諧調は偽りなり 上 伊藤野枝と大杉栄 (岩波現代文庫 文芸285)
- 岩波書店 (2017年2月18日発売)
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感想 : 8件
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784006022853
みんなの感想まとめ
歴史的な背景を持つ人物たちの生き様を描いた本作は、前作から16年の時を経て、より深い人間ドラマを提供します。大杉栄や伊藤野枝を中心に、彼らの周囲の人々の物語が展開され、特に大杉の複雑なキャラクターが印...
感想・レビュー・書評
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前作『美は乱調にあり』から16年を経て書かれた続編。上巻は伊藤野枝よりも、大杉栄、神近市子、辻潤といった、彼女の周辺の人々に多く紙幅が割かれる。
大杉という人物がよくわからない。
本書は解説書ではないので、彼の細かな思想まではわからないが、引用される文章やフリーラブ等のエピソードからは、彼に思想というほどのものもなく、ただ大きな子どものようにも思える。そもそも本書のタイトルも前作のタイトルも、大杉のエッセイ「生の拡充」の中の一節“諧調はもはや美ではない。美はただ乱調にある。諧調は偽りである。真はただ乱調にある”から取られている。おそらく、大杉自身が魅力的な乱調の人であり、生き方自体が乱調を体現し、それが周囲を巻き込んでいったのではないかと想像する。
本書の凄いところは、作者の寂聴さん自身が、平塚らいてう、神近市子、荒畑寒村らと同時代を生き、そのうちの何人かとは実際に会って当時の生き生きとした話を聞き出している点だろう。難点はそれが当事者の主観であり、エピソードの羅列になることで、本書もそこから抜け出すことに苦労しているように感じる。
下巻でいよいよ物語は終局を迎える。どのような結末が大杉、野枝に待っているかは歴史がすでに語っている。寂聴さんがどう語るかを知りたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ2/3読了!神近市子による大杉殺人未遂直後から、野枝大杉の同居、世間から冷遇される野枝大杉、野枝の出産、転居、繰り返される大杉投獄あたりまで。野枝中心というより、周辺人物の記述も多いこともあってちょっと飽きてきたきらいもある。でも辻だって市子だって生き続けてる。というか界隈狭い。
印象に残ったのは、大杉と暮らしている野枝が同志ではなく妻である面の意識に自分が支配されていると気づくところ(P242あたり)野枝もいつのまにか家庭とか聡明な妻像にしばられてる。野枝は絶対にこんな面は書かなかったやろうけど、いいはなし!
連載を読んだ、作中人物と関わりがあった当時の読者からの手紙なんかも紹介されていて、 書くこと・書き残すことの力も感じる。
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『美は乱調にあり』の後編となる作品。日陰茶屋事件のその後。大杉栄と伊藤野枝、大杉の甥の三人を関東大震災の混乱期に殺した甘粕正彦。実話を元に書かれた小説。さすが、寂聴さんグイグイ読まされます!
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村上さんの「風よあらしよ」と違うところは、寂聴さんが当事者関係者と直接取材ができているからとてもリアルに感じられてドキドキする。テレビもネットもない時代だからなんだろうけど、新聞や雑誌や本に書かれたことが世の中を付き動かせる元となり得た「文字」の偉大さを再確認した。私的な事情まで文字にしたらお金になる時代だったんだ。そして金銭の貸し借りも質屋から友人まで頻繁に行われていたのは、社会保障制度が脆弱だったからだろうか。引っ越しもよく行われていたようだし、もしかしたらそういう面から考えると生きやすかったのかな。
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美は乱調にありからのこの本だけれど、だいぶトーンダウンしているというか、この時期の群像劇のようになってしまっていて、肝心の伊藤野枝の人となりが霞んでいるように感じました。まあ、社会情勢と同時期に活躍というか暗躍した人たちとの関係性を描かなければならないということはわかりますけれど、人が多すぎて混乱するだけという状況になってしまいました。
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四角関係?
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「美はただ乱調にある.諧調は偽りである.」(大杉栄) 四角関係を超えて深く結びついたアナーキスト大杉栄と伊藤野枝.大杉の幼少期から関東大震災直後の甘粕正彦らによる虐殺まで,二人の生と闘いの軌跡を,彼らをめぐる人々のその後とともに描く,大型評伝小説.名著『美は乱調にあり』から16年の時を経て成就した,注目の完結編.
https://www.iwanami.co.jp/book/b280266.html
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著者プロフィール
瀬戸内寂聴の作品
