも表向き、みんなになじませようとしているんだ、という親切を装って、
こういうのって、つまり、全体主義の「初めの一歩」なんだろう。”
自分が簡単に親友を裏切って大勢の側に立てる人間だったことを知り、衝撃を受けるコペル。
“……泣いたら、だめだ。考え続けられなくなるから”
梨木香歩の書く文章はとてもやわらかいのに、書いていることはとても厳しい。
ユージンの従姉のショウコは、心も体も大きくて強い。
“黙ってた方が、何か、プライドが保てる気がするんだ。こんなことに傷ついていない、何とも思ってないっていう方が、人間の器が大きいような気がするんだ。でも、それは違う。大事なことがとりこぼれていく。人間は傷つきやすくて壊れやすいものだってことが。傷ついていないふりをするのは格好いいことでも強いことでもないよ。あんたが踏んでんのは私の足で、痛いんだ、早く外してくれ、っていわなきゃ”
そして
“正面からぶつかって、玉砕するよりも、もっと、現実的に多くの人を助ける方法。とにかく生き延びて次世代のために尽くす、とか”
私も最近、正解より最適解について考えることが多い。
どうすることが、結果的に一番良であるのか。
“そう、人が生きるために、群れは必要だ。強制や糾弾のない、許し合える、ゆるやかで温かい絆の群れが。人が一人になることも了解してくれる、離れていくことも認めてくれる、けど、いつでも迎えてくれる、そんな「いい加減」の群れ”
そんな「群れの体温」みたいなものを必要としている人に、コペルはこの言葉を言う力を自分につけるために、考え続けて生きていく。
“やあ。
よかったら、ここにおいでよ。
気に入ったら、
ここが君の席だよ。”
閉塞感が募る今の日本で、この本は若者だけではなく、大人にも読んでほしいと思う。 -
中学生の視点を中心に、何らかの接点が有った人物の間の関わり方、主人公達のそこからの感じ方を訴え掛ける書籍。「君たちはどう生きるか」と少しだけ違う時代背景、
人間関係の中で、同じ様に主人公の周りにいる登場人物の視点、反応、見解から読者に考えさせる点では通じるもの有り。
自分が傷付く事も(プライドを傷付かせないためにも)気付かないふりをする、言わなきゃと思ってはいてもいざとなると声が大きい(と思い込んでいる)周りと同調して言い出せない等、登場人物の心情•(取ってしまった)行動等から考える面が有る作品。 -
p.255 黙ってた方が、何か、プライドが保てる気がするんだ。こんなことに傷ついていない、なんとも思っていないっていう方が、人間の器が大きいような気がするんだ。でも、それは違う。大事なことがとりこぼれていく。人間は傷つきやすくて壊れやすいものだってことが。傷ついていないふりをしているのはかっこいいことでも強いことでもないよ。あんたが踏んでんのは私の足で、痛いんだ、早く外してくれ、って言わなきゃ
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著者プロフィール
梨木香歩の作品
