- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006022822
感想・レビュー・書評
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学術的な文体で、少し難解な解釈を必要とする著書でしたが、これから新たな命を授かり、子どもの果てしない感性や想像力を育むために、児童文学が与える影響力についてあらゆる角度から論じられた一冊。
真の児童文学絵本と呼ばれる名作は、過去作で言えば、私が大好きな出版社、福音館書店のぐりとぐらやはじめてのおつかい、おしいれのぼうけんや谷川俊太郎さん詩作の、もケラもケラなどでしょう。
いずれも子供が時代を超えても、目を輝かせてよみきかせをせがむ絵本=こどもが気に入り大切に読みたくなる絵本が、この本の言う真の児童文学書と言えるのでしょう。
いつまでも子ども心で世界を眺めるまどみちおさんのように、初めての世界を不思議がる、面白がるそんな目でいつか絵本を描いてみたいな。
まずは、名作を書評するクリティカル思考を育てていきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●児童文学における良書の見分け方について多少なりとも学べたが、やはり漠然とした感じが否めない。
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ようやく読み終わった。
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「子どもにとってよい本との出会いがいかに大切か、よい本を選ぶ基準とは何か。児童文学の多彩な作品を取り上げて、よい本の評価基準を詳しく説き明かす本書は、長年にわたり児童文学・児童図書館に関わる人々の厚い信頼を得てきた。日本を代表する3人の児童文学者が訳した名著が、いま文庫版で甦る。(解説=斎藤惇夫)」
メモ:
p206-207「幼児が、一つの絵本のなかに求めているのは、冒険である。ーそのストーリーが物語る人生経験は、幼児が理解し、想像できる程度に単純なもので、複雑であってはならない。とはいっても、子どもたちの理解力、想像緑はつねにひろがり、発展しているのだということも、私たちは心にとめておかなければならないが。もし、私たちが、絵本の絵を価値を見極めようとするならば、まず、その絵の物語るストーリーを、子どもの目で見、かつその上で、挿絵画家の与える審美的な喜びを、おとなの目で味わうことが、肝心になってくる。」
p.207「子どもは、絵の物語るストーリーに心をうばわれる時、同時にその絵全体を自分の中に吸収する。もしそれがよい絵であれば、その子は、無意識のうちに、美的な経験を取り入れたことになるのであって、こうしたことがたびたびくりかえされるならば、それは、その子の中に、一つの審美眼の標準をつくり、とるにたらないもの、見かけだおしのもの、劣等品にたいする防御の役目を波多津ことになるだろう。ー訓練された目とは、りっぱな芸術として知られているたくさんの絵を見ることにより、また、それを他の絵とくらべることにより、絵を見ることを学び取った目である。」 -
2020.9
読んだ。読み切った。が、とても一読じゃ理解しきれない濃さ。各ジャンルの子どもの本についてどういう本を子どもに手渡していくべきか、その判断基準の核になる考えが示される。その確かな眼を養うには自分で実際にたくさん本を読んでその核を熟成させることが必要。子どもの反応を観察することも。これからの私にとっても仕事のバイブルになる。日々じっくり再読しながら自分のものにしていく。読書っておもしろいよね。